04 お預け
「こんにちは、アランさん」
「今日はどのようなご用件ですかっ」
こんにちは、アリシエラさん。
実は俺の武器について、なのです。
そして、あれやこれやと、相談。
「つまり、慣れ親しんだ片手剣を使用感そのままにパワーアップしたい、という事ですねっ」
出来ちゃうんですか。
「お任せください、と言いたいところですが、アランさんがどこまでお任せしてくれるのかにもよるのですよっ」
?
「つまりは、もし失敗しちゃうとその剣を失う可能性すらある危険な強化法に手を出す勇気はおありでしょうか、という事なのですっ」
ことこれに関しては、アリシエラさんに全てを委ねるのが吉、ですよね。
「むはっ、そんなにグッとさせられちゃったら了解するしかナッシングなのですっ」
「このアリシエラ、全幅の信頼には全力を持ってお応えする所存」
「それでは、大切な娘さんをお預かりしますねっ」
相棒の片手剣を、手渡す。
無事に帰ってくるんだよ、
と、少しだけ名残惜しげな眼差しで見送る、俺。
「しばらくの間は、こちらをお使いください」
おっと、それって、
「そう、あの『ゼファーブラック』が、より一層のパワーアップを遂げてリベンジのため帰って参りましたよっ」
ノノカちゃんの情け容赦ない必殺技を受け止めた時の痛々しさは微塵も無しの、
漆黒なのにツヤッツヤ!
「先日の悲劇的な出来事から『ゼファーブラック』の武器としての誇りを取り戻すための大改修」
「あの『アルティマキシマ ハートブレイカー』にも耐えられるよう、耐久性を増強した『絶金』マシマシ仕様ですっ」
「もちろん耐久性以外にも『召喚魔王アライヤン』ことアランさんの身体能力に合わせたスペシャルチューンを施しましたよっ」
「様々な面でオリジナル『ゼファー』すら凌駕する存在」
「名付けて『ゼファーシルエット』!」
「アランさんに快適な魔王ライフをお約束する新たなるチカラ、ですよっ」
えーと、魔王はしばらくこりごりなんだけど……
「それでは、しばし音信不通となりますっ」
「ご期待あれっ」
うちの娘をよろしくお願いしますね。
アリシエラさん、いつにも増しての気合いの入りっぷり。
これは期待出来そうですね。