■第七話 地鳴き山
こんにちは!作者のマンボウの素揚げです!色々とバタバタしていて最新話の更新が遅くなりました!ゆっくりの更新になりますがこれからもよろしくお願いいたします!
朝日がのぼり、鳥型の鳴き声が聞こえ出した。
これから俺達は地鳴き山に向かい、異変の正体を探りに行こうと思う。
「ちょ!ほんとに行くの!?怖いんだけど!?」
「ほんとだよ〜!みんなで鳥型をやっつけよ〜!」
速水がビビっているが、愛莉は元気に拳を突き上げて、みんなを鼓舞している。
「泊めていただき、ありがとうございました!ご飯も美味しかったです!」
「いいのよぉ、またおいでねぇ〜」
と、俺は宿屋のお婆さんにお礼を伝え、お婆さんは手を振って見送ってくれた。
坂を登り、学校の反対側へと向かっている途中、俺のスマホのバイブ機能が、" ブー、ブー "とうるさく反応する。
「あ、兄さんからだ!みんなごめん、電話出るね!」
そう言うと、みんなは無言で頷いていた。ありがたい限りだ。
「あ、もしもし?兄さん、どーしたの?」
「真人!無事だったか!よかった!今どこにいる!?」
ここで学校の近くと正直に答えると、戻ってこいと言われるに決まっている。なので俺は嘘をついた。
「もう街から離れて他のとこに怪物を倒しに行ってるよ!兄さんは何してるの?」
と、耳を触りながら発言した。
「はぁ……お前、危ないことには頭突っ込むなよ?
俺は学校で泊まってる。お前にも戻ってきて欲しかったんだが、仕方ないな。」
あぶねー!やっぱり学校近くって言わなくてよかった!
「ごめんね〜!じゃあ、兄さんも気をつけてね!」
迂闊なことを伝える前に早く電話を切りたいので、少し無理やり別れの挨拶を言った。
「ああ、ありがとう!お前達も気をつけろよー」
そう言うと、兄さんとの電話は終わった。
なんか、思ったより何も聞かれなかったな。と思ったが、気にせずにそのままスマホをポケットにしまい、みんなで歩き出した。
歩きながら愛莉がさっきのことを話していた。
「そういえば、まとちゃって嘘つく時ね〜、耳触る癖があるんだよ〜!」
「そーなんだよなー、なんか落ち着かなくて耳触っちゃうんだよなー」
俺は嘘をつくのが苦手らしい!仕方ないね!
いつものように自由に話しながらしばらく歩き、俺達は山のふもとまで来た。
「こうやって見ると、この山って大きいよね〜」
「意外と田舎なんだな〜」
山に感心する柳と自然の多さに驚く井口。
どこが田舎だ。緑豊かでいいだろ!と心の中で大自然を肯定した。
「山に入るから、そろそろ装備しておくか〜」と俺が言った瞬間。
「ガギャーー!!」
鳥型がいきなり襲ってきた。
『結』!と俺が叫び、鳥型は凍『結』した。
「このタイミングでってことは、俺たちお出迎えされてるのかな?」と速水。
「お出迎えにしては無礼だよね!もー!次来たら切っちゃうからな〜!」
「愛莉は本当に全部切っちゃいそうだよね〜」
「え?逆に切らない理由なくない?」
愛莉に怖いって感情はないのかな?など考えていると、山の方からまた鳥型の声が聞こえた。
「待ってくれ、ここは本当に地鳴き山だよな?
なんで鳥の声が聞こえないんだ?鳥型に全部食われたのか?」
……鳥、型?
俺は自分で発言してから少し違和感を覚えた。
なんだ、何かが引っかかる、なんだこれは……。
考えたが、答えが出ず思考を放棄した。
俺が考えている間にみんなの装備が終わったみたいだ。
「さ〜!いくぞ〜!!」
「愛莉ちゃん張り切ってるね〜」
「もうね!早く戦いたいんだ〜!柳ちゃんは!?戦いたくないの!?」
「私は魔法使えればなんでもいいかな〜」
戦闘に向けて張り切る愛莉と適当な柳。この二人のやりとりも、見てて面白いんだよなぁ。
「まと〜、ナッさん〜、お前ら俺のそばにいろよ〜?守ってやっからよ〜」
にこにこで井口が言ってきた。
「おいおい、俺は意外と攻撃力あるんだぜ?守るのはまとだけにしてくれよな!」
「是非ともお守りいただけると幸いです!!」
断る速水と土下座してお願いする俺。
なんでこんなにも違うんだ!ちくしょう!
こうして、みんなで話しながら地鳴き山へと入っていく。
山の中は、手入れがされていないのか草木が生い茂っていたが、昔の人が使っていたのか、木で作られたボロボロの階段が残っており、登るのは何もないよりは楽だった。
「それにしても妙だな、あんなに鳥型の鳴き声が聞こえたのに今は一切しない……」
俺が冷静に分析をした。
「確かにね〜なんか変だよね!」
愛莉も異変に気がついたらしい。
すると....
「ガギャギャー!」「ギャギャギャー!」
「ギィギィ」「ゴギギギギィ」
と四方八方から鳥型の鳴き声が聞こえてきた。
「これやばそうじゃない!?」速水が慌てる。
「噂によれば地鳴きがした後に何かが起こるって言われてるからな!これが地鳴きかはしらないが!」
俺がそう言うとみんな身構えた。
「ん?まと!言霊でなんかできないか!?」
井口が提案してきたが、うーーーーん、そう言われてもなぁ...
「あ、いけるかも!」
ちょっと思いついたことを試してみるか。
俺はみんなに「耳塞いでて」と言うと、息を思い切り吸った。
その後、『鳴』と言霊を使った。
「ゴギギギギィギャギャギャァァァ!!!!」
さっき聞こえた『鳴』き声が俺の口から発された。
大きな声で鳴いたからか、鳥型の声は消えてしまった。
「え?なに?まとちゃ、何したの?」
「あいつらの声で鳴いて威嚇した!」
「まとくん、本当に人間?」
「人間だよ!!!」
無邪気に聞いてくる愛莉と辛辣な対応をしてくる柳。
「「ま、まとさん!流石っす!」」
井口と速水は悪ノリし出して、目をキラキラさせている。はぁ、ほんとになんなんだこいつらは。
俺がため息をついていると。
「お、お前ら、な、何者なんだよ!!」
と茂みから声が聞こえた。
そちらに目をやると、少年が腰を抜かしてこちらを指差していた。
「君こそ何者だい?ここにいたら危ないよ?」
いかにも怪しい少年に声をかけた。
「なんで『鳥獣』の鳴き声が出せるんだ!俺はお前らを殺す気で鳥獣を集めて指示出したのに!」
少年はそう言った。
「君何か知ってるね?あの鳥型のやつは鳥獣って言うのかい?よければ色々教えてくれないかな?」
何やら色々と知っていそうな少年に、俺は聞きたいことが山ほどあった。それを聞くために一歩近づいたその時。
「ギャギャギャ!!」
鳥型、いや、鳥獣が少年を連れて行った。
「お〜!そこはお友達さんなんだね〜!みんなで追いかけよ〜!」
愛莉が先陣を切って追いかけ始めた。判断が早すぎるな、本当にすごい。
「みんな!愛莉に続こう!」
そう叫ぶとみんなで鳥獣の後を追いかけて行った。