第0話
──残念ですが、あなたはもう長くはありません。
なぜこうなったかはわからない。
体に違和感を感じて病院に行ってみたら、突然こんなことを言われた。
「これ、ここに置いておくからね?」
「うん」
余命半年と宣言されてから、1週間経った。
何も理解出来ないまま入院の準備が進められている……………いや、理解はしている。だが受け入れられていない。
実際に余命宣告される。なんてことが自分の身に起こるとは、ただただ笑えない。
「高校は何も気にせず療養に専念してくださって言ってたよ」
「うん」
どうせ何をしても死ぬだけなんだから学校なんでどうでもいい。
それから高校の友人などが訪ねてきたが、特に何を感じるでもなく過ごす日々が続いた。
「もう死ぬって言うのに、何も実感がわかねーな〜」
普通なら遺書を書いたり、家族に愛を伝えたり、今までの人生を振り返ったりするのだろうが、そんな感じは一切ない。
「もしかして俺、死ぬの怖くねーのかな」
そんなことを呟いた次の瞬間──
「ぐっ!」
突然胸が苦しくなり、゛血を吐いた゛。
「なん……で?」
意識が朦朧となる中、分かりきっている疑問をおぼえつつ意識が途絶える。