酒と魔物
うーん……
やっぱり違うんだよなぁ……
オラ飲みで酒ってゆーのはこうでねぇ。
このいっつも飲んでる酒っこぁ全然駄目だ！
もう一年ぐれ飲んでるのも全然旨ぐねぇんだ！
こったなで酔っ払うわげねべ！！
オラはしゃ、酒っこどご呑むながいいなしゃ。
わがるが？
オメさも……
酒っこっちゅのは酔えばいいわげでね。
旨ぇすて呑んでこそ酒だべった！
なぁ！？
そう思うべ！？
ヒック……
オラぁ全然酔ってねがらよぉ……
ヒック……
楽すぐ酔っ払える旨え酒呑みでな！！
んだのも夜だすもぉ寝ふてぇ……
だえだこりゃ、寝る……
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よす、オラ決めだ！
ドブログ造る！！
さすがに日本酒は無理だのもよ。
ドブログなば米発酵させでオラでも造れるべ？
造り方何もわがんねのも、何事にも挑戦っちゅのが必要なんだ！
確か酒作るにゃ米ど麹ど水必要だべ？
麹って何だっけな……
麹…… 菌？
んだ、麹菌だ！
麹菌なんてどさあるなよ！？
んだのも菌どごへれば発酵するあんでねっけがな？
どごだがで聞いだ事あるな……
口噛み酒だっけがな？
米噛んで口の中さある菌で発酵させで酒にするがったはず。
よす！
米噛んで酒っこ造ってみるべ！
っちゅーわげでこの日がらオラの酒造りが始まったわげよ。
村の人がらもらってだ米ど入れ物用意したら……
あどは何だ？
この米じょなそのまま噛むんだべが？
それとも炊いでがら噛むんだべが？
わがんねすどっちもやってみるが……
米炊いでまずはこっちがら始めるべ。
炊いだ米を口さ含んですっかり噛む。
どんけ噛めばいがわがらねのも……
あ、飲んですまった。
へばもう一口。
とりあえずさっとが噛んで、皿さ吐ぎ出す。
これを繰り返すてげばいいべ。
大っき皿さいっぺになったこの…… なんだべ。
噛み出した米！
これどご瓶はねぇがら陶器の入れ物さ入れでいぐ。
よす。
こごまでで五っつでぎだ。
次は生米ど水口さへでやるなが……
めんどくせのも酒っこの為だど思えば頑張れる。
よぐわがんねまま口噛み酒造りすてみだんだのも、一晩経ってどうなってるべな……
とりあえず家の床下で寝がせでみだのも。
床板外して被せでだ布取ってみだらなんだが泡立ってる。
ぶくっぶくって発酵すてるみでんた！
炊いだ米も炊いでね米もどっちでも発酵するみんたな！
これですばらぐせばアルコールになって酒っこになるんでねっけがな！？
こんたに簡単に造れるど思ってねがった！
よーす。
こりゃ楽すみだ。
ちゃんとアルコールなるまで大人すぐ待づべ！
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あれがら一週間。
まんず一つ呑んでみるべがな。
炊いだ方がらいってみるが……
コップさ掬って見るのも白濁りしてでドブログみんたな。
香りは……
うん、アルコールの香りもするのも…… 酸っぺんた気もするな。
よす。
まんず一口……
酸っぺ！？
あやおがしなや、酢みでんたぐなってらおんだ。
これなば失敗がも知れねな……
へば次は炊いでね方……
こっちも白濁りすてるすドブログにゃ見えるんだのも。
香りはこれも似だぃんた酸っぺ香りする。
飲んでみでもやっぱり酸っぺがった……
楽すみにすてだのも、やっぱりそう簡単に造れるもんでもねべな！
一回失敗すたがらって諦めでらいね！
オラの酒造りはこっから始まったんだ。
これがオレの趣味、仕事、そすて生きがいさなってぐどはこの時は思ってねがったんだのも……
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酒造りも何ヶ月なったべ。
農作業すながら毎週毎週新すぐ酒っこ造りすて過ごすてらったなひゃ。
何十回って失敗すて、それでも諦め切れねくてまだ造る。
噛んでは吐ぎ出すて発酵させる。
毎週同じ事繰り返すた。
そんた日々を送ってだんだのも、村もずっと平和なわげでもね。
村の近くさゴブリンっちゅー魔物の群れが住み着いだんだど。
たまーに畑の野菜どご食われるだげで、人の被害は出でねがったんだけどよぉ。
すばらぐすたっけ村の方さ集団で襲って来たなしゃ。
オラの酒造りの味見の日。
「きゃあぁぁぁあ！！」
「うわぁぁあ！！ 皆んな逃げろぉお！！」
村の外れの方さ住んでだ人達が逃げで来た。
オラのどさ聞ごえでくるまですばらぐ掛がるがら、気付ぐなさ遅ぐなったなしゃ。
オラは皆んなどご守るどってクワ持って走って行った。
皆んなすて逃げで来る方ど反対側さ向がえばいるべど思ってな。
