15 ヴェルクリ
リグラルト王国のヴェルクリの街に到着。
『ゲートルーム』は大型新施設『ヴェルクリの家』に配備されております。
「こんにちは、アランさん、皆さん」
こんにちは、フラットさん。
お勤めご苦労さまです。
「家族旅行、楽しんでください」
ありがとうございます。
スズナさんたちにもご挨拶したいのですが、今の時間は孤児院の方ですか。
「今は子供たちの午前のお昼寝の時間かな」
「って、午前のお昼寝って言い方、変ですかね」
いえいえ、寝る子は育つ、ですよ。
たくさんお昼寝してぐんぐん育って、頼もしい大人になってもらいましょう。
「みんながあれ以上大きくなったら、僕なんかじゃ敵わなくなっちゃうな」
「スズナなら平気なんだろうけど」
やんちゃで元気が一番ですって。
それでは、スズナさんたちにご挨拶してきますね。
「いってらっしゃい、気を付けて」
どれ、スズナさんたちは、っと。
いましたよ、スズナさんと院長先生のルハンナさん。
子供たちを寝かしつけておられますね。
どれ、うるさくしないように、遠くからご挨拶っと。
うむ、相変わらずお元気そうで何より。
こんなに遠くからでもしっかり見えちゃうのは、異世界対応視力向上野郎だから。
スズナさんの、制服では隠しきれない悩ましボディと、ルハンナさんの素敵なお姿がバッチリ見えちゃうのです。
これだけでも来た甲斐があるというもの。
まさに慰安旅行バンザイ、ですね。
「どうしようか、マユリ」
「ここでお仕置きするとスズナさんたちにも迷惑だな」
「旅の間は、お仕置きはまとめてその日の宿でってことにしましょうかっ」
「名案ですわ、お姉さま方」
「それじゃ、お仕置きポイント1点追加ってことね」
「……皆さん、お静かに」
「それでは、ご挨拶して退散しましょうか」
「……」
えーと、不穏な空気を察知しましたが、お仕置きと聞いては黙っていられないのが『モンスター』のサガ。
つまりは、旅の間は程よいやらかしを繰り返してポイントを溜めるようにさえすれば、その日の終わりに気持ち良くお仕置きしていただけるというわけですよ。
一日の締めくくりとして、何と贅沢なことでしょうか。
もちろんやらかしの加減なんてすでに自由自在の、年季の入ったベテラン『モンスター』であるこの俺。
旅の楽しみがまたひとつ増えて、わくわく上機嫌なのです。
それでは、いざ、ヴェルクリの街へ!