タイトルが判明致しました
私には愛すべきクソゲーがある。世間一般には酷評されているが何故か好きなのだ。攻略キャラが死んだはずなのにEDでひょっこり生き返る。主人公より親友ポジの女性と攻略キャラが良い雰囲気になったりする。おまけにその親友に攻略キャラが告白するイベントがあったりした。誰得なのだろうか?
続編が販売されて、急に主人公に目を向けてきた攻略キャラ…コロコロ性格が変わるのもクソゲーならではだ。だが私はこの愛すべきクソゲーが好きだ。サントラCDまで買った。音楽が半端なく格好いいのだ。戦闘シーンに流れるBGMが無駄に格好いい。そう…頑張るのはそこじゃない。恋愛イベント仕事しろ。
乙女の皆様宜しくお願いします。
「えっ?何だ…リーナ=ピュリーサ男爵令嬢?」
「どうしてここにいるの?」
「なになに?」
クラスメイト達のざわめきの起こる中、リーナは教室内に足早に入って来るとマリン=ステージアの前に立った。よく見るとリーナ…学園の制服を着てない?
「あんた…どういうつもりよ?」
「え~?何が?」
クスクス笑いながらリーナを見るマリン。これは新旧ヒロインの一騎打ちか?!
「続編の性悪女のくせにウゼーんだよっ!」
リーナが一段と口が悪くなっている気がするよ…。
「だって~私ぃ癒しの魔法が使えるし?必要とされちゃったんだもん。ミラジェール学園に来ないなんてないでしょう?だってヒロインだしね」
うわ~めっちゃ煽るね、マリン。
「あんたなんてお呼びじゃねーよ!続編でも不人気キャラじゃないか!」
リーナがそう言うと、マリンがムッとしたように反論した。
「何よ、キャラ人気投票で5位だったからって偉そうにしないでよっ!サエバートより上ってあり得なくない⁉」
うわ……今その情報聞きたくなかった。リーナのくせに、サエバート(攻略キャラ?)より人気あったんだ。サエバート、お疲れ…。
しかしさ~クソゲーにありがちなことしてるんじゃないかな?このポエゲー(略)
初動売上が良かったからなのかそれとも、最初から続編ありきで制作していたのかは分からないが、すーーーぐ追加版とか続編とか、頼んでも無いのに新キャラとか要らないイベントを追加で出してきたりするんだよね。
クソゲーにありがちな要らないのに余計なシステム&シナリオをわざわざ追加してくる、正にこれ。
ああ~このポエゲーでもやってそうだな~。追加キャラのイベントの方に明らか力が入ってて、古参キャラのイベントが薄ーーーくなってるパターンがあることなんだよねぇ。
もしや、この世界の『リーナの寒いポエムを聞くゲーム(仮)』は続編もしくは追加版の段階でクソゲーから更に転落して胸糞ゲーになっているのかもしれない。『マリンの煽りをぶつけられるゲーム(仮)』は攻略キャラはサエバートは確定だし、カッフェベルガ王太子殿下も確定…レイファもそうだったと記憶しているし…後は誰だ?
「あんたなんて、パレスイの中じゃ誰にも相手にされないわよっ!」
「旧作女はもう要らないよっ!私とカッフェのイベント黙って見てなよぉオバサン!」
ちょっとちょっと⁉情報がまたも大渋滞だよぉ?今、どさくさに紛れてこのポエゲーの正式名称?が叫ばれてなかったバレスイ?パレフイ?どっちだ?
