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雲南伝説胡蝶泉  作者: きりもんじ  百万遍とおる
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胡蝶泉

夜明けだ。タクシーを降りてわずかに勾配のある砂利道を歩む。

昼は観光バスでごった返していた広場。見覚えのある駐車場に出た。

土産品店は皆しまっていて屋台には色とりどりの布がかけてある。

商品は全く見当たらない。毎日持ってきてまたもって帰るらしい。


空から見るとおそらくこの辺りだけ森を切り開き、最近になって

ようやくバスが来れるようになったみたいだ。園の入り口のゲートに出た。

屈強なガードマンが二人立っていたところだが今は誰もいない。


隙間からそっと中に入った。石畳を歩む。振り返ると向こうの山の端に

朝日が昇り始めた。まるで京都の西山から東山を望むようだ。

耳海が眼下右手に見える。標高2000mそれでも気温は15度くらい。

かなり湿気が多い、緯度は香港と同じだ。思わず旭日に手を合わせる。


緩い勾配の石畳を15分ほど歩む。両脇は竹林になっていてそのやぶの

向こうは灌木が茂っている。その先はうっそうとした原始林。おそらくだが

迷い込んだら二度とは出てこられそうにないかなり深い密林だ。


やっと胡蝶泉のほとりに出た。周りは大理石の階段と回廊、泉には手すり、

これも大理石で相当の年代物だ。人が手に触れないところは苔むしている。

泉の北側(山側)は少し小高くなっていて小さな祠がある。

これもすべて大理石で苔が一杯だ。


胡蝶泉を取り巻く回廊の周りは竹林ではなくてかなりの喬木が密集している。

その枝先が高い位置から泉を覆っているので旭日はほとんど届かない。治は

薄暮の天空を見上げながら祠の脇に腰を下ろしゆるりと泉を見下ろした。



静かに目を閉じて耳を澄ます。小鳥のさえずりが遠くから近くから、かなりの

種類だ。その時ほんの一筋の旭日が治の顔面をとらえた。暖かく眩しい光に治は

ついうとうとと、強烈な睡魔が襲ってくる。そのまま治は祠の脇に心地よく

眠り込んでしまった。

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