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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

同じ世界での話

黒柴は恩人に会いたい~神へのお願い事~

私には名前がありません。

親の顔や、声すらも記憶にありません。たぶん飼い主に捨てられました。


私の初めての記憶は、ゴミ箱とゴミのくさい匂い。それと、真っ暗闇で何も見えない景色だけです。


ゴソゴソ。


狭い。足が上手く動きません。それに、全身が痛くてたまりません。激痛です。


どこだか知らない、この真っ暗闇の世界で、骨を埋めることになるんでしょうか……。


私は目を閉じ、眠りについた。



◇ ◇ ◇



あれから何日が過ぎたんでしょうか。

1日? それとも2日? もしかして3日?


何日過ぎたかは分かりませんが、全然動けません。決して、狭いからではありませんよ。多分、空腹が原因でしょう。お腹が空き過ぎて、体のどこも動きません。


グッググウゥーーーッ。


………音が出せるほど、胃は元気なのでしょうか?


もし胃が元気なら、もう少し生きることになるのでしょうか?


死にたい………。 そうすれば、この痛みと苦しみから解放される。

早く…。 早く……。 早く………。



◇ ◇ ◇



次に目覚めたのは、多分数時間後。


私は、まだ生きてたんですね… 生きていると直感で分かります。

次に目が覚めたときは、もう私は死んでいて、あの世に来ていて、激痛から解放されていると理想的だったのに。

私って、結構しぶといんですね…。


ヒュー、ヒュー。


ん? 風ですか? 私のいた場所は、風が吹くような場所ではありません。

どういうことなのでしょうか? 考えられるとすれば、誰かに運ばれたということでしょうが…。

でも、だれかに運ばれたら私はきっと気づきます。

それなら結局、どうゆうことなのか、全くわかりません。


「……キューン………。」


声! 何ですか! 敵ですか!


そう思いましたが、数秒経ってから自分の声だと分かりました。

まだ、声が出るほどの余裕が私にあるのでしょうか?


ガサ、ガサ、ガサ。


音がした。


音! 何ですか! 敵ですか!


一旦落ち着きましょう。


死に掛けの私でも、気配を感じることはできます。

おそらく、人でしょうか。足が動けば今すぐ逃げられるのに!


私は、人間(多分)に料理される運命なのでしょうか。体が小さいので、食べられる部分は少ないと思うのですが…。


そんなことを考えていると、人(多分)に抱かれました。


抱かれた瞬間、この人(多分)の「助けないと。」というような気持ちが気配で伝わりました。

いえ、もう少し前。この人(多分)の気配を感じた時から。


今、この時が、人生(犬生)の最後で良かった……



◇ ◇ ◇



『目が覚めましたか?』


声がした。

実体がないのは確かで、気配が掴めているわけではないのに、そこにいると感じる。


私は確か死んだはずです。ということは! ここはあの世! つまり、天国ですか!


『いいえ。ここは、天国ではありません。』


なんですとっ!

どうゆうことなのでしょうか。天国ではないのなら、じ、地獄ですか? 私は何か、悪いことをしてしまったのでしょうか。


『私の言い方が悪かったですね。天国ではないと言いましたが、正確には天国に通ずる門の手前でしょうか。

いつもなら早く天国に入れるのですが、最近死亡数が多くってですね… すごーく長い行列が……。』


とりあえず、地獄じゃなくてよかったです。

それに、長い行列とは… 大変ですね。


『そうなんですよ。まぁ、長い行列ができる原因は死亡数だけじゃないんですけどね。

天国に入るための検査が一人一人あって、それがすごく長いんです。』


へぇ~。そうなんですね。一人の検査って具体的どれぐらいですか?


『ん~。そうだねぇ~。ざっと1年ぐらいかなー。』


長っ! どうしてそんなに長くなっちゃったんですか……。


『それはね、何年か前に天国で暴れた魂がいてね。その魂が問題を起こしまくっちゃってさ。』


それは困りますね。


『そうなんだよ。困るんだよ。その魂が起こした問題ってのがさー。』


はい。


『他の魂を消滅させようとしたり、』


ん?


『神の泉を枯らそうとしたり、』


んー?


『天国を破壊しようとしたり、』


んーー??


『神様を消滅させようとしたり、』


えーーー!

ちょっと待って下さい!?


