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第9色

 大樹の下へ着き、周囲に誰もいないことを確認すると、その幹に触れる。触れた部分の表皮が扉の様に開き、目の前には樹の中を回るように螺旋階段が伸びていた。アールが階段を進むと表皮の扉は自然に閉まり、表面も元通りになっていた。

 ログハウスのような階段を一気に駆け上がり、光の差し込む蔦や枝葉でできたカーテンが見えてくる。肩で息をしながら恐る恐る緑に触れると、彼を迎え入れるようにひとりでに枝葉が開いた。


「アール!」

「……よかった……」


 光の眩しさに目を細めながら、出迎えてくれた彼女の姿に安堵する。この場所は、アールとエレンしか入ることができない、緑に囲まれた部屋。二人だけの秘密基地も同然だ。

 そこで待っていたエレンは、任務中の髪を結っているはっきりとした性格と違い、普段の髪を下ろして穏やかな彼女だった。息を整えているアールを見て、心配そうに眉を下げている。


「一体、どうしたの……? すごい慌ててるけど……」

「さっきの任務で回収した魔珠……あれは偽物だった」

「えっ?」

「連行した男を使って話していた奴がいただろ? そいつが……っ!!」

「アール? どうし……きゃっ!?」


 話の途中で突然身構え、庇うようにエレンの肩を抱き寄せるアール。同時に、部屋を覆っている枝葉が強くざわめいた。


 時は少し遡り、アールから託された偽魔珠をセラヴィへ届ける為に司令官室へ急ぐデルフィノたち。二人も、大花盤の速度を上げ、向かっている最中だった。


「兄さん、さっきアールさんが言ってたグラッツって、どんな奴なの?」

「……とんでもない奴だよ。『傀儡術』に長けていて、人を欺くことに関しては、彼の右に出る者はいない、と言われるほどさ」

「え! そんな奴がここに侵入しようとしていたわけ!?」

「仮に彼の術に嵌って、自力で抜け出せるのは、おそらく司令官やアール先輩みたいな上級魔力を持つ人たちくらい、ってレベルだよ。だから急がないと……ん?」

「どうしたの兄さん、急に止まって? 急ぐん……」

「アマレット!! すぐ司令官に通信繋いで!! 間に合わない……!」

「えっ!? あっちょっと待って……!!」


 話の途中で突然大花盤を止めたと思いきや、剣幕な表情で弟へ指示をするデルフィノ。アマレットが彼の手にある光の箱を見ると、黒い液体がボコボコと音を立てながら膨張しているのが確認できる。アールが厳重に張った結界をも内側から破ろうとしているのが、彼にも伝わっていた。


「まずいまずいまずい……! あっ、司令官! 緊急で報告です!!」

『アマレット? 今何が起きているの!? この魔力は……』

「グラッツが……グラッツがガーデンに侵入しようとしています!!」

『なんですって!? 近くにいるのはデルフィノね? あなたたちは無事なの!?』

「今、兄さんが食い止めているけど……!」

『わかったわ、今応援を向かわせています。それまでに何とか耐えて……!』

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