第6話 ~出世~
初めての実技演習が終わり、同期のほとんどが遊びに行ったり体を休めたりする中、俺とジョーはトレーニングをする事にした。
「魔物と戦うとなると体作っとかないとヤバいよな?」
「まぁ、とりあえず体作ってて損は無いし、こういうところでそのうち差が出るでしょ。」
研修棟外でのTSスーツの使用は禁じられているため、筋トレやランニングで体力作りをする事にした。ランニグをしながら研修棟の周りを見ていたが、周囲にはほとんど何も無く隔離された施設みたいだ。と言っても、電車で一駅行けばそれなりに商業施設があるので、不便を感じる程では無いが。
「そういえば今日の講師が言ってたけど、実際死んでる人ってどれくらいいるのかな?」
「さあ?でも毎年労災は発生してるって話しだし、死んだ人ってなるとどうなんだろうね。」
「危険なとこには行きたくないって言えば行かなくても大丈夫なのかな?俺は出来れば危険が少ない所がいいかな。」
「出世を考えるなら危険が多いとこの方がアピールできるし、でも一年目でいきなりそんなとこに行っても忙し過ぎて相手にして貰えない様な気もするな。だから始めは忙し過ぎず、でもそれなりに危険って位のとこがいいかな。」
「リグは凄い出世にこだわるね。何か理由があるの?」
「別に、ただ負けず嫌いなだけだよ。あとはお金稼いで親孝行したいっていうのもあるかな。」
「そっか、じゃあこの研修でアピールして希望の所に配属されるように頑張んないとだな。」
そうだ、俺は何が何でも出世したいんだ。だが、ジョーに行ったことが一番の本当の理由では無い。
次話投稿予定日:6月14日(水)