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第6話 魔法の存在

「遅かったな」

扉のすぐ横の壁に寄りかかっていたウィルがもたれていた背を離す。

燃えるように赤い夕陽が周囲の建物を赤く染め、冷たい風が肌を刺すように通り過ぎていく。

「あとはジジィの杖だけだ」

そう言い残すと、ウィルは宵闇がすぐそこへと迫る路地へと歩き出した。徐々に遠のいていくその背を追いかけようと私も慌てて足を踏み出す。

それでも、

(強力な魔法―――)

先ほどのジョーカーの言葉が脳裏をかすめて、思わず足を止めてしまった。

(どんな魔法なんだろう……)

ちらりと後ろを振り返れば、黒い煉瓦造りの店は静けさを取り戻し、ひっそりと佇んでいる。まるで影と同化しているようだった。不安になって思わず俯く私にウィルは近づいてきて、そっと頭を撫でる。

「大丈夫か?」

そう言って、顔を覗き込んだウィルは、

「さっきのパンケーキで腹壊したか?」

と心配そうな表情をする。そんなウィルに、

「なんでもないよ」

と言って曖昧な笑みを浮かべると、歩き出した。

(……深く考えてもしょうがないもんね)

ウィルはそんな私を不思議に思ったのか、少しの間考えるようにその場で立ち止まっていると、慌てて私のあとを追ってきた。

夕方の冷たい風が私とウィルの間を通り過ぎていった。

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