だから〇〇は…と言われるんだよ
某異国の言葉を話せる中の人が異国語で語りを入れてそこからオープニングに入るゲームがあった。主人公の血肉は○○の餌になる…主人公の匂いが〇〇を引き寄せる…とどこか既視感の感じる設定の主人公。色んな設定もりもりで壮大な雰囲気で始まったが、プレイし終わっての感想は…
ああ、これ中の人に異国語で格好良くペラペラ話してもらって、耽美な雰囲気を味わいたいだけのゲームだったな~と…これもソッと棚の奥にしまった。私の家の本棚の奥はク〇ゲーの腐海の森である…乙女の皆様宜しくお願いします。
パレナシレーダ王国に、カッフェベルガ王太子殿下とリヴィエラ=ムスタレント皇女殿下との婚約が公示された。王都は祝賀一色に染まった。
そんな中、聖ワリアーナ祭の当日になった。この祭もよくよく考えればイカ焼き、たこ焼き、りんご飴…そしてシシカバブの串焼き、クレープの屋台…昔から和洋中?ごちゃまぜな屋台が出ていた。
この世界観丸無視で情緒もなけりゃ、節操の無い感じがクソゲーっぷりのクソゲーらしさの原点ともいえる。もっとゲームの世界観を重視しろ、中世ヨーロッパ調にしたいならタコ焼きの屋台は作るな…。
「凄い人だね~」
「今年は特にだろう、カッフェ殿下とリヴィエラをイメージした花火が打ち上がるとかで、それを見たい人も押しかけているみたいだし」
レイファの説明を聞きながら、もう何でもありだな…とクソゲーのぶっ飛び設定に苦笑いが起こる。
「ミルマイア、タコ焼き食べないの?」
「んぐ…食べるけど」
そう世界観ぶち壊しの屋台だが、私的にはタコヤキ!と毎年楽しみにしているのだ。今思えば私もゲームの強制力?で思考力が鈍っていたのかもしれないが。
どう考えても立ち並ぶ屋台が和のテイストが強すぎるよね。
「射的と金魚すくいがあるよ」
レイファの指差す所に金魚の屋台があった、ポイが三本で300G?
っおい!それジャパーーーンの風物詩だからっ!おいっクソゲースタッフゥ!自分達の作ったゲームの設定資料集を今一度読み返せっ世界観を熟知しろ!ノリで背景描いたり、キャラ衣裳作ってんじゃねーぞ!
そう何故、衣裳で私が怒っているかと言えば…彦星と織姫…違った、え~と火の精霊と水の精霊をイメージした衣裳を恋人同士又は夫婦などのカップルがペアルックで着こなし、祭に参加するのが最近流行っているらしいのだが、それの衣裳がどう見ても『浴衣』なのだ。
「キャラデザ仕事しろっ!」
「どうした?」
「ううん、え~と今年もユカータの人達多いね」
ネーミングセンスも相変わらずのクソだね。そう…クソゲーとはツッコミ待ちでそれをゲーム内で探すのもクソゲーを愛でる楽しみの一つなのだ。ユカータなんでやねん!タコヤキなんでやねん!
逆を返せば、ツッコミの一つも起こらないクソゲーは愛するクソゲー枠にすら入らずに、私的カテゴリーの胸糞ゲーや苛立ちゲーのジャンルに入れられて、時々思い出して酒のつまみにすらならない作品として完全に闇に葬っていくのだ。
別に私如きに闇に葬られたって、クソゲー排出制作会社には痛くも痒くも無いかもしれないが、ニッチでコアなクソゲー愛好家の顧客を1人、逃すと思って欲しいわけだ。
愛すべきクソゲーが無くなるとそれはそれで淋しいのだ…。だからクソゲーを制作しろとは言えないが…。クソゲーハンターは常にゲーム市場に目を光らせているということを胸に刻んで欲しい。
「ミルマイア、例の所で花火見ようよ」
綿あめを買って食べている私の手を取って、レイファが私の手を引いて人混みの中を歩き出した。例の所…とは私とレイファが子供の時に見付けた花火を最高に綺麗に見れる穴場スポットのことだ。
森の奥小高い丘の上…登りきると丁度、打ち上げ花火が始まった時だった。
花火の破裂音が響き渡り、人々の歓声が丘の上まで響いてくる。夜空を舞う花火…。
「綺麗…」
花火っていつどこで見ても綺麗なんだよね…ここだけはいい仕事してるじゃないか、とクソゲースタッフゥを心の中で褒めたたえておく。
私の手をレイファがソッと握り締めてきた。私もレイファの手を握り返した。
「俺達もお揃いの精霊のユカータを着て来れば良かったな…」
耳元で囁かれたレイファの言葉に、くすぐったい気持ちになった。
ドーンと一段と大きな花火が上がり、目を向けると何だか人の顔を模したような花火の後に『congratulation!prince&princess』と英語で文字が浮かび上がっていた。英語ぉ!?
だからぁ~こういうごちゃまぜな世界観はヤメロ!
