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ヒーローストーリー!   作者: ミツヲ
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第3話「入団」

そこは一面に広がる大理石のフロアだった。高い天井に堂々とぶら下がる立派なシャンデリア、真ん中には受付らしい大きな机が無機質に置かれている。物珍しく辺りを見回している田舎感丸出しのハイルに声がかけられた。「そこの者、ご用件は?」受付にいる人だ。門からここまで来る間にほとんどの人が同じ服をきっちりと着ているおそらく制服なのだろう。女性はまだ見かけていないが、男性は長い白い無地のコートを着ている。ハイルはここに騎士請願をしに来た、もし採用されたならあの制服を着ることになるのだろうと少し期待した。「えっと、その騎士になるための…お願いを…」実はハイルほぼ知識がないまま騎士団城へやって来てしまったのだ。受付の人は少し困った顔をして「騎士ですか。あなたは王都親衛隊の入隊希望者ですね?ではまず、この書類に身元情報を記入して州兵研修修了書と一緒に提出してください。」ガタイのいい受付の男がいくつか聞き覚えのない単語を言って紙を渡してきた。もちろんハイル親衛隊やら州兵研修修了書類なんて理解不能だった。すると焦ったハイルを見て男は事に気づき、少しため息をした。「あんた、田舎の出だな?州兵研修もせずに騎士団に入団する口だったのだろう。」そう愚痴たれると説明を始めた。どうやら入団には州兵団という国民保護団らしき団体にまず研修に行かなければいけないらしい。それも二年だ。しかし研修後即親衛隊に入隊できるかといったらそんなことなない。騎士団には三つの階級が存在する。受付の男や騎士団城の門兵などが憲兵、その憲兵の中でも一等、二等、三等とある。そしてその上の階級が憲兵特等、特等と一般に呼ばれている。十数人で構成されている憲兵階級八百名と比べるとだいぶ少数構成である。そしてそれらを全て統べるのが陛下直属王都親衛隊の四名だという。この組織が騎士と呼ばれている。そしてハイルみたいな剣聖というロマンに憧れる輩も少なからず同じ配偶でこの騎士団城を訪れるらしく、剣聖の説明もされた。剣聖は伝説や噂などではなく歴史上で剣聖という役割が存在するのだ。六十年以上前に退魔戦争がありそこで活躍した英傑四人の内の一人ベイル=ダルクである。かつて剣聖はこの国、ハギア王国と誓約を交わした。それにより剣聖は王国に属することはないが剣を尽くすという役割を果たすことになった。誓約を交わした理由は不明だが、剣聖が亡き今もそれは別の形で続いているという。その剣聖候補となるのが現親衛隊隊長を務めるレオン=ハースブルクである。ハイルは長過ぎる道のりだと思った。「州兵団に伝えといておく、三日後に王都の西方にある州兵団本部に向かうように。その間にここに書いてある準備を済ませてください。必要なら一度田舎に帰っても問題はありません。」そう言われてハイルは気落ちしながら準備リストを受け取り一通り確認した。「一応一回帰るか。じいちゃんにも知らせないといけないし、今持ってるものだけじゃ色々足りないしな。つか剣聖の歴史重すぎだろ…」知らない知識を伝えられ興味がより深まったような、改まったような気持ちで受付を離れようとしたところ、「やあボブ。任務の人員表の確認と出発手続きに来たよ。」とこのフロアの奥、受付の大テーブルの後ろ側にある階段から降りて来た人から声がかかった。この受付の男の名前はボブだったのか。ボブはそのすらっと伸びた身体と明るい黒の髪、一般の憲兵とは制服が異なる男を見て目を見開いた。「なぜあなた様がここへ?確認はともかく出発手続きは使いのものがくるのでは?」そう徐々に近づいてくる黒髪の男に言うと、「いやあ、久々の長距離大規模任務だから大人数だろ?名前をみんな覚えておこうとおもって。それに自分の班の出発手続きくらい自分でやるさ。」ハイルは黒髪の男とどこかであったような気がした。このボブの反応と制服の違いからしたら恐らく彼は上の階級なのだろう思った。「いやいや恐縮でござます


ハースブルク殿。」


そこに騎士はいた。

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