7.悲しみの女子会
「最近アレックス?リック?どっちかにスイッチ陛下との子供は産まないのか?って質問された。あ、あの子達、自分が前・国王陛下の子って知ってるみたい。陛下の事‘義兄上’って呼ぶのよ?初めて聞いた時はビックリしたわよ」
「それは初耳よ。私はちゃんと『叔母上』って呼ばれる。…じゃなくて!ミシェル、未だにアレックスとリックの区別つかないの?」
「えへへ?」
「笑えないわよ?大丈夫なの?それで?」
「二人ともそれを容認してるみたい。懐大きいわよね~」
「「自分の子供に甘えてどうするの?」」
うーん、スイッチ陛下かぁ。最近はオジサマに似てきたのよね~。とはいえ、もう出産適齢年齢を越えてる気がするからちょっとなぁ。オアイテとしてはいいかもしれないけど、子供を産むとなると命懸けじゃないかなぁ?
私は29で、スイッチ陛下は31くらい?うーん、確かにオジサマ年齢に近づいてるなぁ。見た目も近づいてるけど、親子だし仕方ないよね。
アレックスかリックもオジサマっぽくなるのかなぁ?完全なる血の繋がった親子だから、流石に私でも誘惑したりしないわよ?っていうか、向こうに対して誘惑しても「何やってんの?」的なリアクションしてきそう。
「ミシェル…一人で何考えてんの?」
「いやぁ、この年齢で出産はきつくないとか思ったけど?」
「「三つ子を出産しておいて何を言ってるの?」」
何で私を責めるの?
「奥様方は楽しそうですね。私も混ぜて頂けますか?」
当のスイッチ陛下のお出ましだよ……。陛下の申し出は断りにくいなぁ。クレッシェとか困った顔してるよ。
「陛下、久し振りの旧友との再会&女子会なんですけど?参加致しますか?」
私が代表して伺いました。これでも一応、王妃だし。
「ああ、これは失礼。楽しそうだからと思ったが、そのような主旨の会では私は参加できないね。大人しく公務でもしてるよ」
そうしてください。
「「「ありがとうございます」」」
一応の礼を言い、話を続けた。
「陛下の突撃とかあり得ない。っていうか陛下の前でこんな砕けた会話できないよ~」
「エリア、落ち着いて。いつでも砕けた会話が可能なのはミシェルくらいよ」
「そうよね」
二人ともひどい!私を何だと思ってるの?
「そう言えば、見てないけどエリアは旦那さんとラブラブなんでしょ?」
「うん……まぁ」
キレが悪い。どうした?エリア。
「旦那さんとなんかあったの?」
「実は……」
エリアの旦那さん(エリアの幼馴染で従兄弟)がエリアが妊娠中に浮気。その後も関係が続いているそうだ。
「妊娠中の浮気は、まぁ仕方ないかなぁとか思えたんだけど、その後も続いてるとなるとちょっと……」
「え~?だってもうエリアの子だって10才近くになるでしょ?浮気が続いてるならその人とも子供を儲けていてもおかしくないわよ!王家の影に調べさせましょうか?」
「すでに探偵さんに調べてもらってるのよ。浮気相手の方にもお子さんがいるのよ」
「「それはない」」
「離縁よ離縁!」
「私が一人で子供を育てるの?自信がなくて……」
「浮気男も一緒なんて情操教育に悪いわよ。一人で育てた方がいいわよ。実家の侯爵だって手伝ってくださるわよ。なんなら、王城からメイドを派遣……」
「っ、そこまでしてくれなくても」
「だってぇ」
「あいつとは離婚するわよ。証拠だってキチンとあるんだから向こうの有責で離婚。キッチリ慰謝料だってせしめるわ!」
「その意気よ!なにかあったら言うのよ?絶対に力になるから」
なーんて言ってたのにその数日後、まさかエリアがその旦那さんに殺されると思わなかった。旦那さんは即拘束。
元・旦那さんの言い分は「浮気なんてさせる方が悪いに決まってるだろ?それなのに、慰謝料請求とか頭おかしいんじゃねぇ?」
エリアの実家・ソニン侯爵家は大激怒。まぁ当然よね。私だってすごく泣いたし、後悔してる。離婚を進めたのが自分だから。
旦那さんの言い分は確かに貴族の殿方はそうだろうけど、他方に子供まで儲けるのは違うと思う。遊びで手を付けるのとはまた違う。浮気をさせた?エリアが?そんなわけないでしょ?あんたが勝手に浮気をしたんだ。エリアをもっと大事に思っていれば浮気なんかしなかったはずだ。
エリア実家のソニン家だって、こんな男の所に嫁に出すんじゃなかった。と後悔しているだろうなぁ。親族で昔から知ってる従兄弟って間柄だから逆に油断したのかなぁ?
書いてて泣きそうになった。悲しいです。