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 褐色です、


 長身です、


 スレンダーです。



 ケムリの中から現れたのは、


 セシエリアさんと見紛うほどの、


 クールで眼鏡で超イケてる、すっげぇ素敵な褐色お姉さん。



「ゼシカです」

「以後、お見知りおきを」


 どうも、アランです。



 あー、やってくれましたね、アリシエラさん。


 なんだよもう、


 最高かよ。


 最高の武器と最高のお姉さんが、


 いっぺんにそろっちゃったよ。



 って、どうしよう。


 我が家の増築計画、まだ全然形になって無いんだけど。


 とりあえずみんなには、新しいメイドさんが来ちゃったよって紹介する方向で。


 だって、いい感じにアレンジ効いてるメイド服着てるし。



「御用が無いようでしたら、スピアモードに戻りますね」


 おっとすみません、


 出来ればもう少し、自己紹介的なお話しでも、



「結構です」


 うほっ、すっげぇクールだよ。



 俺を見据える冷めた眼差しも、


 程よくかすれたハスキーボイスも、


 身にまとう突き放すような雰囲気も、


 全部が全部、圧倒的なクールっぷりだよ。


 俺、マジで、タマランッ!



「ご主人さまの言うこと聞かなきゃダメッ、なのですっ」


 おっと、フルリ。


 気持ちは嬉しいけどちょっと待って。


 お父さんは、いま大事な局面を迎えているのですよ。



 家長として、新しいメイドさんと白黒つけねばならんのです。


 もちろん、負けて下僕になるのも、それはそれで大変によろしいかと。


 いや、むしろそっちの方向で。



「お姉さまの仰せのままに」


 おっと、ゼシカさんがフルリにひざまずいて恭順の姿勢を。


 やるなフルリ、さすがは先輩メイドさん。



 それではお嬢さん、エスコートいたしましょう。


 我が家で歓迎会的な宴を催しますので、


 どうぞこちらへ。



「……」


 くっ、これってなんという鋭さの上から目線、


 略して"くっこれ"


 さすがの俺でも心が折れちゃいそうになるほどの、


 射るように高圧的な眼差しですわ。



「ちゃんと言うこと聞かないと、奥さまたちからお仕置きされるのですよ、ゼッちゃん」


 ほほう、ゼッちゃんですか。


 やりますな、フルリお姉さま。


 このクールビューティーを難なく従えるさま、


 まさに先輩メイドの面目躍如ですね。



 そして自分の立ち位置に思いを巡らす、俺。


 家庭内ヒエラルキー最底辺の座は、未だ覆らず。




 もしもし、アリシエラさん。


 クーリングオフとまでは言いませんが、


 もう少し、加減ってもんがあったんじゃね?



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