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妖精のいたずら

作者: 清水進ノ介

妖精のいたずら


 とある教会に、一人の神父がいた。この神父は不思議な力の使い手で、悪魔祓いや、呪いを解くことが出来た。その腕前は本物であり、遠く離れた町の住人が、わざわざ頼りに訪れるほどだ。そして今日も神父の元に、一人の女性が助けを求めてやって来た。二つ離れた村に住んでいるらしく、娘を助けてもらいたいのだという。


「わたしの娘が……。すみません、ショックで言葉が出てこなくて……」

「大丈夫です。落ち着いて、話してみてください」

「娘は、娘が、その、妖精のいたずらにあい……。『増えてしまった』のです」

「増えてしまった?」

「その、きっと、実際に診てもらった方が、早いです。どうかわたしの家まで来て、娘を治していただけませんか?」


 女性はそう言うと、写真を神父に渡した。その写真には、一人の女の子が写っている。まだ五歳くらいの幼い子だ。この子が妖精の魔法にかけられてしまったのだろう。神父は女性の依頼を了承し、すぐに女の子の元へと向かうことにした。

 女性の家に到着し、神父はすぐに女の子の診察にかかった。女の子はベッドで、布団を肩までかけて、ぐっすり眠っていたのだが、神父はその姿を見て、女性が言っていたことを理解した。女の子が、二人に増えている。写真で見た女の子と、完全に同じ見た目の子が、二人並んで眠っている。どちらかが本物で、どちらかは偽物。魔法でつくった分身か、あるいは妖精自体が化けている可能性もある。神父は万全を期す為に、女性に部屋から出ているようにと、指示を出した。


 神父は部屋に結界を張り、妖精が逃げ出せないようにしてから、魔法を解く呪文を唱えた。しかし二人の女の子は眠ったまま、なにも変わらない。次に聖水を両方の額に塗ってみたが、これも変化なし。十字架をかざして、聖書を読み上げても、うんともすんとも言わない。その時ドアがノックされ、女性が心配そうに「どうでしょうか」と声をかけてきた。

「大丈夫ですよ、娘さんはなんとしても、一人に戻して見せます」

「はい?」


 女性はしばらく沈黙し、申し訳なさそうに、ドア越しにこう言った。

「あの、わたしがちゃんと説明しなかったばかりに、誤解させてしまったのですが……」

「なんでしょう?」

「娘は双子です。左の子の足を治していただくだけで、よかったのですが……」


 神父が布団をめくると、女の子の足が八本に増えていた。そこに聖水を塗ると、すぐに魔法は解けて、足は二本に戻った。


おわり

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