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何でもない男の話  作者: 雲太
1章 何でもない男の誕生した話
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1話 この状況は、もし周りに人がいたら危ない人物にしか見えないんだが、そのあたりの事は分かってこの形式を取ったのだろうか?まあ、他に方法がなかったのは分かっているのだが・・・

初投稿です。拙いものですが、気が向いたら読んでやってください。

まさか、二次小説やライトノベルに書かれている出来事が現実に存在するとは思わなかった。


「裸王さんに謝罪しなければな・・・。なるほど、確かに彼の言う“ロマン”は実在したようだ」

そう云えばケンタ馬さんが『ヲタクの一念は岩をもぶち抜くんじゃー!!』と絶叫コメしていたが、それが原因とは思わないが、ある意味あれも正しかったかもしれない。やはり、謝罪はするべきなのだろう。

「まあそれにはまず、元の場所に戻る必要が絶対条件な訳だが。実際のところ、その可能性は僅かでも残ってるんですか?」

(無い。さっきも言ったが、世界規模の調整作用の結果だからの。万が一に戻れたとしても、その瞬間、存在そのものが消滅する)

「でしょうね。分かっていましたが、確認しただけです。それでは、それはもう仕方ないと諦めるとして」

(ずいぶんアッサリだの)

「ごねてどうにかなるものでもないのでしょう?落ち込むならそれができる余裕ができてからにします。

ということで、色々と訊きたいのですが」

(うむ)


「取り敢えずまず訊きたいのは、何故私は手紙に向かって話しかけなければならないのでしょうか?」



一瞬前まで自宅で身内と会話していたはずなのに、急に空気が揺らいだと思った次の瞬間には見知らぬ場所。


ファンタジー系の定番・トリップ現象か?と、すぐに思考が行ったのは、雲雀(ひばり)自身の所為ではなく、その周りの影響だろう。雲雀としてはゆかいな人たちという程度にしか感じないが、一般からみればかなり濃くてズレているところのある人たちだったので。

とりあえずそういった知人たちのおかげもあり、あまり物事に動じない人間になっている鳥谷雲雀(とりがや ひばり)は、自分の置かれている状況を鑑みて、これは知人たちの一部が力説していたファンタジー系テンプレの一つではないかと考えた。

ただし、純粋なテンプレとは些か違う部分もあるようで。


「場所が洞窟というのはテンプレなのかもしれないが、広さがちょっとした公園並みというのはどうなんだろう?高さも三階建のアパートくらいあるのだが」

洞窟の奥には岩の隙間から清水が流れ落ち、外に向かって小さな小川となって流れている。これはまあ、テンプレに含んでもいいかもしれない。

「しかしその隣に、小屋が立っているのはテンプレなのか?」

場所が森の中、とかいうのであればテンプレになるのかもしれないが。ここは洞窟の中だ。屋根葺の小屋を作る必要があるのだろうか。

「あと、あそこにあるのは、素人目ながら、何処ぞの金属加工場にあるものに見えるのだが」

トリップ先が鍛冶屋の工房だった、などという話は知人たちの語るテンプレケースにはなかったと思う。

「なにより、一番の問題はこれだな」

雲雀はすぐ目の前にある物体に目を向ける。

「テーブルに椅子にティーセット。さらに自宅にあるはずの愛用のサバイバルグッズに旅行トランク、

ヴァイオリンケースにギターケース、居合刀まであるのは、どう考えてもテンプレではないだろう」


“From HIBARI”と書かれた封筒を手に取り、眉間にしわを寄せつつ断言した。



「つまり私は世界に蓄積された歪みに対する自己防衛による調整作用、俗に言う神隠しによって元の世界から排除されたということですね」

どうやら数十年から百数十年の規模で起こるそれに、今回適応されたのが雲雀だったらしい。

「あなたの手で修正できないものなのですか?我々の言うところの“神”に相当するのがあなたなのでしょう?」

話を聞く限り、これまでにも何百人もの人間が同じような状況に巻き込まれていることになる。ならば、何らかの対策が打てなかったのか?と思うのだが。

(世界というものは極めて微妙なバランスの上で成り立っておる。我の存在は大きすぎる故に、かえって手出しが出来ぬのじゃ。故に、お主ともこのように文字という形で接触しておる)

