おっさんの鈍りは絶対直らない
方言と濁点がハンパない。
読みづらいかもしれませんが、方言なのでご了承ください。
朝がぁ。
やる事ねし毎晩早ぐ寝るがら寝覚めなばいっつもい。
顔洗って歯も磨いで飯食ったら仕事さ行がねね。
「さっ、今日も畑どご耕すてくるがな」
オラは太田一男。
地球さいだ時は大工やってだんだけどよぉ。
わがるが?
大工、大工、だぁ、いぃ、ぐ!
んだ、まず大工よ。
それがなすてだが知らねのも、去年の冬前にこのアースガルドっちゅー世界さ飛ばされぢまったんだぁ。
皆ぃんなオラどご知らね人達ばりなんだのも、大したいぐしてけでよぉ。
おかげでこぉすて毎日農作業させでもらってんだ。
夜ぃなればこの村でこしゃだ野菜の漬物で飯食って、酒っこご馳走なってがらベッドさひゃって寝る。
テルビも何もねのも中々悪ぐね生活送らせでもらってるど思う。
まぁ、酒っこも日本酒どがビール飲みでのもねばすかだねがらな。
べっこ甘んた酒っこだのも案外と旨す捗いぐ。
漬物も塩でばり漬けだ浅漬げすかねのも、地球さねぇ野菜だすこれもまだ中々旨おんだ。
まんず今日もオラなの畑、すっかり耕さねばな。
オラは畑さチャイ菜どナース、トメイドどご植えでるのも、植えでる野菜さ特ぃ拘りはね。
最初こさ来た時に「何植える」って聞がれだがら、響ぎのいがったこの三つ選んだだげだぉん。
食えば旨がら何も問題ねすな。
すてこの世界での農作業っちゅのが、まだ古臭せんたやり方してんだこれが。
空いでる土地どご耕すて畑にせって言うがら、まんずいらねクワもらった。
すたっけこのクワ見でオラもビックリすた。
クワの先さ付いでるな鉄でねくて石。
先の尖った石付いでらなひゃ。
わがるが?
石だど石!
もぉオラビッッックリすたおんだ。
大昔の道具使って農作業すてらなだおん。
何も発展のしてね田舎みんたぉんだな。
せば待でよ……
オラこごでは都会がら来たみんたもんだひゃ。
この村の人達ぁ標準語使うのも、皆んな田舎者って事だな。
オラ都会育ぢで、この村の人達は田舎者。
生まれで初めで自分が都会っ子なんだなって思ったよ。
ああ、んだんだ。
この農作業する前に村の人達がら魔力っちゅーもんもらったなひゃ。
ん?
目覚めさせるっちゅったっけがな?
すてこの魔力っちゅーなが凄くてよぉ。
何が体がら力が漲ってくるっちゅが、やだらど力入るなひゃ。
まんずすんげな!
おかげでこの農作業も石のクワっ、笑っちまうのも石のクワでも楽々耕せるっちゅーわげしゃ。
村の人達もオラの作業見でビックリしてらっけのもな。
早えす疲れで見てねがら、とんでもねぐ魔力あるんじゃねがって驚いでらっけ。
確かに全然疲れねがら、その魔力っちゅーながいっぺあるのがもしんね。
まぁそれもこさ来てがらびゃっこすてわがる事になったんだけど。
あんまり雪の降んねぇ地方だがら冬でも野菜植えられるんだけどな。
冬は魔獣ってのも大人すぐ巣さ篭ってるみんたのも、春先になれば餌探すて村さ来るなももいるらすんだ。
本当なば魔獣来た時にゃ避難して冒険者さ依頼するらしんだのも、その間に畑は荒らされ放題になるらす。
んだのもな、さすがにオラもわぁが育でだ野菜食われだらおもしぇぐね。
それど肉もあんま食う事ねがら、久し振りに食いでって気持ぢもあったがもすれねな。
オラもこの世界さ来てがら使えるよになった魔法もなんぼがあったし、やだらど力も強えがらクワ持って戦えば勝てるんじゃねがって思ったなひゃ。
