10 決定
というわけで、我が家に家族が増えました。
人造"つくも神"のフルリ。
見た目はユイより幼いけれど、それもそのはず生まれたて。
剣として俺と一緒に闘っていた頃の記憶は、しっかり覚えている模様。
基本、俺にべったりなので、少々困っております。
もちろん、寝室は別々。
今はニエルの部屋で一緒に暮らしてもらっております。
なぜかニエルと体型・体格などなどが一緒だったので。
ニエルは私服をあまり持っていないので、
今のところフルリには、比較的大人しめのメイド服を着せてもらっておりますよ。
っていうかつまりは、ニエルのアレも控えめな柔らかさなのですかね。
なんだか知りたくなかった情報までインプットされちまった、俺。
アラン家も、いろいろ新しい事情が増えてきたし。
うん、決めた。
前々から考えていた例の計画を、至急実行に移さねば。
「みんなで王都にショッピングに行こうと思うんだけど」
俺の突然のひと言に、皆さん、ぽかん顔。
「このあいだの"G"討伐の報酬もあるし、フルリやプリナさんだけじゃなくて、みんなの服も買いに行きたいなって」
「もちろんメリルさんもですよ」
どうでしょう、皆さま。
「とても良い話しなのだが、あまりにも普段のアランらしくないので、逆に怪しいというか何というか」
酷いよ、リリシア。
もっと素直になろうぜ。
いや、簡単に素直になれないくらいに、俺がやらかしてきたって事なんだけどさ。
「せっかくだから『ゲートルーム』で各国ブティック巡りなんて、素敵ですよねっ」
ナイスだ、マユリ。
歳相応の女の子っぽいご意見、実にナイスですよ。
「フルリさんやプリナのためにそこまで考えてくださるなんて、見直しました、アラン」
よし、ユイの評価が爆上がり。
俺、イケてる旦那さま、出来てるよな。
「私に合う服、あるといいけど」
大丈夫だって、ハルミスタ。
ハルミスタは、その、デカいんで、おしゃれ服は自作かオーダーメイドしかなかったんだよな。
この機会にあちこちじっくり探してみようぜ。
「……」
プリナさん、まだ遠慮がちなんだよな。
そういえば、まだ一緒に長旅とかしていなかったし旅行気分で、
いや、この際だから本格的に慰安旅行しちゃってもいいよな。
「私はいつも通りに」
駄目ですよ、メリルさん。
服はちゃんと自分の目で見て選ばないと。
でないと俺の趣味丸出しな服ばかり買ってきちゃいますからね。
「お留守番は私ががんばっちゃいますから、メリルさんは羽根を伸ばしてきてくださいよぅ」
「おっといけない、羽根が生えてるのって、私でしたっ」
ありがとな、ニエル。
いっぱい私服を買ってくるからな。
なんせお前の分の試着はフルリがいれば大丈夫。
というわけで、アラン家慰安旅行、開催決定。