それにそれにだね~カッフェとイベントォ?どういうことだよ?カッフェ殿下はイベントはもう起こしようがないと思われ…。
「あんたなんかっ!」
「何だよっババア!」
いきなりリーナとマリンの取っ組み合いの喧嘩が始まってしまった。女の子同士の殴り合いなのでそんなに迫力は無いが、周りのクラスメイト達は怒涛の展開と、彼女達の話している内容が分からない為だからか、飛び込んで制止するタイミングを完全に失っていた。
「何をしているんだ?何だ…え?」
次の授業の歴史の先生が教室に入って来たことで、レイファとサエバートの2人が我に返り、リーナとマリンの間に割って入った。
「何だよ性悪!あら…サ、サエバート」
「ウルセーババア!…ッレイファ……やだ」
恐ろしや…ヒロインの暴言にお育ちの良い子息令嬢方はドン引きですね。攻略キャラの前で今更取り繕っても遅いんじゃないかな…。
そして今頃警備のおじさん達とリーナの父親ピュリーサ男爵がやって来て、リーナを連行して行った。後で担任の先生に聞いた所によると、リーナの容態が落ち着いてるので、様子を見ながら復学させようか…ということで今日学園長の所に挨拶に来ていたらしい。
ところが、リーナはトイレに立ってすぐに行方不明になり…SS組に乗り込んで来たわけだった。
少しは大人しくしておけよ。学園側はリーナの病状が芳しくないことを理由にリーナ=ピュリーサ男爵令嬢を退学処分にすると発表した。
そして編入早々騒動を起こしたマリン=ステージアは停学2週間という処分が発表された。
そしてリヴィエラとカッフェベルガ王太子殿下の婚約発表の舞踏会の夜…。
何故だか、本当に何故だがマリン=ステージアが舞踏会の会場に来ていた。どういうこと?おまけにリーナ=ピュリーサ男爵令嬢も来ていた。まあこれは男爵令嬢だから出席しているんだろうけど…。
また舞踏会の会場で新旧ヒロインのバトル勃発か?
レイファもリーナとマリンの2人の会場に揃っていることに驚くと同時に警戒をしていた。まずはカッフェベルガ王太子殿下にご報告した後、近衛の渋いイケメン攻略対象(だったと思う)ジファー=リエイガ団長に報告に向かった。勿論、私も付いて行った。だって攻略対象?だと思う渋いイケメンを間近で観察してみたいじゃないか!
そして近衛の顔見知りのお兄様達と一緒にいるリエイガ近衛団長にレイファと2人でお声かけをした。
「なるほど、それは面倒なご令嬢方ですね」
くわーーーっ!渋いっ格好いい!リエイガ団長は絶対攻略対象だ。だって団長の声が超有名大御所声優さんなんだもん!団長さんの中の人の囁きCD持ってるんだよっ!良いお声で、おやすみとかおはよう、愛してるとか囁いてくれるんだよっ!
ハァハァハァ…。
「ミルマイア…疲れたのか?」
鼻息の荒い私のおかしな雰囲気を察したのか、レイファが気遣ってくれるがノープロブレムだっ!だってリエイガ団長の囁きボイスをもっと堪能したいからだ。
クソゲーは罪深き生き物(作品)だが中の人に罪は無い。
「団長、その問題を起こしそうなマリン=ステージア嬢の件で理由が分かりました」
近衛のお兄様が足早に団長に近付いて来た。
「どうやら癒しの魔法の術者ということで、特別招待を魔術師団長から受けているそうです」
魔術師団の団長ってサエバートのパパじゃない!余計なことをするおっさんだなっ。サエバートに似たひょろっとした細身のイケオジの姿を思い出してた。
「あ、ミルマイア、レイファ探してたんだよ。見たか?」
とそこへサエバートが小走りでやって来た。
「ちょっとぉサエバート!あんたのお父様が余計なことをしてくれたわねぇ」
「な、何が?え?」
レイファと私はサエバートを部屋の隅に連れて行った。そしてサエバートのパパがマリン=ステージアを舞踏会に招待してしまったことを告げた。
