2.妊娠のあらまし
私だってね?そんな簡単に純潔を捧げるような真似はしないわよ。キッチリ相手を選ぶ権利はあると思う。
ここは王家主催の夜会。
今夜を逃せば私はどこぞの馬の骨のもとへ嫁がされてしまう。何としても今夜!私好みのオジサマに出会いたい!!
「お嬢さん?そんなに懸命な顔をしてどうしたんだい?夜会が楽しくないのかな?」
「ご心配をおかけしてしまいましたわ。なんでもありませんの。オホホ」
ドストライク!顔よし、性格よし(今のところ)、家柄もいいだろう。この夜会に出席できるくらいだから。
「あ、少々眩暈が…よろしければ、ともに休憩室までご一緒してくれませんか?」
このような手口で好みのオジサマを誘った。
実際は眩暈など起こしたことがない。風邪だってまともにひいたことがない!
オジサマは「自分のような年寄りよりも君にはもっと若い男の方が似合う」って言ったけども、「私には貴方がとても魅力的なんです」と言いはった。
このオジサマどこかで見たような気がするけど気にしない!今が大事なの!!
*****
まぁ、一夜の過ち?と言ってしまえばそれまでなんだけど、妊娠したものは仕方がない!産むわよ?
「どこの馬の骨とも知らない男の子供など妊娠しおって、この侯爵家の恥さらしが!」
とかお父様は言ってたなぁ。懐かしい。今は三つ子にメロメロだけどね~。
「ミシェル……。名前も知らないオジサマの子なの?」
と、おずおずとエリアに聞かれた。クレッシェも心配そうにこっちを見てる。
「そうよ?名前くらい聞いておけば良かったなぁ」
そんな時にあの男があろうことか女子会にやって来たのだ。
そんなです。ミシェルも手口が古いけど?