17 傾向
街中散策の合間に、セシエラさんにしっかりとアポイントメント。
大人としての嗜み、ですね。
お会いできるのは明日の午前中とのことで、今日はショッピングに専念。
ヴェルクリの服屋さんはエルサニア王都とは、また違った感じのラインナップ。
この異世界では、手縫いだけでは無く、魔導縫製機なるものを備えた工場まであるとのこと。
おしゃれへの人々のこだわりは、どの世界でも一緒なのですね。
つまり、世界的な流行もあれば、各地域ごとの民族衣装的なものも当然あるのです。
なるほど、この世界のファッション、侮りがたし。
家族持ちともなれば、ぼっちおっさんの頃とはいろいろと状況が変わってくるのです。
妻たちのみならず、これからは娘のフルリのためにも、ファッションセンスを磨かねば。
えーと、残念ながらそっち方面はまだまだ要修行なのですよ。
いろいろ大変なのですが、そういった苦労なら大歓迎ですね。
女子一同、ショッピングを楽しんでおります。
それぞれの趣味の違いも面白いですね。
リリシアは、清潔感のある清楚系が好み。
マユリは、あまり派手すぎないカジュアルなもの。
ユイは、私服は極力シンプルに。
たぶんフリフリお姫様暮らしの反動でしょうね。
ハルミスタは、苦労しております。
魔法力が規格外なら、アレの大きさも規格外。
頑張れ、ハルミスタ。
プリナさんは、まず真っ先に値札を確認。
もっと自由に選んで良いのですよ。
メリルさんの、フルリの服を選ぶ眼差しは真剣そのもの。
いえいえ、ご自身の服も選んでくださいな。
ほら、あの背中が丸見えの大胆なドレスなんて、すごくお似合いでしょうに。
「油断も隙も無い、な」
「下着コーナーをうろつかないだけマシ、ですねっ」
「とりあえず、ポイント追加かしら」
うむ、ポイントは順調に加算中。
この分だと今日の夜は、気持ち良いお仕置きタイムを満喫出来そうですよ。
よきかなよきかな。
そして、今日のお泊まり。
『ヴェルクリの家』の大きな建物内にある宿泊施設です。
もちろんエルサニアの高級宿のような高級感とは縁遠いのですが、清潔で落ち着いた雰囲気の居心地の良い宿泊施設。
旅の疲れを癒すには最適な快適空間ですね。
この宿を選んだ事、なにやら邪推してる方もおられるようですが、決してスズナさん目当てなどではありませんよ。
以前も宣言した通り、俺には矜持があるのです。
『人妻と人妻候補には手を出すべからず』
特にスズナさんとフラットさんは、仲間たちみんなが応援しているお似合いカップルなのですから。
えーともちろん、夜の施設内で寝巻き姿のスズナさんとばったり、などというハプニングなんかは大歓迎ですよ。