第3話:出来損ないの愛、完璧な管理
ライバル登場!
主君の「大好き」は、他の誰かが介入することを許さないほどに独占的です。
権左と主君の「二人羽織」バトル、開幕です。
「……先生の遺体を解放しろ、権左。君のような『失敗作』が彼女を汚し続けるのは、見ていて耐えられない」
瓦礫の上に立つライが、冷徹な瞳で俺を見下ろす。
彼の手元で展開されるのは、主君イザベラが編み出したのと同系統の、幾何学的で美しい錬金術式。かつて主君が「技術だけならお前以上だ」と評した男、ライ。
「……汚している? 心外だな」
俺は主君を背負い直す。
その瞬間、主君の遺体から溢れた術式の棘が、俺の左脇腹をブチ抜いた。
「ぐ、ふ……っ。見ての通り、俺たちは今もこうして熱烈に愛し合(殺し合)ってるんだよ」
「……狂っているね。先生が君を殺そうとしているのは、君を救済するためだ。君という醜いバグを、彼女の履歴から消去しようとしているんだよ」
ライが指を弾くと、無数の光の矢が俺へと降り注いだ。
俺は避けない。避ければ、背負っている主君に当たる可能性があるからだ。
ドス、ドス、ドス!と、肉を叩く鈍い音が響く。
だが、その矢が主君の遺体に触れる寸前――。
パギィィィィィン!!
俺の背後から、主君の術式が「拒絶の盾」として展開された。
それは俺を守るためではない。ライの術式が、彼女の所有物である俺に「勝手に」触れることを拒んだのだ。
『……ライ。お前も、私の権左に触れるなと言ったはずだ』
脳内に響く主君の声。
ライへの声は、俺へのそれよりも数段冷たく、事務的な殺意に満ちていた。
「くっ……! 先生! 死してなお、なぜその出来損ないを優先するのですか! 僕は、あなたの理論を完璧に継承したのに!」
ライが顔を歪ませ、さらに巨大な錬金陣を構成する。
だが、主君の術式は、ライの攻撃を弾き飛ばすと同時に、俺の右腕を強引に動かした。
『権左。……その男を「片付け」ろ。私の視界が、不純物で濁る』
「……仰せのままに、イザベラ様」
俺の右腕が、主君の意志によって黄金色に輝き始める。
主君はライを「ライバル」ですらなく、ただの「不純物」と定義したのだ。
自分の愛する(殺したい)権左を、他人には一指も触れさせない。
「聞いたか、ライ? アンタ、主君の眼中にないってさ」
俺は主君に操られるまま、地面を蹴った。
不死身の肉体と、天才の術式。
二人で一人の、歪な反撃が始まる。
第3話を読んでいただきありがとうございます!
主君のツンデレが「他人はゴミ、権左は私の(殺すべき)おもちゃ」という極端な形で見えてきましたね。
次回、ライバルのプライドはボロボロになる予感……!
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