5.恐ろしい現実
「私は素敵なオジサマが好きなのよぉ~」
「なるほどな。それで父上か……。腑に落ちた。俺はまだまだ青二才だと?」
「そうね。私の感じだとあと20年くらいしたらすごくいい感じになると思うなぁ」
「20年……」
この陛下は何て言うか、「私の旦那様」というよりも、「私の弟」って感じなのよね。彼の方が年上なんだけど。
「クレッシェ嬢もエリア嬢も苦労をしてるんだな」
なにおう!私が厄災の素みたいに。…そうかもしれないけど、もっとこうオブラートに包んだ言い方ってものがあるでしょう?
「あ、さっきどっちが長男か聞いたのって、やっぱどっちかを王太子にするから?」
「一応な、肩書きだけでもつけないと」
「私としては、二人とも同じように育てて、国王になりたい方、素質のある方を国王にすればいいと思うの。あとほら、サンドラが地味に国王に向いてるかもしれないし。あの前国王陛下の子よ?誰が国王に向いてるかなんてわからないわ。全員向いてるかもしれないわねぇ」
「嬉しい悲鳴だな」
子供たちに変な虫がつかないように用心して育てよう。うん。
数年後には……。
「アレックス王太子殿下には我が公爵家の娘なんかがオススメですよ?」
「いやいやうちの子の方が……」
などという会話が私と陛下の前でされるようになった。
「うむ、そこまでいうならば。公爵はアレックスとリックの区別がつくんだろうな?」
なんて難易度の高いことを!私でも無理なのに!
「……」
「まずは区別できるようになってから言ってくれ。他の者も同様だ!」
難易度高いなぁ。
今のところ3人とも貴族としての極基本的なマナー教育の段階で、個人的に勉強を始めているわけじゃないからそんなに区別つかないかなぁ?と思ったんだけど……。
「私はもっと剣術の授業を深めたい。後は騎士団に入って……」
脳筋だったの?アレックス……。
「俺は魔術の授業がもっとあればいいなぁ。洗濯とか魔法で出来ればランドリーメイドさんたち楽できるよ。天気に関わらないし」
なるほどねー。ってリックは魔術?
「二人とも国王の座に興味ないの?」
「「え~?政なんかサンドラがやればいいじゃん」」
サンドラ~。なんか投げられたけど、大丈夫?
「ああ、国政くらいなら大丈夫よ。これが3国の管理とかなら困るけど1国くらいなら平気!」
どういう脳ミソなのよ。
流石はあの前・国王の御子だわ~。
「「「あ、義兄上!」」」
わかってるんか~い!
「こらこら、公の場じゃちゃんと父上って呼びなさい。あ、父上じゃない。陛下だ」
頼りないなぁ。
「えーっと、クレッシェのことは何て呼んでいるのかな?」
「「「叔母上!」」」
「クレッシェの旦那様の事は?」
「「「叔父上!」」」
うーん、この子達は外面がきちんとしてるなぁ。
「ところで、母上は義兄上と結婚してしばらく経ちますが、二人の間に御子は生まれないのですか?」
3人を代表してか、アレックスからとんでもない爆弾を落とされた。子供の作り方を知ってるのか?閨教育はまだだよね?
「母様はあなた達の亡き父上が大好きだからね。私なんか相手にならないんだよ?」
「「「へぇ~」」」
ま、まぁ合ってるんだけど、なんか照れちゃうなぁ。
とんでも三つ子ちゃんです。