05 試用
相棒が戻ってくるまで、もろもろお休みで自宅待機中。
でもなあ、ひとり鍛錬で身体を動かすだけってのも、
味気ないって言うか物足りないて言うか。
数日我慢したが、いよいよ辛抱たまらんってなっちゃった、俺。
せっかくお預かりした『ゼファーシルエット』
思う存分試してみたかったので、
リリシアをお供に、マリネ・ズッキーニをかっ飛ばして、ちょいと遠征討伐へ。
最近近隣に魔物が居なくなったので、少し遠出して王都の南の森林地帯まで足を延ばした。
以前大発生した魔物の群れはシナギさんたちに討伐されたが、まだそれなりに残ってるとの事だったので。
正直、以前の俺なら手に余るような魔物だらけだったのですが、
ホントすげぇよ『ゼファーシルエット』
さほど得意じゃ無いはずの槍なのに、普段は手こずる魔物を寄せ付けない強さ。
まあ、槍と片手剣の間合いの違いって事もあるんだろうけど、
何よりめっちゃ手に馴染むんだよな。
俺、ちょっとだけ特使勇者気分。
「調子に乗らないようにと言いたかったのだが、今のアランならこの成果を誇っても良いと思うぞ」
ありがとう、リリシア。
日々の地道な鍛錬は必ず身を結ぶって、実感出来たよ。
「うむ、常に謙虚であろうとする心さえ見失わねば、今の自身を誇ることも大切であろう」
「良い遠征となったな」
大満足の遠征を終えて、意気揚々と我が家へ。
ありがとな『ゼファーシルエット』
でも、俺にはすでに将来を誓った相棒がいるのさ。
早く戻ってこないかな。
今度は、パワーアップした相棒との討伐遠征、楽しみだぜ。