走って行ったばゴブリンがらぶん殴られでる村人いだがら、まんずその人どご助けるどって魔法撃ってゴブリンどご倒すた。
『グア゛ァァァア゛！！』
火ぃちで叫んだなは熱っちして転がり回る。
放っといでも死ぬべがら、その横さいだなどごクワで頭を叩ぎ割ってやった。
「大丈夫だが！？ 死んでねべな！？」
「う…… うぁ…… うちの家ぞ…… くが……」
あや、村外れのノルドさんでねが。
確か奥さんど娘っ子いだっけな……
「待ってれよ！ 助けでくっからな！」
ゴブリンっちゅー魔物は確か欲望のまんま生ぎでるんでねっけが。
急がねば大変な事ぃなっちまう……
オラはゴブリンどご探すて全力で走った。
村の一番遠ぐさある家。
こごどご根城にすたんじゃねべが……
オラはクワどご握り締めで家の中さひゃってった。
ひゃった瞬間に頭の上がら飛び掛がられで、オラもどでんすて家の壁さ叩き付けですまってよ……
家ぼっこすてすまったのもあどで謝んねばな。
オラやがます音させですまったがら、奥の方がらゴブリン三匹出できた。
奥の部屋がらは女子の声聞ごえるがら間違いね。
こごのゴブリン皆ぶっ殺せば助けらいる。
オラは必死でゴブリンどごクワで叩いだ。
三匹も相手にすたら魔法どが考えでらいねがらな。
ありったげの力でぶ殴ってやったなしゃ。
三匹殺すてがら奥さひゃってったば、ゴブリンがら掴まれでる女子どその娘さんだべな。
二人いでまだ無事みでんた。
立ぢ上がったゴブリンは他の奴より大っきすて、群れのボスみでんた奴なんだべな。
斧持って吠えながらオラさ向がって来たわげよ。
オラだって負げでらいねがらよぉ。
クワ構えでありったげ叫んでやった。
「おっかねよぉ！！」ってな。
んだのもオラの魔力は強えんだべな。
斧振り上げだどさ魔法撃ってやったば火ダルマなって苦しんだっけ。
あどはオラのクワ振り下ろせば簡単に勝でだ。
「大丈夫だが！？ ノルドさんの奥さんど娘さんだべ！？」
「は、はい！ 助けてくれてどうもありがとうございますっ！」
「ありがとうおじちゃぁぁあん！！」
おっかねがったんだべなぁ……
抱ぎ合って泣いでらおん。
あ、泣いでる場合でね！！
「あっちさノルドさん倒れでらがら来てけれ！！ あのままだば死んですまうがもすんねど！！」
「旦那は無事なんですか！？ 連れて行ってください！！」
オラの方が足速えしノルドさん運ばねねがら、荷車さ乗せで奥さん達どご連れで行ぐ。
さっき助けだどごより手前でノルドさんは倒れでだ。
両腕ど右脚折れでるなさ、こごまで這って来たんだべな……
こんた状態でも家族どご助けようどすて。
「へばノルドさんどご乗せで村長さんのどさ行ぐど？ これなば治すてもらわねば死んですまうがらよ」
ノルドさんどご見で泣いでる奥さんだのも、今そんた泣いでる場合でね。
強引に退がすて荷車さノルドさんどご乗せで、まだオラは全力で走り出す。
ゴブリンが群れで住み着いだっちゅー事はよ、オラ倒すた他にももすかすたらまだ居るんでねが？
オラ倒すたなは七匹。
群れっちゅー割には少ねんた気もするがらな。
全力で走ってオラ家の辺りまで来たば、なんだが戦ってるんた声ど音が聞ごえできた。
村長さん家の周りさ十匹ばりのゴブリンど、クワ持って戦う村の人達。
ゴブリンの方が少ねのも、村の人達ぁ戦ったりする事もねべがらな。
村長さん家さ追い込まれでるみでんた。
オラは鳥獲ったり熊獲ったりすてるがら、このクワ持って戦えばまんず負げる事はねぇ。
荷車止めで、クワ持ってゴブリンさ殴り込んだ。
十匹ばりのゴブリンぐれなばオラなの敵でねおな。
クワで頭割って魔法で火ぃ付けで。
んだのも途中でクワの先さ付いでる石っこ割れですまったなひゃ。
すかだねがらクワの木の柄で死ぬまでぶ殴った。
バガッバガど、ありったげぶ殴てやったなしゃ。
結局そのクワもぼっこれですまって、最後はオラなの手で殴ったんだのもな。
オラなの力だば何が武器欲すがもすれね。
まんずオラはゴブリンどご皆倒すた。
「うおぉぉぉお！！ 助かったぁぁあ！！」
「「「「「わぁぁぁぁあ！！」」」」」
村の人達ぁ喜んだ。
なんぼおっかねがったんだが知らねのも、泣いで喜ぶぐれ嬉すがったみでんた。
いがったなぁ……
いがったなぁ……
オラもおっかねがったのも皆んなどご助ける事でぎでいがった。
その後ぁ怪我すた人達どご、回復医っちゅー魔法のお医者さんが治すてけるみでんた。
ノルドさんなば酷い怪我だのも、すばらぐ魔法掛げれば治るっちゅーがら心配はいらね。
オラはゴブリン倒すたがら血塗れだす、あどは村長さんさ任せで家さ帰った。
体洗って服も洗濯さねねがらな。
その後ぁ酒っこの味見さねねすよぉ！
残念ながら酒っこぁ失敗すたんだのもな……
