第2話 急変化
雫という名の少女と会ってから、1週間が経った。
「結局、あれから何もなしか………」
そう、あれから彼女からの接触は全くない。
「何が精霊だよ、ふざけやがってっ!………」
はなから信じないという選択もあったけれど、僅かな希望にも縋りたかった。
「悠人さん〜検査のお時間ですよ」
「わかりました」
一瞬でも信用したことに後悔していると、看護師が病室に呼びに来た。
それから色々な検査を終えたあと、診察室の前に行くと何やら慌ただしいような雰囲気がただよっていた。
「悠人くん!ちょっといいかな、今お母さんに連絡して来てもらっているんだ」
診察室の扉を開けると、挨拶するまもなく主治医の柳原先生が話しかけてくる。
「どうしたんですか?もしかして、どこか悪くなってました?」
「違うんだ!その逆だなんだよ!君の身体には一切の以上がないんだ、完全に病気が治ったんだよ!信じられない………この調子だとあと数日様子見したら退院だよ!」
「え?……は?…………」
状況が理解出来ずに混乱していると、扉が開いて母さんが入ってきた。
「悠人に何かあったんですか?!」
「落ち着いてくださいお母さん、実は____」
状況を知らされることなく来たらしい母さんは、俺に何かあったのかと柳原先生に詰め寄るが、先生が検査の結果を伝えると、涙を流しながら喜んだ。
「よかった……………よかったね、悠人……」
それから、5日間の入院を終え、俺は退院した。