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■第二話 非日常の始まり

突如グラウンドから現れた巨大なドラゴンのような……いや、地面から出て来たし、よく見るとモグラに似た生物か?

大地を分けて出てきたその体はとても大きく、異能を手に入れたばかりの俺達では無理なのではないか。と思ってしまうくらいの大きさと迫力だった。


「え?あれを倒すんですか?」と俺は神に聞いてしまった。

「うむ。察しが良くて助かるわい。まずはあいつを倒すところからじゃな。」

当たり前だろう。みたいなノリで返してくる神。

いや、普通にキツくないか?でも能力次第では……などと考えていると、教室のドアが勢いよく開いた。


「何をやってるんだ!今すぐ体育館に避難するぞ!!」

と、担任が大声で非難を促す。相当パニックになっているみたいだ。そりゃそうだよな、急にこんなことになってしまったのなら無理もない。


「さて、自分の能力と能力値の把握はどうやるんだ?」俺は自分でもびっくりするくらい冷静に、神へ再び質問をしていた。

「お?やる気なやつがおるのう。ほっほっほっ。おもしろい!

能力は確認したいと念じたり、言葉にすることで目の前に表示されるようになるわい。試しに『能力表示』とでも言ってみるといい。」

僕はすぐさま「能力表示!」と叫ぶと、後ろからも「「「「能力表示!」」」」と声が聞こえてきた。


後ろを振り向くと、そこにはいつもの四人が逃げずに能力を表示していた。

そりゃそうだ。こいつらが逃げるわけない。生き残るために戦うつもりだ。

他の生徒たちは一目散に避難している。なんなら、担任もすでに避難してしまっている。

〔おいおい。残ってる生徒がいないか確認しないのはまずいだろ。でもまあ、イレギュラーは対応しにくいよな。仕方ない〕などと辛口コメントを心の中で言い終わると。


「まずは、自分の能力とステータス。味方同士も照らし合わせよう。そうすれば連携がしやすい。」

俺はこのメンバーでゲームをする時も、頼りないがIGL(In Game Leader)をさせてもらってる。


「正直なところ、ゲームと感覚は似てると思う。みんなが良ければ俺に指揮を取らせて欲しい。

ただし、ゲームとは違って命がかかってる。俺を信じられないなら無理にとは言わない。」と言うと……


「まとに任せとけばなんとかなる!ってのは無責任だが、お前の腕は信頼してるぜ!あとは任せた!」と井口。

「いや全部任せんなよ。しかもなんだその構文は!お前もやるんだよ!」と柳。

「私は前線ガツガツの能力がいいな〜!サポートも好きだけど!闘ってるときの緊迫感たまんないもん!あ!まとちゃなら問題ないと思うよ!」と愛莉が興奮気味に語っている。

「えっと、皆前線なの?俺能力次第では全然後衛行くから!サポートは任せろ!あとは任せた!!」と速水。

……ん?男組、人に任せすぎでは?


「慌てるな慌てるな。まずはお互いのステータスの確認からだ!」

俺の掛け声を合図に全員が能力を確認していく。


「俺の能力は...っと.......」

俺は自分の能力を見て言葉が出なかった。ああ、俺はどこまで行っても主人公にはなれない、のか。

さっきまでの元気とは裏腹に、一気に自信がなくなった。


「まとちゃ、大丈夫?」

愛莉が心配して声をかけてくれた。

「多分この感じ、俺最弱だぞ。とゆーか、戦えん。愛莉はどんなのだった?」

「えへへ〜!私はね!これっ!」

と能力を見せてくれた。能力名『形態変化』とだけ書かれていた。

「え、くっそかっこよ。」

あまりのかっこよさに言葉が漏れた。

「かっこいいのは嬉しいんだけどさ〜。説明がないからこれじゃ能力わかんないんだよね〜」と愛莉は笑っていた。

「いいか、愛莉。説明がないっていうのはむしろいいことなんだぞ。

神は異能を与える時に、コミュニケーションや人間性などとだいぶフワッとした表現だっただろ?

これは俺の推測なんだが、この能力は俺たちの考え方次第で幅が広がるんじゃねぇか?

でも、今回の愛莉の場合は『形態』を『変化』させる能力だろ?つまり、武器とかの形が変わるんじゃねぇかな!?

いや、もしかしたら防具とかが出てきてそれの形が変わるのかな!?

むしろ愛莉自身が形態変化する可能性もあってだな…!」

と少し早口で話した。オ、オタクの悪いところ出た〜!!と反省していたところ、

「漢字四文字だけでそこまで推測できるの!?流石まとちゃだね!」と愛莉は満面の笑みだった。


「ちなみに他の皆は?どんな能力だった?」

と俺は確認した。全員の能力を把握しておけば、色々と作戦が組み立てやすい。

“グオオオオオォォォォォォ!!!!”とグラウンドから雄叫びが聞こえた。

「早く行かなきゃやばそうだから、俺がまとめて話す!井口が『刹那一動』、柳が『透過色彩』んで、俺が『魔力製造』だ!漢字から読み取ればなんとなくは戦えそうだな!」


なんか全員強そうすぎんか?え?俺いる?などと考えていると愛莉が「まとちゃの能力は?この五人の中で一番話すの上手いからまとちゃは最強かな?」と無邪気な笑顔が飛んできた。

「あの、えっと実はだな、俺もなんでこーなのかわかんないんだけど、とゆーか、バグであって欲しいんだけど……」

自分でも運がない方なのは知っていたが、これは酷すぎないか?


言い淀む俺を不思議に思い、4人全員が俺の能力を確認してみんなで顔を合わせたあと、


「「「「えええええええええ!?」」」」と叫んだ。


みんなが驚くのも無理はない。

なぜなら、そこには能力名『----』とあり、俺だけ能力を持っていなかったのだから。

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