黒幕
オハチスエと対峙する源之助だがはたして……
オハチスエが源之助に睨みを効かせる。
「やれやれ、わしが誰かもわからんかオハチ?」
遠くから京助が源之助に言う。
「オハチスエは、操られてるみたいなんです!……首の後に…へんなものが!」
するとなにかを唱え出す源之助。
「速力の式!」
!?
唱えた途端源之助が消える。
「ほう、これは寄生吸虫じゃな?」
「!?グォォォォォォ!!」
消えたと思った源之助がいつの間にかオハチスエの背後に。
源之助の声に気付き太刀を後ろへ振りかざす。
だがすんでのところで身をかわし後退る源之助。
「まったく鈍いのう、なんじゃその体たらくは!虫なんぞ付けられおって一体なにがあったんじゃ?」
「グォォォォ!!」
源之助の声に耳も貸さずそのまま突っ込んでくるオハチスエ。
「やれやれ……剛力の式!」
またなにやら源之助が唱えたと思いきや避ける素振りも見せずそのまま棒立ちの源之助。
「源之助さん!!」
叫ぶ京助を他所にそのままオハチスエとぶつかり合う源之助。
ドシィィィイン!
車でもぶつかったのかと思う程の音が鳴り響き正面衝突するオハチスエと源之助。
だが振り下ろした太刀を源之助が白羽取りで止めていた。
驚くオハチスエ。
「グォ!?」
「ふんっ!太刀筋が見え見えじゃ!出直してこい!!」
そういうと右足でオハチスエの顔面を思い切り蹴り飛ばす源之助。
吹き飛びそのまま倒れ込むオハチスエ。
「グ、グォェ……」
固唾を飲み見守る京助。
「源之助さんてこんなに強かったのか……あのオハチスエが子供のようだ」
「束縛の式!」
源之助が唱えた途端オハチスエの体を光の輪が拘束する。
「ギギ、グォォォ!!」
動けずもがき叫ぶオハチスエ。
オハチスエに近づく源之助。
「その頭に引っ付いてる虫はがしちゃる……!?」
何かの気配を感じ後に飛び退く源之助。
するとオハチスエの背後の空間が歪み亀裂が走る。
「あっ、あれはあの時の!?」
京助が思いだし声を上げる。
身構える源之助。
「誰じゃ!?」
するとオハチスエの後、亀裂の入った空間からスーツ姿にハットを被った人物が出てきた。
だが人間とは違い手足が異様に長く顔はのっぺらぼうのように何もない。
「やれやれ私達の同胞の中でも強いほうなのですがね、あの三体は……」
口が付いていないのにどこから声を発しているのか、とにかく不気味なCTだ。
「やはり黒幕はお前か……」
そういう源之助の言葉を聞いて思い出す京助。
「ス、スレンダーマン……!」
クリプティッドで渡された資料にも載っていた……一心さんや源之助さんが要注意だといっていたCTだ!
「このまま彼を手放す訳にはいきませんので、この先の計画にも支障がでますから」
そういいオハチスエの肩に手をおくスレンダーマン、いつのまにかオハチスエも沈黙している。
「お前らの目的はなんじゃ、なぜ京助を狙う?」
「別にあなた方に教える必要はないし話しに来たわけでもありません、私はオハチスエを回収に来ただけですから」
するとなにやら札のようなものを取り出す源之助。
「わしがこのまま黙ってお主らを帰すと思うか?」
するとスレンダーマンの周囲から不気味な気配が発せられゾクッとする京助。
後退りする源之助。
「止めといたほうがいいでしょう。怒らせると……怖いですよ?」
そういうと亀裂がスレンダーマンとオハチスエを包み込む。
「また近いうちにお会いするでしょう。それでは」
そういい残し亀裂の中に消えていく2体。
「終わった……のか?」
ふぅ、と軽く息を吐くと京助の方に近寄る源之助。
「まったくお主も無茶をするわい」
そういいながら京助を担ぐ源之助。
「いてて……源之助さん、俺…」
「わかっとるわい、オハチを止めようとしてくれたのじゃろ?
………すまんかったの」
すると茂みの中から誰かが飛び出してきた。
身構える二人。
だが出てきたのは英司だった。
「あれ、なんで源之助さんがここに……て京助!?お前またボロボロじゃねぇか!」
たしかに俺もボロボロだが今回は英司も結構な傷を負っている。
「やれやれ、二人ともボロボロじゃないか。まったくこの先が思いやられるわい」
ため息をつく源之助。
英司が源之助に聞く。
「源之助さん一体なにが……オハチスエはどこへ?」
「その話しはまた後でじゃ、とりあえずわしの寺まで戻るぞい二人とも治療が必要じゃろ?」
たしかにと頷く京助と英司の二人、寺へ戻ろうとする三人であったが緊張の糸が切れた二人とは違い源之助は冷や汗をかいていた。
「わしが冷や汗かくとはの。
スレンダーマン、いや………その後にいる存在と言うべきか。
嫌な予感がするのう」
「スレンダーマン」
AランクCT
人や物、自分以外のCTを操る力がある