畑さいだ魔獣は熊みでぇなもんだった。
地球さもいだ熊と変わんねぇそんたに大っきぐねぇオラより小っちぇんたもんだ。
普通の熊ぐれなら魔法の使えるオラなば勝でるど確信すたわげよ。
野菜食ってら熊さ、びゃっこ離れだどごがら火の魔法撃ってやった。
すたっけ毛皮さ火ぃついで、熊も熱っちすて転がり回ってらどごさオラはクワ持って近づいだ。
ありったげの力込めで振り下ろすたば熊もたまったおんでねぇべな。
頭さクワ刺さって死んでらっけ。
オラは熊さ勝ったなよ。
村の人達もオラどご褒めでけだっけす、まだ酒っこも持って来てけだっけがら宴会すたおん。
熊鍋にすたのも旨っけなぁ……
癖の強え熊肉だのも、久す振りの肉はやっぱ最高だな。
熊鍋ど酒っこど漬物。
最高よ。
あどぁオラは地球がら来てるす、話もおもすれどって皆んなオラの話さ夢中ななよ。
なんだがオラもこの村さ受げ入れられでるんだなぁって嬉すぐなったっけでゃ。
これなばまだ魔獣が来たっていな。
今日も畑耕すて種植える。
水はびゃっこ離れだどごがら集めで畑さ撒ぐ。
簡単しゃ。
「カズオさん! 今日も仕事が早いですね! そんな元気が俺達もあればいいんですが!」
って笑ってるなは、オラ家の隣さ住んでる三十歳ごれのエルト君。
一緒ぃいるなは奥さんのミシャさん。
会釈すて美人でいい奥さんだなぁ。
オラも地球では一回は結婚すた事もあった。
んだのもオラがおが酒飲むぃんて逃げらぃですまったなひゃ。
逃げらぃだ時にぁ探す回った。
実家さ帰ってらがど思ったのも連絡つがねって見っからねっけなぁ。
離婚届はそれより前に書がされでだがら、出で行ぐ時に出されでだみでんた。
何年がすて東京さ行ってらって聞いで、会いに行って見だんて。
すたんば、東京で男ど一緒ぃ暮らすてらっけおな……
顔見せる訳にもいがねして、何も言わねで帰って来たぁんだ。
それがら何年も一人。
やっぱ歳とればだんだん寂すぐなってくるっけな。
この異世界さ来ても一人。
元気ぃ暮らせるなはいのも、やっぱり寂しもんだなぁ。
朝間っから昼間まで仕事すたら昼飯食って昼寝だ。
米どがいろんた野菜だの農作物は皆んなで交換して食うがら、オラも毎日飯食ってら。
握り飯ど漬物、コップあれば水はその辺がら集めで飲める。
あぁ、仕事すてがらの飯は旨ぇなぁ。
食ったら陽さ当だりながらの昼寝。
最高だなゃ……
グゴォォォォォーー……
昼寝もびゃっこせば目ぇ覚める。
午後からぁオラなの仕事ぁ何もねんだのも、魚食いで時は川さ行げば獲って来れる。
んだのもやっぱ肉食いでなゃ。
あぁ、んだ。
鳥獲れば食ぅいなや。
へば何で獲ろがな……
あぁ、畑掘る時ぃ出できた石いっぺあるな。
これぶん投げだら落ぢでくるべがな?
オラなの命中力さ掛がってるのも……
よす。
やってみよ。
他の家の畑ある方さは投げらぃねがら、西の方だな。
あっちさいる鳥どご狙うべ。
こっから見える鳥は……
びゃっこ遠いのもあれ狙うが。
なんぼごれあるべ……
200メーターもあるべがな?
オラは掌さ収まるぐれの石拾ってぶ投げる。
魔力の強化だがによって野球選手もビックリするぃんた強肩よ。
十五個目でやっとが当だって落ぢでいった。
他の獣ぃ食われれば駄目なぃんて、落ぢだ辺りまで走って行った。
走るなまで速えがら200メーターばりすんぐよ。
落ぢでだ鳥じょな大っきすて、テルビで見るダチョウごれあるんでねがな?
