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雲南伝説胡蝶泉  作者: きりもんじ  百万遍とおる
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大理古城

翌朝6時起床。2000kmも離れているのに北京時間だから

朝7時に夜が明けて夜は8時まで明るい。


中国銀行が開くのは9時のはずだから散歩に出る。

路地裏で庶民が米線かおかゆを列を作って食べている。

なかなか入りにくい。


9時。換金はスムーズだった。きくやで卵焼き定食をたべて

周城へ向かう。そっと染物工場の中に入って写真を撮り続けていると、


段小姐がやってきた。結構客が多い。また10枚買うというと

すぐに決めようとする。夜店の暖簾を広げて、


「昨日の夜30元で買った。同じものだ」

「いやいや藍の葉が違う」

と言って段小姐は私を庭の隅に連れて行く。


野生の藍の葉っぱを掴み手にとって見せながら、

「大理と周城では藍の葉が違う」

『うそつけ!』


「10枚ほしいが250元しかない」

「8枚!」

「8枚じゃ240元じゃないか?9枚!」

「・・・」

「来年もっと買う」


ということでついに1枚30元になった。

領収証に段小姐のサインをもらった。


今後はこれがものを言う。

こういうことが一番大事で最高に楽しいひと時だ。



時間を掛けて荷造りをする。リュックに目一杯つめる。

隅々までピチピチにつめて30kgはありそう。


気合を掛けて背負う。街道にはミニバスが走っている。

手を上げると止まってくれる田舎のバスだ。


懐かしい昔の日本がここにはある。夕方菊屋で

チキンチャーハンを食べて大理古城の町並みを散策する。


立ち止まって眺めているといろいろと庶民の生活が見えてくる。

あめを焼いているプレートは大理石だとか、


あれがひまわりの種なのだとか。子供たちはいつも元気に

水路で水浸しで遊んでるとか。これはゴミ箱なのだとか。


私は今までひたすら走り続けてきて立ち止まることがなかったように思う。

立ち止まることに恐怖を感じていたのだ。そしていま、


胡蝶泉に誘われて周城までやって来た。ついに藍染と草木染めを見つけた。

これが売れれば毎年来れる。しかしやってみなければわからない。


夜久しぶりに日本人と語る。チベット好きの青年医師と世界を駆け巡る

中年婦人。頑張れ熟年!その人が言った一言が気になる。


「染めの難点は日焼けと色落ちでしょ。ほんとに売れるんですか?」


うーん、そうか。ひょっとしたらそういうこともありうるな。そう思うと夜も眠れない。

もう一度胡蝶泉に行ってみよう。売れなければもう二度と来れないかもしれない。

あれほど憧れていた胡蝶泉。そうだ朝早くいけばいいんだ。観光客が来ないうちに。


そう思うともう居ても立ってもおられない。治は夜明け前にユースを飛び出していた。

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