徹夜
源之助の寺に戻り治療を受ける京助達……………
戦いの後、源之助の寺にて治療を受けている二人。
「よし、とりあえず応急措置としてはこんなもんじゃろ!」
横になっている二人の背中を叩く源之助。
「痛い!!」
声を上げる二人。
ボロボロの二人とは裏腹に元気いっぱいの源之助。
「Aランク2体も相手したのに無傷って……ほんと俺らと同じ人間ですか?」
そうゆう英司を他所に二人の目の前に胡座をかき、茶を啜る源之助。
「お前達とは体の作りが違うんじゃ、一緒にするない」
そしてそのまま話を進める源之助。
「どうやら今回の件、わしの見立て通りスレンダーマンが絡んでいるようじゃ。奴には周りのものを操る能力があるようじゃ」
英司が源之助に聞く。
「でもなんでこのタイミングでここに?偶然にしては……」
そういいながら京助の方を見る英司。
「うむ、どうやら狙われているのは京助のようじゃな」
!?
……やはりというべきか薄々気付いてはいたけど俺の周りでは今回みたいな事件が多いと思っていた。
「でもなんで京助が?」
そう聞く英司にう~んと考え込む源之助。
「敵の狙いまではわからん。だが最近クリプティッドの職員が行方不明になる事件が何件かあったじゃろ、もしかしたらそれが関係しているのかもしれん」
深くは突っ込まない源之助だが俺はなんとなく原因不明の俺の力がきっかけなんじゃないかと思った。
だがクリプティッドの職員が行方不明になってるなんて話しは初耳だった。
「あの、行方不明の事件って?」
すると英司が口を開く。
「あぁ、ここ一年くらいの間に何人か職員が行方不明になってるんだ。こういう職場だから無断で止めてったて人もいるかもしれないけど中には任務中に音信が途絶えた人もいる。CTの仕業とみて今も調査が進められているんだ」
「そんなことがあったのか……」
なんで一心さんなにも教えてくれなかったんだろう。
源之助が話しを進める。
「もしかしたら京助には敵がなにかマーキングのようなものを付けている可能性があるの……まぁそこはわしがなんとかしよう」
「!?」
びっくりする二人。
「何とか出来るんですか!?」
胸を張り拳をドンと叩く源之助。
「わしを誰だと思っとるんじゃい、昔はブックウォーカーと呼ばれわしに不可能はないと言わしめておったぞい!」
ほんとにすごいなこの人、たしかになんでも知ってるしAランク相手にしてもけろっとしてるし……これも特異武器の力なんだろうか。
京助が質問する。
「源之助さんの特異武器ってなんの能力なんですか?」
「ん、わしは特異武器なぞ持っとらんぞ」
「えっ!?」
またまた驚く二人。
「だって今までの戦いとかって…」
「あぁ、ありゃわし自身の力じゃよ」
えぇ…特異武器無しでAランク二体も相手にして俺達二人のサポートまで…
「わしの力はいわゆる陰陽術というやつでな、この力は訓練すれば誰でも使うことが出来る。
といっても今陰陽術を使ってるのはわしか道元くらいじゃがのう」
英司が源之助に聞く。
「道元ってまさか…」
「英司は知っておるか、そうじゃ安倍道元じゃ」
英司が驚いた後すぐに納得したかのような表情をする。
二人の会話についていけず困惑する京助。
「あの、安倍道元って?」
「おぉ、すまんすまん。京助は知らなんだか、安倍道元はクリプティッドの現最高戦力にして京都にある本部の指揮官じゃ」
俺は初めて聞く名前でいまいちピンとこないが英司の方はなにやらいろいろ知ってそうだ。
すると源之助は立ち上がり京助に
「さて、じゃあ京助はわしと共に昨日行った部屋まで来てもらおう。そこで施術じゃ」
だが英司が
「いや、京助もまだ動けるような体じゃ……」
言いかけた英司をよそにスッと立ち上がる京助。
ギョとする英司が俺を見て
「お前……ほんとに頑丈だな…」
「まぁ特異武器のお陰でなんてかね…ハハッ…」
特異武器なんて持ってないが自分の身体の問題を誤魔化すのにちょうどいいと嘘をつく京助。
「じゃあ英司はしばらくここで休んでおれ、行くぞ京助」
そう言われ源之助の後を付いていく京助。
昨日来た部屋に入りまた同じ場所に座る京助。
「あの、源之助さん。敵に狙われてるのってやっぱりこの力が原因なんですかね?」
源之助が返す。
「いや、そこまではわしもわからん。だがこの力が引き金で奴らを誘き寄せているかもしれん」
すると源之助がなにやら呪文ねようなものを唱え出す。