それでも言葉は止まらない。

はじめは少しだけ話そうと考えいても、興奮したり、ヒートアップしたりすると、止まらなくなる性分なのだ。


『自分は神より上の存在だ。ひれ伏せ。と天国にいる全ての魂の目の前で宣言したり、』


もうやめてー!これ以上言わないで下さいぃー。


肉体があるのなら、きっと涙目になっているだろう。

ワンコの魂は限界だった。


『それ以外にも問題を起こしてね。神様達も流石にヤバいって思ったのか、神達の会議【カミハカル】が開催されたんだー。神様達はその魂に罰を与えよってなってー、罰が決まるまで反省の心を魂に植え付けるお札を貼るってことに。』


もう、私はひんしです…。もう、もう、もうやめて……。


『私的には、罰はもうそれでいいんじゃないかと思いますけどー、神様達は違うみたいですねー。未だに罰は決まってません。あースッキリ。』


私は全然スッキリしてませんが……。

それで、結局どうして検査が長くなったんですか?


『えーっと…。どうだっけ? ……あっそうだ、そうだ。その魂は猫を被って天国に入ったみたいで。もっとちゃんと検査しろって神様連中が言ったんだよ。それが丁度十一年前だったはず。』


…聞かなければ良かったです…。

それにしても、一人分の検査に一年なのは困ります。


『何故ですか? 確かに時間はかかりますけど、他の魂達と雑談していればあっという間に十年くらいは過ぎていくじゃないですか。』


じ、時間感覚おかしくないですか?

それはとりあえず置いといて、話を戻します。

検査が一年だと自分の番が来るのが遅いということでしょう?


…私は死ぬ直前に人間に会いました。死に掛けだったからか、その人の魂の色や形が見えました。

白に最も近く、最も遠い透明に似た色でボロボロでした。

多分、次の人生が終わると同時に魂が消滅してしまうでしょう。


『そ、そんな魂がまだいたのか。危険な状態だな。上位神様に連絡しなくては…。ああ、貴方も同行してください。』


えっ? 私も?


そう困惑しているうちに、周りの景色が変わった。


…何が起きたんでしょうか。


『何って、転移ですけど? 知りませんでしたか?』


ええ、全く。聞いたことないです。


『転移はですね、ザックリ言うと瞬間移動みたいなものです。』


瞬間移動…。そんなものが…。


『そろそろわしが話してもよいかのぉ。』


私は嗄れた声が背後から聞こえて、にビックリした。


い、いつの間に!?

全然気が付きませんでした…。


『そりゃあ、最初からいたからの。』


さ、最初から、ですか…。


『上位神様、さっさと本題に入ってください。』


…えっ? 聞き間違いでなければ、私の目の前にいるのは神様だということになるのですが…。


『うん、だからそう言っておるのじゃが?』


…今私に体があれば、倒れて気絶したのでしょう。それぐらい驚きました。


『…何でこの人達はこんなに無駄話が好きなの?』



◇ ◇ ◇



数十分無駄話をした私と神様は本題のことを思い出し、私はあの人のことを伝えた。


『なんじゃと! 早くその魂の元に行かねばっ! …では、アネラ。その子を次の生に案内…』


ま、待ってください! 私もっ! あの人の所に行きたいですっ!

恩返しがしたいんです!


『恩返し?』


そう、恩返しです!


『…まぁ、良いじゃろう。だが、一つ約束じゃ。守れぬならば、会わせんぞ?』


…約束次第でしょうか?


『ちと不安じゃが…。取りあえず、約束について。…魂の状態で会ってはならん。』


…会ってはいけない?

どうゆうことですかっ!


『それは言えぬ。そういう決まりじゃからの。』


……納得出来ません。


『そういわれてものぅ……。わしから言えることはただひとつ。神の決まり事を破るとわしら神も天罰を受ける。

だがそれでもお主は納得せんじゃろう。じゃから、変わりと言ってはなんじゃが、来世必ず再会出来るようにわしが【縁炎(えいえん)】の術をかけてやろう。それで手を打ってはくれんかのう。』


『神様、魂たちは【縁炎(えいえん)】の術について知りませんよ?』


『む? そうか。そうだったか。では簡単に。【縁炎(えいえん)】の術とは魂と魂を繋ぐ炎の縁を結ぶ。その炎はわし以外には解除出来ぬ。その炎が結ばれていれば再会できるのじゃ。』


……なるほど。悪い条件ではないです。それでお願いします。


『うむ。ありがとうのう。ついでに来世の希望もできるだけ叶えられるように言っておこう。』


ありがとうございます!


