第3話 うさぎのみみのしるし
第3話です。
あさ。
あめは、すこしだけ、よわくなっていた。
さんさいのおうじは、ゆびさきを、じっとみている。
あおいひかりは、きょうも、いる。
ちいさく。
でも、ちゃんと。
「……また、でてる」
ひかりが、ゆらり、と、ゆれる。
そのしたのゆかに、
うすく、まほうじんが、うかびあがった。
まるいせん。
ほしみたいなてん。
そして――
ぴょこん、と、りょうがわにのびる、ふたつのかたち。
「みみ……」
だいこんが、ずい、と、のぞきこむ。
「うさぎだな!!」
「うさぎですね」
にんじんが、くすり、と、わらう。
たまごは、すこしだけ、しずかになった。
「でんか。そのもようを、どこかで、ごらんになったことは」
「うん?」
たまごは、からだをくるり、と、ほんだなのほうへむける。
「いちばんうえの、あかいえほんを」
だいこんが、よいしょ、と、とりだす。
ほこりが、ふわり。
おうじは、ぺたん、とすわった。
ぱら。
えほんが、ひらく。
やわらかいえ。
むかしの、おしろ。
そのうえに――
かがやく、しるし。
まるいせん。
ほしのてん。
そして。
ぴょこん、と、のびる、ふたつのかたち。
「……おなじ」
ゆかのまほうじんが、ほのかにひかる。
えほんのしるしも、かすかに、あおくゆれた。
「これは、おうけの、ふるいしるしでございます」
たまごのこえが、ていねいに、ひびく。
「むかしむかし。
“つなぐもの”のしるし、とよばれておりました」
「つなぐ?」
「こころと、こころを」
にんじんが、そっとつづける。
「ひとと、もりを」
だいこんが、うなずく。
「ひとりと、ひとりを!!」
おうじは、えほんと、ゆかと、じぶんのてを、みくらべる。
ひかりが、ぴくり、と、はねた。
「……ぼく?」
しずかなへや。
あめの音が、とおくにきこえる。
たまごは、すぐにはこたえない。
かわりに、やわらかく、こういった。
「でんかのなかに、そのしるしがある。
それだけは、まちがいございません」
おうじは、むねにてをあてる。
どくん。
ひかりが、ひとつ、みゃくをうつ。
まほうじんの“うさぎのみみ”が、
ふわり、と、すこしだけ、のびた。
そのしゅんかん。
まどのそとの、くもが、すこしだけ、うすくなる。
あおいすじが、そらにのびる。
とおく。
もりのなかで。
ちいさなかげが、はっと、かおをあげた。
みみを、ぴん、と、たてる。
まるで。
なにかに、よばれたみたいに。
おうじは、まだ、しらない。
その“みみ”が、
だれかのこえを、きくためのかたちだというこを。
王子を見守って頂きありがとうございました。