しばらくじっとしているといきなりハッと俺の頭をバシッと叩く。
「痛てっ!」
すると叩かれた直後なにやら身体の周りが何かに包まれたような感覚に陥る。
「源之助さん、これ…」
「うむ、お主から出ている陰力が原因かと思っての。その力が漏れださんようにわしの力で包み込ませてもらった」
身体の周りが薄い膜で覆われているような感じだ。
「今の段階では陰力が外に漏れ出すというのはまぁないじゃろう。とりあえずこれで様子を見てみるかの」
礼を言う京助。
「ありがとうございます!」
「まぁまだこれで安心といった訳ではないがの。そいで今後のことじゃがの、わしがお目付け役としてお主が任務に出る時に一緒になることになった」
「源之助さんがですか!?でも一心さんとかには…」
「もう連絡済みじゃ、まぁ会社を通しとらんからわしの独断行動って形になるかの。一心にもそうしてほしいと頼まれたのじゃ。昔のよしみってやつじゃ」
「まじですか!?いや、源之助さんが傍にいてくれるなら心強いです」
「じゃがわしはあくまで不足の事態の時の助っ人みたいなもんじゃ。お主らで解決できることはわしは手を出さんぞ」
「え!?」
「当たり前じゃろ?タダ働きなんじゃから、そこまで甘やかすつもりはないぞ。それにお主もある程度覚悟を決めてクリプティッドにはいったんじゃろ?」
ガックリ肩を落とす京助。
「たしかにそうですけど………」
「ま、そんな感じで次の任務にからはわしも一緒になるでよろしくの。そいじゃ英司の所に戻って飯の準備でもするかの」
そのまま部屋を後にする二人。
その後2日間源之助の寺で休ませてもらう京助と英司。
そして今回の件を直接一心に報告するため支部に戻る二人。
支部の扉を開けると出迎えていたのは一心だった。
「お帰りー二人共!ご苦労様!怪我の方は大丈夫かい?」
英司が答える。
「はい、俺の方はまだ本調子とは行かないですけど……」
京助も答える。
「俺の方はもう大体治ってる感じです」
二人を見る一心。
「そうか、まぁ二人が無事に戻って来てくれてよかったよ」
優しい笑みを浮かべる一心。
「じゃあさっそくで悪いけど今回の件の報告もろもろ会議室で済ませちゃおっか」
会議室へ移動する三人。
オハチスエやAランクCTの出現、それからバックにスレンダーマンがいることなどその時の状況を細かく説明する英司と京助。
一心が腕を組みながら難しい顔をする。
「やっぱりスレンダーマンが絡んでいたかぁ、奴らは知性がある分他のCTより厄介だからなぁ。徒党を組まれるとそれだけ対処もしづらくなるし今回もオハチスエが出てきたってことは次も高い確率で姿を現すだろうね」
」
英司が一心に言う。
「そして今回のことで明らかになったのは京助が敵に狙われている可能性があるということです。源之助さんもいってたんですが京助に何らかのマーキングをしてるんじゃないかって」
指を鳴らし答える一心。
「そうだねぇ、いままでのは偶然にしてはタイミングが良すぎるし真っ先に狙われているのは京助だからねぇ」
京助が口を開く。
「源之助さんがもしかしたら俺の力に反応してるんじゃないかって、だからそれについては源之助さんが俺に術を施してくれたみたいで……それに次の任務から源之助さんも一緒だって…」
「そうそう!僕の方から源じいにお願いしといたんだ。あの人引退して暇もて余してるみたいだし、本人も体が鈍るからとか言ってたしね」
うんうんと頷きながら答える一心。
「じゃ今回の件についてはもろもろ上の方に僕から報告しておくからさまた動きがあり次第おって連絡するからそれまではゆっくり休んで頂戴」
「はい!」
そう言って部屋を出ようとする二人だったが京助だけ引き留められる。
「えっ?」
一心がニコニコしながら呼び止めるが目が笑っていない。
「えっ?じゃないでしょう。君任務の前ここを出てくとき僕に黙って武器いっぱい持ち出したでしょ?」
「………………………あっ」
「やっぱりか!京助はこれから僕と一緒に開発局の方へ謝罪に行ってもらいまーす!あとこれ始末書ね」
ドン!と机の上に置かれた始末書が束になって何枚もある。
「いや~京助の怪我の治りが早くてほんとよかったよ。今日は徹夜でも大丈夫そうだね⭐」
白目をむき魂が抜けたかのような京助だった。
「陰陽術」
平安時代が全盛期と言われており代表とされるのは
天才と呼ばれた安倍晴明