第2話 ひかりは、くすぐったい
第2話です。
あさ。
あめは、まだ、ふっている。
ぽつ、ぽつ、ぽつ。
さんさいのおうじは、めをさました。
むねのなかが、きのうより、すこしだけ、あたたかい。
「……?」
ゆびさきが、ちいさく、ちり、とした。
みると。
あおいひかりが、ほそく、ゆれている。
ろうそくのほのおみたいに、
でも、もっと、やわらかい。
「まだ、いる」
「はい。おります」
たまごが、きちんとへんじをした。
にんじんが、ふわりとほほえむ。
「ねぼけて、きえたりはしませんでしたね」
だいこんが、どん、とむねをはる。
「ゆうべは、まぶしかったな!!」
おうじは、そっと、てをひらいた。
ひかりが、ゆびのあいだから、こぼれる。
さらさら。
すなみたいに。
でも、きえない。
「……くすぐったい」
そのとき。
ひかりが、ぴん、と、はねた。
ぱち。
カーテンのすそが、ふわりともちあがる。
まどのそとの、あめつぶが、
いっせいに、きらり、と、ひかった。
「わあ……」
おうじが、すこし、わらった。
すると。
ひかりが、やわらかく、まるくなる。
へやのすみにあった、かびんのはなが、
すう、と、せのびをした。
「でんか」
たまごが、しずかにいう。
「おこころに、はんのうしているようです」
「こころ?」
「はい。かなしいときは、つよく。
うれしいときは、やさしく」
にんじんが、そっと、おうじのてをつつむ。
「あたたかいですね」
だいこんが、くしゃみをした。
「へっくしょい!!」
どん。
そのしゅんかん。
ゆかのすみから、ちいさなめが、ぴょこん、とでた。
みどりの、ちいさな、ふたば。
「……?」
「おれじゃないぞ!?」
「いえ、でんかです」
たまごが、ていねいにうなずく。
おうじは、ふたばを、じっとみつめた。
ちいさい。
でも、ちゃんと、いきている。
「ぼくが、やったの?」
「さようでございます」
おうじは、もういちど、てをみた。
こわくない。
あたたかい。
そっと、ふたばに、ゆびさきをちかづける。
ひかりが、ふわり、と、ふれる。
ふたばが、すこしだけ、せをのばした。
「……すごい」
ぽつ。
まどのそとで、あめがはねる。
でも。
へやのなかは、さっきより、あかるい。
「ぼく、へんなの?」
ちいさなこえ。
にんじんが、すぐに、かおをちかづける。
「へんではありません」
だいこんが、どん、とひざをつく。
「かっこいいぞ!!」
たまごが、やわらかくいう。
「でんかは、でんかでございます」
しばらく、しずか。
あおいひかりが、ちいさく、ゆれる。
おうじは、まどのほうをみた。
くものむこう。
とおく。
「……おかあさま、みえるかな」
そのことばに、
ひかりが、すう、と、のびた。
まどをぬけて、
あめをぬけて、
そらへ、まっすぐ。
でも、すぐに、やわらかく、ほどけた。
まるで、
とどくかどうか、ためしてみただけみたいに。
「いまは、まだ、みちをさがしているのかもしれません」
たまごが、そっという。
おうじは、こくりとうなずいた。
「……じゃあ、さがす」
ゆびさきのひかりが、
ちいさく、ぽう、と、またたく。
あめは、まだ、ふっている。
でも。
さんさいのおうじのへやには、
ちいさなはるが、ひとつ、めをだしていた。
そのころ。
しろのそとの、もりのなか。
しめったはっぱのうえで、
ちいさなかげが、ぴくり、と、みみをうごかした。
あおいひかりが、
くものあいだから、ほそく、さしこむ。
かげは、それに、そっと、てをのばす。
あたたかい。
こわくない。
「……みつけた」
だれにもきこえない、ちいさなこえ。
ふわり、と、かげがわらった。
あめは、すこしだけ、やさしくなった。
王子のまほういかがでしたでしょうか。
見守って頂きありがとうございました。