下手に同じ空間で接触すると、どれだけ抑えてもその存在に耐え切れず、人は消し飛んでしまうらしい。

(しかしそのまま放りだされたままでは、あまりに不憫故のう。こうして、可能な範囲でふぉろーすることにしておる)


初めのうちは――それこそ、何千年前の話なのか分からないが――ただ見ているだけだったらしいのだが、いきなり文化も風習も、さらには法則さえも違う世界に放り出された過去の神隠し被害者たちは、その大半が長くは生きられなかったらしい。中には跳ばされた場所が悪く――谷底の真上だったり、大型肉食獣の目の前だったり――で、転移した次の瞬間に死亡。なんてこともあったそうだ。


流石にそれは不憫すぎる、ということで少しずつ世界に影響を与えない程度に助けるようにしたとのこと。


(とはいえ“管理者”である我が一つの存在にいつまでも手を貸すことはできぬ。故に、生きて行く力を得る為の時間と環境を与えることが、我のお主にしてやれるふぉろーじゃ)

「時間と環境ですか・・・たしかに、今日明日に死ぬ、ということはなさそうですね」

見たところ水はあるし、何故か一緒に跳ばされてきてるサバイバルグッズの中には非常食もいくつか入っていたはず。さらに小屋があるということは、寝る場所も何とかなるだろう。

(うむ。元々その場所は、かつて隠遁していた魔術師が暮らしていた場所だ。さらにその後、偏屈物のドワーフが住んでいたこともある。それらが残したものがそのままある故に、お主をそこに送った)

道具や書物など、使っていたものが当時のまま使える状態で残っているらしく、当面生きていくための拠点としてここを使えということらしい。

「魔術師に、ドワーフですか・・・いよいよファンタジーですね。裸王さんやケンタ馬さんが聞いたら、歓喜のあまり号泣しそうです」


永遠の厨二病と云われる知人たちを思う。

二度と会話することもないが、もしこのことを彼らが知ることができたなら、憧れが実在していたことに狂喜し、そして自身がここに来れないことを地団太踏んで悔しがっただろう。


(お主ももう理解しておるようだが、この世界はこれまでお主の生きてきた世界とは異なることが多い。知らねばならぬことも多々ある。故に、当面お主が生きていくための案内役をつけよう。そこにある石を見るがよい)

「・・・これですか」

手紙と共に封筒から出てきた5mm大の石を手に取る。一見するとブルーオパールのような輝石だ。

「ただの宝石・・・という訳ではないようですね」

手のひらに乗せた途端、淡く輝きだした輝石の見ながら呟く。

『当然だ。俺はかのお方より生み出されたものだからな』


突然聞こえてきた声に、手のひらの石を見ながら軽く眉根を寄せる。


「誰だ!!――なんてことは態々言うまでもないですね。この声は肉声・・・ではないと。ファンタジー物によくある念話(テレパシー)というやつですか」

『ふっ。なるほど。さっきから聞いてはいたが、やはり面白いやつだな、お前は』

「それはどうも。褒め言葉として受け取っておきます。それで、あなたがこちらの“神”の言うところの案内役でよろしいのですか?」

『ああ。これから一年ほどお前と共にいる仮聖霊だ。実体を持たんので会話だけということになるが、所詮アドバイザーだ。問題ないだろう』

「・・・さっそく幾つか訊きたいことが出てきましたが、取り敢えずこれからよろしくお願いしますよ。仮聖霊さん」

そう言って、手のひらの石に向かってお辞儀をする雲雀。そして、

「それから。あなたもこれでさよなら、という訳ではないのでしょう?“神”」

(うむ。一応お主の今後を観察する必要があるからの。その仮聖霊ほどではないが、たまには話しかけることもあろう)

「なるほど。では貴方も。これからよろしくお願いします」


そして今度は、テーブルの手紙に向かってお辞儀をするのだった。


適当にポチポチ書いていたものです。

自分が読みたいだけの自己満足の物なのに、何故投稿する気になったのか…?人の心の動きって不思議。

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