恐怖の帝王襲来編―頼むから帰ってくれ
「よっす」
よっす、じゃねえよ。今何時だと思ってやがる。
先ほど、嫌い序列、などとカッコつけてみたりもしたが、正直なところ個人的にはぶっちぎりで、逆木原初子が嫌いである。
ちなみに、嫌い序列の半分くらいは私もあったことがなかったりする。
長良川さんの『気に食わない奴リスト』より引用させてもらった。
「相変わらず男子大学生とは思えない部屋だね」
「悪かったな」
ちなみに、逆木原初子は|外見だけ≪・・・・≫述べるなら、金髪碧眼の美女・・・・・・らしい。
らしい、というのはこの人物批評を下したのが、私ではなく大学の同学部にしてゼミ仲間の黒藤君によるものだからだ。彼はその、客観的かつ第三者的な視点からの批評の正確さから、『観察日記』というあだ名を持っている。・・・・・・・どうでもいい話だった。
「大学生って言ったらもっとこう、なんか色々置いてあるもんじゃないの?」
「知らねえよ」
というか、逆木原も私と同い年のはずなので、社会的な立場としては大差ないはずなのだが、この上から目線の評価は何なんだろうか。
「こう見えて、高卒でね。大学には行っていないんだよ」
「人の思考を勝手に読むな。部屋の窓枠に足をかけたまま話すな。入るのか出てくのかはっきりしろ」
「え?入っていいの?」
「何故意外そうなんだ・・・・・。というか、出て行ってもらえるのか?」
「ここで追い出そうとしたら、大声で悲鳴を上げる」
「・・・・・・・・・・」
他に選択肢ないじゃねえか。
「大声で悲鳴を上げて、突然部屋に引き摺り込まれたうら若い女性を演じる」
「それをされると私は完全に犯罪者と化す気がするんだが」
「そうだねー」
とか言いつつ、さりげなく部屋に侵入してくる逆木原。
やはり苦手だ。
私の今後の人生、彼女よりも苦手な人間が登場するかどうか、興味深い点ではある。
ただ、これ以上に苦手な人間、というともう想像もつかないのだが。
否、高校時代の私に、逆木原初子の様な人間との遭遇を想像できたか、と言われれば、それも不可能だったのかもしれないが。
「水利使用。じゃなくて推理しよう。小暮川一世は今、『最悪は常に想像の斜め上を行く』てきなことを考えていた!!!」
ズビシ、と逆木原が私に指を突き付ける。図星。
「・・・・・・・・というか、いつまで居座る気だ?」
いい加減、こっちは眠いのだ。
お忘れかもしれないが、現時刻、深夜二時過ぎである。
草木も眠る丑三つ時すら過ぎてしまったのだ。眠くて当り前である。
私の至極まっとうかつ正当な質問にも、逆木原は茶化すように笑って答える。
「え?いやあ、だってここ、私の部屋だし」
「・・・・・・・・・・・は?」
「ほら、三十木寮の家賃軽減システム、『相部屋』。この部屋は、|逆木原初子と小暮川一世の相部屋なんだよ≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・≫」
「え?」
初耳だった。