第15色
「通信越しに叫ぶな。耳がおかしくなる」
『あっ、すみません……!』
「それでどうした? また緊急か?」
『いえ、そうではなく、その……先程のグラッツの侵入、おれの力不足で止められず……すみませんでした』
「謝るな。どちらかと言えば、最初の報告の時点で気付けなかった俺の失態なんだ。お前のせいじゃないし、責める理由が無い」
『そんな……』
「むしろ、お前があの時いち早く気付いて動いてくれなかったら、もっと最悪の事態になっていたかもしれないんだ。……デルフィノ、それとアマレットも、二人には感謝してる」
『……っ、ありがとう、ございます……!』
鼻をすする音が聞こえ、アールも思わず苦笑する。そこへ、シェリーとの通信を終えたエレンが隣に座り、花盤の展開を切り替えるようジェスチャーする。
花盤というのは、乗り物である大花盤と同じデザインの、ネオンに光る円盤型の通信機であり、その通信方法は二種類ある。円盤が半分に分かれ電話のように耳と口元に展開される通話型、もう一つは、花盤の盤面からホログラムとして相手を映し出す対面型となっている。アールたちは通話型で話していたため、対面型にして欲しい、とエレンは頼んだのだ。仄かに光りながら、花盤が正円に戻り水平に展開されると、すぐさまデルフィノとアマレットが映し出された。
『あ、れ……エレンさん!』
「デルフィノくん、アマレットくん、私からもお礼を言わせて。二人が早く動いてくれたから、私も無事よ。ありがとう」
『よ、よかった……よかったです!』
『……あれ、兄さん、アールさんの隣にエレンさんがいる、ってことは……』
『え?……ぁっ!! すすすすみません! すみません!! お二人の無事も確認できたので、おれたちはこれで!!』
(今気付いたか……)
アマレットからの言葉でようやく状況を掴んだデルフィノは、再び勢いよく謝りながら、早口で通話を締め括った。エレンはまだ何か言いたげだったが、花盤はアールの左手首の腕輪に収納されていった。通話が終わったことで、アールは「やれやれ」と髪を掻き上げながら、軽く息を吐いた。
「ごめんね、アール。私もシェリーからお茶に誘われちゃって……さっきの話、またゆっくり聞かせて?」
「あぁ、いいよ。シェリーも心配していただろうし。俺もその間に、ちゃんと話せるようにまとめておく」
「うん、待ってるね」
そう言って、エレンは秘密部屋を後にする。彼女が階段を降りていく音を聞き届けた後、アールは再び頭を抱えて思い悩んでいた。