『うむ。それではアネラ。今どこにその魂がいるか探し出してくれ。』


『神様が話しているときにみつけだしておきましたよ。木の上位神デンドロン様のところです。今すぐにでも行けます。』


『お主は有能じゃのう。そろそろ天使から下級神へ、昇格しそうじゃ。』


『本当ですか? ありがとうございます。』


『うむ。それではアネラ、デンドロンにこれを渡し、ここにいる魂を送り届けるのじゃ。』


そう言って神様は、天使アネラに【何か】を渡す。


『御意。

それでは行きましょうか。』


天使アネラは神様に返事をし、私に話しかけ、私は了承した。


『それでは転移します。』



◇ ◇ ◇



転移するとすぐ、


『い、犬!!珍しいのう。』


と声が聞こえた。


突然すみません!! お願いがあるんです!! 私を助けようとしてくれたあの人のところに生まれたいんです。とても優しそうな人なんですけど……。


私はいてもたってもいられず、目の前の神と思われる者へ希望を伝えた。


『ちょっと待ってください。その前に、木の上位神デンドロン様。こちらを。火の上位神プロコス様からです。』


天使アネラは、私に待てを伝えた後、木の上位神デンドロンに話しかける。


『なに!? プロコス先輩からじゃと! 珍しいのぅー。なんじゃろなんじゃろ。』


木の上位神デンドロンは歓喜の声をあげ、天使アネラから【言炎(げんえん)】を渡される。



言炎(げんえん)】とは、火の上位神プロコスのみが扱える言葉を記録する特別な炎。取り込むことで記録した言葉を伝える。

火の上位神プロコスはこの炎をよく伝言として使う。

神や天使以外には上手く認識出来ないようにする認識阻害の術までかけてある。



「ふむ。貸し1つで、そこの魂の来世希望を叶えるようにと。天使アネラよ、プロコス先輩へ了解したと伝えてくれ。」


「はい。それでは。」


天使様ありがとうございました。


私がそう伝えると天使アネラは転移した。


あのぉ。神様。


『ん? ああ、放っておいてすまぬな。ある者のそばに居たいということでよかったかのぉ。』


はい。そうです。あの人は私の恩人。恩返しがしたいんです。


「ふむ。よいぞ。」


ほんとですか!やったぁ。もっと欲を言うと気づいてもらいたいので前と同じ見た目がいいです。


私がそう伝えると、神デンドロンは考え込む。


難しかったのでしょうか。


不安に思っていると、けろりと神デンドロンは言った。


『別に良いが瞳を紅にしたい。』


紅!!な、なぜですか?


私が疑問に思って聞くと、神デンドロンは、


『だって、異世界じゃし……。元のも可愛いがのう。……異世界じゃし…。それに……、ちょっとな。』


と子供のワガママのように言った。


わ、わかりました。ではそれでお願いします。


『ほっほっほっ。それではのう。バイバイなのじゃ~。』


神デンドロンがそう言った瞬間、転移のときのような感覚に陥った。

おまけで本編の世界の神たちを軽く紹介します。(まだあんまり出てきてないですが。)


─────

すべての神の頂点である最上位神ベルティストス。

今のところ登場予定なし。



上位神は今現在(短編では)5柱。


火の上位神プロコス。炎神。


現在の上位神の中でも1番の古参。短編の主人公を気に入っている。実はこっそり短編の主人公に加護を与えている。一人称わし。



水の上位神ヴィーズ。海神。


現在の上位神の中でも1番若い神。1代前の上位神の尻拭いをしている貧乏くじを引いてばかりの可哀想な神。一人称自分。



土の上位神ティエーラ。女神。地神。


豊穣を司る女神として有名であり、1番信者が多い神。美の女神とも言われており、ある国では『美人は美神の加護が与えられていて、その人と結婚すると幸福になれる』と言われている。一人称わたし。



木の上位神デンドロン。樹神。


犬好きの神。本編の主人公を転生させた本人。1代前の海神と親友だった。この海神がやらかした。


上位神プロコスのことを尊敬しており、いろいろ真似ているらしいがちゃんと真似ができているのは口調だけ。本当は結構若い。一人称わし。



風の上位神フラートゥス。女神。風神。


今のところ登場予定なし。一応一人称わたくし。



上位神のしたっぱ中位神がそれぞれ20柱。その中のトップ。



火の中位神フランメ。女神。


水の中位神シュイ。


土の中位神ジャミャ。


木の中位神トゥリー。女神。


風の中位神ゲイル。


中位神たちは少し出す程度はあるかも知れないが今のところ登場予定なし。


今のところ下級神の出番もなし。



上位神、もしくは中位神のしたっぱ天使いっぱい。


火の上位神のしたっぱ天使アネラ。


転移の術と特定の人物、もしくは魂を探し出すことが得意。凄く有能で、そろそろ下級神へ昇格するかも知れないらしい。一人称私。


今後の登場予定は今のところなし。


上位神のしたっぱ天使は、そこまでたくさん出すつもりがない。


その他、無所属天使もいっぱい。

─────



どうでしたでしょうか。お気に入りの神もしくは天使が出来たら、登場するのを楽しみにしておいてください。

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