■第零話 全ての始まり
コツ、コツと靴が床を蹴り、大聖堂に響き渡る。足音の主達はそれぞれの席の前についた。
「どうぞ、お座りください。」と声がかかり、皆が一斉に腰を下ろす。全員が座ったことを確認すると、中央にいた『智』の神が司会を始めた。
「これより!五神会議をはじめる!」
そこにいた『武』『美』『天』『獄』の四人の神は無言で手をたたいて賛同の意を見せ、『智』の神はすぐに本題に入った。「本日の議題は......」一瞬大聖堂が静まり返る。
「発達していく人間界、それに反して衰退している人間達、この処罰において議論を行いたい。」
そう語った。
「ちょっと待て!話が飛躍しすぎている!いきなり処罰とは無いだろう!」と『武』の神が反論した。
「おや、そうじゃった。脳筋にはきちんと説明が必要じゃったの。くっくっ、失礼失礼。」
「なんだと!?この捻くれ者め!!!」
いつものように口論になりそうなところ、割って入るかのように「それで?本題はなんなのだ?」『美』の神がそう言った。
「おお、そうであったな、では順を追って話そう。
こほん、皆も知るように、人間界は近年みるみる発展してきておる。だが、そのせいで人間達のある能力が衰退してきておる。それはなんだと思うかね?」
『智』の神はその場の全員に投げかけた。
「発展し続けている人類に衰退してるとこなどあるのか?」と疑問を抱く『天』の神。
「あったとしても、自分達で解決しているのではないか?」と少し投げやりな『獄』の神。
他の神々も頭を捻っていたが、答えは出なかった。
そこで『智』の神に答えを求めた。そうすると、こう返ってきた。
「今の人間に足りないもの、それは...」他の神はその続きの言葉を聞き、唖然とする。
「 『コミュ力』 じゃよ」
シーン...と大聖堂に静寂が訪れた。