これなば村の皆んなして分げだって腹いっぺ食えそうだ。
とりあえず台車もねがら引ぎ摺って家さ帰る。
村さ着いだば村の人達ぁ皆んな集まってらっけ。
皆んなすてオラ石投げるどご見でだらすな。
「今日はこんった大っきい鳥獲れだがらしゃあ。皆んなすて分げで食べ」
オラ言ったば皆んな喜んだっけ。
んだべな。
肉なば皆んなご馳走だべがら誰だって喜ぶ。
「カズオさんはこの村の勇者様です!」
「あっはっはっ。エルト君なば煽でるな上手いなや。よーす。オメどさ良いどごやるがらな! 待ってれよぉ!」
オラも煽でられれば嬉すがらな。
血抜ぎすて羽根毟って、分解作業は村の男達皆んなすてやった。
協力す合えば大っき鳥だってすぐぃバラバラの食材さなる。
皆んなで分げ合って、代わりにオラはまだ野菜ど米、あど塩ど砂糖もらった。
あど酒っこも貰って言う事何もねぇな。
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あーあ、平和だぁ。
オラ家の畑もいぃい野菜育ってきたすな。
オラどさ使っていっちゅう土地も皆がら畑ぃすたすぃ、収穫するまで何もやる事もね。
んでやる事もねすて暇すてだばお客さんがオラ家さ来た。
「カズオさん。もし暇なら俺達にも畑の耕し方を教えてくれないか? カズオさんの畑仕事見てたらウチらとやり方が違うし野菜の実りもいい。迷惑かもしれないけど勉強させてほしいんだ。お願いできませんか!?」
「あやモルダ君、頭上げでけれ。オラもこの村さ来ていろいろど世話ぃなってるす、オラなのやり方でいばなんぼでもおへるど」
村長さんのどごの息子さんがオラどさ頼むって頭下げできたおんだおの。
やんだって断らいねべったなぁ。
土地も借りでるす、家建でる時も手伝ってもらった。
この恩、びゃっこでも返せるど思えばなんぼでもおへるのもな。
村長さん家の畑さ来た。
オラ家の畑よりもびゃっこ大っきぐれだのも、家族六人で同ず家さいだ。
んんで村長さん夫婦は年寄りだす見でるだげ。
モルダ君ど奥さん、息子さんど娘さんの四人すて農作業すてるみんたな。
「ではカズオさんお願いします!」
「「「お願いします!!」」」
「へば良いが? まんず体さこう…… 力へるべ?」
魔力っちゅーのを強ぐして体どご強えぐすんな。
こう、グッと力へでグググッとこう!
「あの…… さ。言ってる事わかんなくない?」
「へばいいがって何なの?」
わらし達ぁ早速何がわがらねみんたな。
恩返す為だす、すっかりおへでやらねば。
「へば良いがって言うのはじゃあいいが? って事しゃ。わがるべ?」
「わかんない」
「そんな言語あるの?」
こんの田舎者達ぁオラなの言葉もよぐわがらねみでんたな。
まぁこの村ぁ田舎だす、すかだねのもよ。
「へんばオラなの言葉がらおへねねな。まんずよぉ……」
「いえいえ、カズオさん! 農作業を教えて頂ければ言葉はこちらで勉強しますので!」
「んん…… んだが? へばいぃ。すたらまんず体さグッと力へでみれ!」
「よし皆んな、魔力強化だ!」
モルダ君さ続いで奥さんどわらし達も体さ力ひゃったみんた。
「よす。まぁあんまり強えぐねんたのも大丈夫だべ」
「しかしカズオさん。我々も普段から強化をして仕事をしてますよ?」
「うん。んだのも強化すてるだげだべ? そごでだ。クワどご振るなさ使う筋肉だげ、強化せば力も強えぐなるす疲れねわげよ。モルダ君びゃっこクワ持ってそごさ立ってけれ」
モルダ君がクワ振るなどご見せながら、わらし達ど奥さんどさ使う筋肉どご説明すてやった。
中々上手ぐいがねのも、練習すてればそのうぢ全身でやれるよになるべおん。
びゃっこ練習すてがら畑掘ってもらったば、やっぱり楽ぃなったどって喜んでらっけ。
皆んな戦わねがらってこんた練習はさねみでんたな。
この日は畑耕すだげでやめだがった。
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次の日にぁ肥料のこしゃ方だ。
説明してやったんだのも、この村でぁ肥料どご誰も畑さやらねんだど。
魔力がなんだどが言ってだのもオラは肥料こしゃで撒いでるしな。
肥料もこしゃでがらすぐに使えるもんでねがら、オラ作ってだな使うんだのもな。
作っておいでまだあどで使えばいいす、まんず作ってみるべ。
材料は米ぬがどが油カスみでな有機肥料さ、土ど籾殻あれば簡単に作れる。
材料混ぜ合わせで水掛けでまだ混ぜる。
密閉でぎる袋さ入れだらあどは発酵するまで日陰さ置いでおげばでぎる。
難す事はなんもね、簡単しゃ。
こしゃだ肥料は村長さん家の裏さ置いどいで、オラ家の肥料使って畑さ撒ぐ。
昨日耕した土さ撒いでまだクワでびゃっこ混ざるように掘り返す。
土が簡単にボロボロど崩れるぐれが丁度いい土だべおん。
あどこれで栄養のあるいい畑ぃなったがら何植えだってい。
「モルダ君。あどは好ぎな野菜植えでけれ。育ぢ方見ながらまだ何があれば言うがらよ」
「ありがとうございます! このやり方なら村の皆んなでできそうです! カズオさんの畑くらい野菜が穫れたら飢饉もなく暮らせそうですし!」
なるほどなぁ。
村の飢饉っちゅーなも考えで、今よりいい農作業を覚えよって考えだなな……
さすがは村長さんの息子だげあって皆んなの事考えでる。
立派だ!
あどはいい野菜作って、いい村にしてってけるようオラも協力していぐがな!