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~プロローグ~
~プロローグ~
俺の勤めている企業は誰もが知っている大手だ。
内定が決まった時は、家族や友人からも出世したなと持て囃された。
俺自身も人生勝ち組の仲間入りと一喜一憂し、明るい未来を思い描いていた。
しかし入社して会社の内情を知ると、大手とは名ばかりのいわゆるブラック
企業だった。
いま思えば、就職活動の時に出来る事をなぜ全てやり切らなかったのかと
後悔している。
それでも未だ勤め続けているのは、この仕事に誇りを持ち、いつか報われる
時が来る事を信じているからだ。
例え上層部が腐っていても下部社員の多くはそうでは無い、むしろ生活のため
に必死にひたむきに頑張っている。
あの頃の俺は、必ず上に上り詰めてこの腐った体制を変えてやろうと強くそう
思っていた。