真夜中に、春を喰らう準備をする
今さっきの出来事を推敲もなくただ綴っただけなのでオチとかはありません。
数週間ぶりに家族で外食をした。帰りにスーパーに寄る。
野菜コーナーにウドがあった。
ああ、もう春が近づいているのか、と思う。
正確には、色の白い栽培されたウドは年中出回っているらしいが、それを言っては風情が無い。
私はウドの酢漬けが小さい頃から好きだ。
それにウドは自律神経の調整に良いらしい。ちょうどフラフラと軽い目眩を起こしていたのもある。久しぶりに食べたいなと思い購入した。
自宅に戻ると、疲れがドッと出たのかそのまま寝落ちしてしまった。
真夜中に起きる。時計を見るとAM3:15。やっちまった。買ったウドとセロリはテーブルの上に置いたままだ。まだ寒くて良かった。
ウドを洗う。産毛の感触がさわさわと私の掌を刺激する。洗ったら穂先を落とす。穂先は天ぷらにするのだ。
皮をむき、縦に割ったあと短冊切りにする。真っ暗で静かな中、台所には蛍光灯の明かりとトントンというウドを切る音だけが存在する。
ウドは外側は若草色とクリーム色と茶色の、産毛が生えた武骨な姿である。が切ってみるとそれはそれは美しい雪のような真っ白さを現わした。
ここで合わせ酢を作る。本来ならウドを切る前に先に作っておくべきだったがテキトー家庭料理だからいいのだ。
ちなみに酢漬けの作り方もテキトー家庭料理だ。普通は切ったウドを薄い酢水につけてアクを抜くのだろうが、うちの母親はそのままダイレクトに漬けていた。合わせ酢もレシピとか何対何とかない。酢と醤油をテキトーに混ぜて味見するだけ。実にワイルド。
うちは牡蠣醬油を常備しているので、普通のしょうゆと牡蠣醤油を半々で使う。ダシが利いて美味しい。
最初はガラスの保存容器に切ったウドと合わせ酢を入れたが、微妙に足りなかった。
ウドとは別にセロリの酢の物を作ろうと思ったのが敗因だった。そしてちょうど玄米酢が切れてしまい合わせ酢の追加作成ができない。
ふむ、と考えジッパー付ビニール袋を出す。そこにウドとやや少ない合わせ酢を入れて空気を抜く。アーラ不思議、バッチリ合わせ酢がゆきわたりました。ついでに真空に近い状態になったので早く漬かるのだ。
SDGs等、プラスチック減が世に叫ばれて久しいが、いずれこのジッパー付ビニール袋も世の中から消えてしまうのだろうか。こんなに便利なものを知ってしまってから「使っちゃダメ」と言われたら怒り狂う人も中にはいるのではないか、と余計なお世話だが考えてしまう。
残した合わせ酢を軽く煮立たせ、砂糖と塩を入れてセロリ用の漬け汁を作り、そちらも漬けてフィニッシュ。冷蔵庫に眠っていただく。
明日の朝……違った。数時間後が楽しみである。
お読み頂き、ありがとうございました。