12 エルサニア
まずは当然、エルサニア王都城下街から。
もちろん勝手知ったる地元なのですが、こうしてじっくり服屋さん巡りなどした事は無かったので、結構新鮮なのですよ。
「こんなにお小遣いをいただいても……」
大丈夫ですよ、プリナさん。
今までユイの服ばかりだったので、俺たちなりのお詫びって事で。
それと大事な点がひとつ。
プリナさんの服が増えるってことは、ユイのおしゃれの幅が広がるって事でもあるのですよ。
「ありがとうございます、アランさん」
プリナさんのやる気が、めっちゃ上がりましたね。
本当に仲良しなんですよ、このふたり。
エルサニア王都の服屋さん関係は、ハルミスタがとても詳しいのです。
ネルコさんのランジェリーショップ『ハルネル』立ち上げ準備の時に、
挨拶回り的にその手のお店を訪ね歩いたそうです。
うむ、人生経験を積んでおくって大事ですよね。
元ぼっちには、耳が痛いです。
そんな感じで、王都の有名店やら隠れた銘店やらを制覇した俺たち。
もちろん適度に休憩しながらのゆるりショッピングでしたよ。
ハルミスタの『収納』は、イヴさんから教わったという『収納』容量拡張術のおかげでかなりの大容量なので、幌馬車旅じゃないけど荷物の心配は無し。
こうして、ぶらり慰安ショッピングの旅、実に良い感じに進行中。
そして旅の醍醐味といえば、宿。
普段馴染みのない、高嶺の花ちっくな高級宿にお泊まりしてみましょうか。
って、ここかよ。
あの『男祭り』の時、大会側が用意してくれていた高級宿だよ。
あの時は緊急事態で泊まれなかったんで、リベンジってとこかな。
「……」
マユリも、ちょっと複雑そうな表情。
いいから、がっつり楽しもうぜ。
そして王都の夜は更けていくのです。