■第三話 真人の戦い方
「おい、神とやら!本当に全員に異能を与えたのか!?俺!異能ないんだけど!」と神に猛反発。
だって俺だけ能力ないの意味わかんないんだもん。
「ん?なんだ、またお前か?
わしは今各地の対応で忙しいのだ。地球上の者全員に能力は与えたぞ。不平等はないように与えてるはずだ。」
ん?今各地の対応って言ったか?こんな化け物が出てるのがここだけじゃないのか?
それに不平等が無いようにだって?能力ないのに?それってもしかして....。と考えていたが、『ズズズズズ』と大きな音がグラウンドから聞こえてきた。
「まと!まずい!あいつ動き出しそうだぞ!」
「急いであいつがどこかに行かないようにしないと!」
速水が状況を叫び、井口が慌てている。
「待ってくれ、もしかしたら!」
俺は自分の能力値や能力、魔法など『能力表示』で出てきたものを片っ端から調べた。
神は平等だと言った。つまり能力がない分、俺には俺だけの何かがあるはず。
えっと、急げ急げ!どこだ!どれだ!と急ぐ俺の目に入ったものは『魔法・言霊』と書いてある場所の『言霊』の文字に目がいった。
昔、兄と話していた時にこう言われたのを思い出した。
「いいか、真人。言葉は凶器だ。刃物なんかよりも危ない。だから絶対に人に向けちゃいけないよ。暴言なんか特にだめだ。」
俺の人間性や今までの経験が能力に関係してるなら、誰よりも言葉を。一番の『凶器』を気にしていた俺なら!これが最強に決まってる!
『言霊』の説明にはこう書いてあった。
『意味のこもった漢字一字を具現化できる。』
これだけでは説明不足かもしれないが、今の俺には十分すぎる説明だった。
『言霊』の説明を読み俺は、ニヤッとした。
そして、俺は教室のベランダに行き、大きく息を吸い込み……
『波!!!』と、怪物に向かって大きく叫ぶ。
すると、目の前に『波』の文字が浮かび、すぐさま衝撃『波』になって怪物に向かい大打撃を与えた。それによって、怪物がこちらをギョロッと見た。
「なるほどな〜!俺はこれで戦えってことか!縛りプレイにも程がないか〜!?」
と笑いながら額に手を当てた。
俺も戦えるとわかった以上じっとしてられない。
少し強引だが、士気を上げる。
こいつらは能力を見る限り最強だ。正直、俺より強い。圧倒的に。
だからこそ、少し強引だがみんなの士気を上げる。
俺らは一人じゃないからこそ!勢いも大事だ!
「さあ!みんな!!この『チーム』であいつを潰すぞ!!」
「「「「おう(うん)!!!」」」」
と、全員が叫び怪物のところへ向かおうとする。しかし、
「まとくん!ここ二階だよ!どーするの!?
すぐ降りないと、あいつこっちきちゃうよ!」
柳が慌てているが、そのことについての対策を考えていない俺ではない。
俺が考えていたことを実行すべくニヤッと笑うと、
「まとちゃ、まさか、そんなこと、しない、よね?」と、愛莉は俺が何するかを分かっているかのように怯えていた。
「お、愛梨。俺が何をするのか分かったのか?」
そう言って俺は全員の服を掴み、
「さあ!!みんな行くぞ〜!」
ベランダから飛んだ。
「いやぁぁぁぁ!!」
「うおおおおお!バカヤロォォォォォ!」
「ああ、終わった。」
「まとちゃは!いつも!破天荒なんだからあああ!!!」
と各自がリアクションしていた。
俺は地面にぶつかる前に、余裕を持ってこの言葉を発する。
『柔』
すると地面が『柔』らかくなり、俺の予想した通り、皆しっかりと無事に着地することができた。
「「「「いや、無茶するなよ!!!!」」」」
「生きてるんだからいいじゃないか〜。さ!いよいよ戦闘だよ!
さっきの能力値画面に装備ってあったよな!あれ全員押してみて!」
声を揃えてみんなが怒っているが、ふざけてる場合じゃないので、全員を戦闘体制へと変えるために声に出してみんなに意識させると同時にIGLとして指示を出す。
装備を装着した方が他の四人は強いと思う。
さっき皆の能力を見たけど、あれは多分能力単体で機能するものが少ない。
つまり、装備を整えてからじゃないとキツい上に、みんなを想定以上の危険に晒してしまう可能性が高い。
だから、俺はなるべく校舎から離れるために走った。
「俺は!多分装備とか意味ないから!あいつを引きつけるよ!装備が終わったら助けに来てくれ!!」と大声で叫ぶ。
それを聞いた四人は、それぞれ能力値の画面を開いて装備を急いで確認していた。
さて。『疾』と叫ぶと俺は『疾』風の如く怪物の元に向かい、そのまま『固』と叫んだ。
すると、怪物はぴくりとも動かず『固』まった。
『言霊』めっちゃいいやん!イメージで使ってたけど、これ使いやすいな〜!
「よし。この間に!」
俺も能力値の画面を開き、装備と書いてあるところを開いた。意味がないかもしれないけど。
もしかしたら、装備が強いパターンもあるはず!すると俺の手元が光り輝き、次の瞬間。
『ボロッボロの小刀』が俺の手元に出てきた。
それはもう刃物と呼ぶのも失礼なような。ボロボロでツギハギだらけの形の悪い小刀。
「はぁ」とため息をついて俺はもう一度装備と書いてあるところを押し、刀をしまった。
うん。俺は何も見てない。
俺は『言霊』だけで戦うんだもん。そうだもん。と自分に言い聞かせた。
そうこうしているうちに、俺の『言霊』の効力が切れたのか、怪物が動き出し、俺の方を見た。
しかし、その途端、怪物がいきなり横に吹っ飛んだ。
「は?」
俺は想定外の状況に頭の整理が追いつかなかった。
怪物は重そうな体を持ち上げて、自身を吹き飛ばした対象を見る。
その先には.....
「はーっはっはっはっはー!おめぇさては!見た目だけだなー!?」
と思いっきり調子に乗っている井口がいた。
しかし、見た目があまりにも違った。