第17色
当の本人よりも自身あり気な二人に対して、エレンはより一層顔を赤くして俯いてしまう。恋愛事に関して疎いところもあるのだが、元々の彼女の性格として、自分に自信を持てないのも一歩前進できない理由の一つでもあった。そんな様子を見かねて、シェリーは両手でエレンの顔を挟み、上を向かせる。
「エーレン! また下向いちゃってる。ほら、上向いて! あなたはみんなが羨むくらいに可愛いんだから」
「ぅ……ありがと……」
「初等部の頃から、エレンはいろんな男の子から人気ですもの。アールさんだって放っておけないと思いますよ」
「そんなアールさんも超大人気だけどねぇ……ただ、言い寄ってきた子たちのあしらい方が上手いのよね。エレンも、もう少し男子を適当にあしらうくらいしていいのよ? ターボとか特に」
「あはは……断ってはいるんだけどね……」
その時、三人のいる部屋の扉がノックされ、一人の男性が顔を覗かせた。
「失礼します。皆様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「リッチさん! さすが、いつも良いタイミングで来てくれますね! 丁度無くなるところだったんです!」
「お褒めに預かり光栄です、シェリー様。セリーナお嬢様も、お体の調子が良さそうで何よりです。今回はヤグルマギクをブレンドした茶葉にしてみましたので、どうぞ」
部屋へ入ってきたのは、セリーナの付き人であるリッチだった。三人がこうしてお茶会を開く度に、タイミングを見計らってお茶のおかわりやお菓子を持ってきてくれるのが習慣になっている。彼が一歩奥へ進む度、華やかな香りが部屋いっぱいに広がった。
「ありがとうございます、リッチさん。エレン、一緒にいただきましょう?」
「? エレン様、お顔が赤いようですが、まさか熱でも……?」
「あっ、いや! 違うんです!……えっと……」
「違いますよぉ、リッチさん。今、ちょっとした恋愛相談を……」
「シェリー!」
「あぁ、それならばお邪魔をしてはいけませんね。飲み終えたポットも片付けて参りますので、私はこれで……」
「いやいや、ちょーっと一緒に話に混ざって欲しいんです、男性目線で♪」
「えっ?」
「えぇっ!?」
「シェリー、タイミングが良い、ってまさかそういうことでは……」
狼狽えるエレンを余所に、シェリーはウインクをしてその答えとした。リッチも、まさか自分が女子会の中に迎え入れられるとは予想していなかっただろう。半ば強引に席に案内されて、冷静な彼でも流石に困惑した様子を見せていた。




