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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人工有機生命体

作者: めいしゅう

 私の名前は『零』人工有機生命体のⅡセカンドロットの1500号。私は、今からおよそ70年前に製造された。今までに何度も行われた修理とメンテナンスで見た目は20代だが。


 そうそう、人工有機生命体って何かわかるかしら? 多分分からないわよね。なにせ、今はほとんどがロボット(アンドロイド)に置き換えられているのだから。だから、まずは私達についてのお話をしましょう。


 私達、人工有機生命体は今からおよそ100年前に開発されたいわば『人体クローン』なの。それ以前にはね、ロボット(アンドロイド)の開発が盛んだったのだけれども、どうにも人工知能の開発がうまくいかなかったようでね、人工知能の代わりに万能細胞を使って作られた『脳』を、ロボット(アンドロイド)に使おうとしたらしいわ。でもね、機械と生物を繋げるなんて当時の技術力では難しかったらしく、脳を使って制御することには成功したらしいけれど、脳の機能維持ができず、すぐ使えなくなったの。それで、体から万能細胞で作り出した『私達』が作り出されたの。どう? 分かった? 作られた当時は、人口減少とそれからくる労働力の減少、地球人の宇宙進出による生存圏拡大とそれによる必要な労働力の増加で、何らかの形で働くモノが必要だったらしくてね、人権問題や倫理上の問題なんかはそっちのけで作られたらしいよ。ただ、まぁ見た目は人間と同じだし、ロボット(アンドロイド)と違って私達は食事も必要だし、病気にもなる。老廃物も出すし、けがもする。こういう事もあって、私たちは次第に開発に成功した人工知能を搭載したロボット(アンドロイド)に置き換えられて行っているわけ。


 私自身の話に戻すけど、最初に私を買ってくれた方は軍人さんの家族でね、優しくて、ついでに色々コネがあったらしく、その方が亡くなった後でも、そのコネを使って別の人に仕えることができたし、色々と良くしてくれたのよ。あ、そうそう、私の名前『零』というのは、最初に私を買ってくれた軍人さんがつけてくれた名前でね、私の製造番号の1500の下2桁を漢字にしてくれたの。いい名前でしょ? 私以外の子の中には、製造番号で呼ばれることもあれば、ただ『オマエ』や、『人形』なんて呼ばれている子もいたし。ついでに私はハウスキーパー(メイド)としての仕事だったけれども、中には戦争で一番前に並べられて、『肉の壁』として使われた子や、娼館で『娼婦』として働かされた子、さらには、暴力を受け続けるだけで、何も与えられずに衰弱死した子もいたわ。そんな中、私は、衣食住が保証されていて、自由時間や給金までもらえたのだからとてもいい環境だったわ。


 なぜそんなことを知っているのかって? 私が今、仕えている人が警察の方でね、そういう事件が起きるたびに私に向かってあやまって来るんですもの。 「すまない。君の友人をまた救えなかった。」 ってね。私の事じゃないのに謝ってくるような人に仕えることができてて私は幸せだったわ。


 あら、もうこんな時間なのね。最後に、私たちは万能細胞でできたいわば『クローン』な訳で、その気になれば臓器移植や細胞移植でほぼ無限に生きることができる。でも、それだと新しい子が買ってもらえないし、体に不具合が出てくる。そういう訳で、私達の体にはあらかじめ70年で死ぬように細胞にプログラムされているらしいわ。そう、私の誕生日まで後、残り3分。 最後の日だから、と今私の仕えている人は盛大なパーティーを開いてくれて私はとても嬉しかった。 残り2分。 できればまだ、ここにいたい。ここに住んでいる人とまだ一緒に暮らしたい。 残り1分。 私はまだ、やり残したことがある。 残り30秒。 私は、まだあの方と一緒にいたい。 残り10秒。 私のこの感情は―


 残り0秒 


 ドサッと何かが崩れ落ちる音がした。


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