…でもまあいいか。綺麗なものは正義だ。美しさに二次元も三次元も変わりはない。
グイッ…とレイファの方へ体が引き寄せられて、レイファの美麗な顔が私に近付いて来るのが見える。フフフ…ロマンティックだね。『レイファと聖ワリアーナ祭』スチルゲットだぜ!なんてね。
レイファの唇を受け止めながら、私は幸せな聖ワリアーナ祭の日を終えたのだった。
そんな祭の後は夏休み前の期末考査がやってきていた。
レイファと図書室で試験勉強をしていると、サエバートがやって来た。
「リーナ=ピュリーサ男爵令嬢とマリン=ステージアの処罰が発表されたよ。」
サエバートは王宮内で発行されている、広報紙を手に持っていた。レイファが受け取って読んでいる。
「処刑じゃないのか?」
レイファさんってばっ…女性向け恋愛シミュレーションに不向きな台詞言っちゃってるよ。
私もレイファから広報紙を受け取って読んだ。
〈〇〇年○○月、司法裁判所にて判決決定が下され、リーナ=ピュリーサ男爵令嬢及びピュリーサ男爵家一族とマリン=ステージア及びその一族は島流しの刑と処される。〉
「島流しぃ!?」
こらこらこらーーっ!また世界観丸無視の平安時代や江戸時代みたいな刑罰来たよコレ。確かに女性向け恋愛シミュレーションゲームの設定的には、公開処刑とか打ち首とかはあまりに非道過ぎてSNS炎上案件だとは思うけどさ。
そもそも島ってどこなんだろう?ちょうど試験勉強用に持っていた地理の教科書の地図を開いて島の所在を確認する。
うむ…パレナシレーダ王国の周りには結構大小様々な島が点在する。全くの無人島に島流しだとは思わないので平安時代からインスピレーションを頂いているなら百人一首や大昔のロマンス小説絵巻にも出てくる、ちょいと西側の浜辺りという所だろうか…。
「流刑なら『アルカトラ島』だろう」
今何と言った?レイファよ?微妙に何かをパクった…もとい、オマージュしたような島名を言ってなかったか?
「アルカトラ?」
「ああ、島流しの刑で罰せられる者は、アルカトラ島に送られるよ」
アルカトラ島はパレナシレーダ王国の北の方に位置する陸の孤島…大分離れた所に位置する…監獄島のようだ。つい、図書室で『アルカトラ島の歴史』という本を読み込んでしまった。
しかしリーナ=ピュリーサとマリン=ステージアぐらい根性があるのなら、脱獄?して泳いで帰って来そうじゃない?クソゲーならではで、監獄内の監視もガバガバな気もするし…。
この流刑に決めてしまった大人達よ、乙女ゲーマーの根性とやる気と根気を舐めちゃいけないぜ。発売日に有給休暇をわざわざ取得してゲームをプレイしてみたり、キャラ関連の乙女向けイベントがあると聞けば、昼休み返上でチケ取りに心血を注ぎ、夜行バスに揺られて地方から都会のイベントに赴き、格安お宿に宿泊をして週末の予定をそんなイベントで埋め尽くすなんてザラだ。勿論、イベント内の物販でキャラグッズを大人買いすることも忘れてはいない。
乙女の意地と根性を舐めてもらっては困るぜ…。
そして私達、ミラジェール学園の期末試験が開始されたその日に、このゲーム主人公達がアルカトラ島に送られて行った。一族全員…とは酷いなとは思うがこういう細かな設定で非情なシナリオを見せてくるのがクソゲーの余計な仕業という事だろうか。
そして期末試験の結果は一位がレイファ、二位が私という結果だった。
「俺が一位になったんだから、ミルマイアは言う事を聞けよ?」
試験結果の発表を見た後そんなことを言いながら、勝手な言い分で迫るレイファに逆らえも出来ず『レイファと初めての×××』スチルをゲットしてしまいました。
いやいや初めてが、体育倉庫ってどう言う事?これだからクソゲーはって言われるんだよ?乙女には雰囲気というものがあってだなぁ……まあ今更クソゲーにそれを求めても仕方ないか。
皆様くれぐれも、ゲームのやり過ぎにはご注意下さいませ。
さていよいよ明日からは夏休みだ。どんなクソゲーっぷりを今から味合わせてくれるのか楽しみ~だなんて私もクソゲーの甘い罠に嵌って中毒になっているようだ。
「ミルマイア、今年は皆で島の別荘に行かないか?」
レイファにそう言って誘われたけど、島の別荘、夏休み…クソゲーのクソイベントが炸裂しそうで…ワクワクしてしまう。もしかすると、混ぜるな危険の法則を無視して連続殺人事件などのサスペンスを入れ込んで来るかもしれない。
何と言ってもクソゲーだしね。
ク〇ゲーと言えばシステムもク〇なのが売り(笑)なのですが、とあるゲームで内容はとても面白かったのですが、EDロールで画面がフリーズして動かなくなったゲームがあるんですが…そのEDで表示されていたスチルが主人公に覆いかぶさっている攻略キャラの微エロ絵でした。仕方ないのでそのEDスチルが表示されたまま携帯ゲーム機の電源を落としました。今だに忘れられません(-_-;)