「ええっ?父上ってば…」
「取り敢えず、近衛騎士団からリーナもマリンも監視がついているし、フッシュハシラス師団長にもお伝えして…」
とレイファが言っている間に音楽が流れ始めて、舞踏会の始まりが告げられた。
「俺、父上捕まえて怒ってくるよ。それに警戒するように言って来る」
サエバートはそう言ってローブを被っている集団、魔術師団の団員が固まって立っている辺りに小走りで移動して行った。
「俺達も行こう」
やがて国王陛下とカッフェベルガ王太子殿下と殿下にエスコートされたリヴィエラが入場してきた。
リヴィエラ…綺麗。カッフェ殿下の瞳の色と同じ菫色のドレスを纏って…。時折カッフェ殿下と見詰め合ったりして…あっこっちに気が付いた!ウフフ目配せしてくれてる。私は何度もリヴィエラに頷き返した。
「ここに我が息子、カッフェベルガ=パレナシレイダとリヴィエラ=ムスタレント皇女殿下との婚姻を宣言する」
国王陛下の宣言の後、舞踏会会場内に歓声と拍手が沸き起こる。そして記念すべきファーストダンスはカッフェベルガ王太子殿下と婚約者のリヴィエラ皇女殿下だ。
2人が大広間の中央に歩み出たその時…それぞれ別方向から走り込んで来る二つの人影が視界に入った。
リーナとマリンだ!
「近衛!」
カッフェベルガ王太子殿下はすぐにそう叫んで、リヴィエラをご自身の背後に庇った。
リーナとマリンは飛び出してきたものの、近衛と魔術師団の団員に取り囲まれていた。
レイファがカッフェベルガ王太子殿下の横に走り出たので、私も一緒に走り出た。
「リヴィエラ皇女殿下…っ」
公の場なのでそう声を声を掛けながら、私がリヴィエラに近付くとリヴィエラは私に抱き付いてきた。
「カッフェベルガ王太子殿下にお聞きしていたの。もしかするとリーナ様とマリン=ステージアという学園生が舞踏会場内で狼藉を働くかもしれないって…」
「うん、そうか」
私はリヴィエラの肩を摩りながら、カッフェベルガ王太子殿下とレイファの背中越しに近衛のお兄様達に取り囲まれているリーナとマリンの2人を見た。
「ちょっと何なのよ!私はヒロインよっ!ここでカッフェとファーストダンスを踊るのは私じゃない!あんなライバル令嬢じゃないわよ!」
「はあぁぁ?それ無印のイベだし!パレナシレーダのスイーツ☆オカワリではそんなイベないでしょ?ここではマリンが転んでしまってカッフェが助け起こして夜空を見ながらお互いに一目惚れになるんだから!無印女は引っ込んでろよ!」
幸か不幸か、リーナとマリンのお陰?でこのポエムゲーのタイトル名が判明を…いえ、思い出しました。
リーナが主人公の一作目は(無印)『パレナシレーダのスイーツ~愛の一口~』で、マリンが主人公の二作目(続編)は『パレナシレーダのスイーツ☆オカワリ』というタイトル名だった。
タイトルもダセェな~とプレイしながら思っていたのを今、克明に思い出している。因みにスイーツとついているタイトル名なのでお菓子のイベントが多いの?とか、主人公の魅了や女子力のステイタスを上げるイベントなどに菓子作りの作業イベントがシステムとしてあるのか!……と期待させておいて実は何も無いのだ。所謂、タイトル詐欺だ。
この、タイトルに含みを持たせておいてスルーする辺りがクソゲーがクソゲーっぷりを極めてしまう原因だろう。
リーナとマリンは近衛のお兄様達に抑え込まれながら、魔術師団の団員に魔力制御の手錠をかけられていた。そう…主人公達は無駄に高魔力保持者なのだ。ぶっちゃけその魔力値の高さを発揮するイベントも無かったのではないかと推察される。クソゲーにありがちな無駄なモリモリチート設定の可能性があるからだ。
「ふざけんな!離せっ!カッフェーー私よっリーナよ!」
リーナとそして哀れなピュリーサ男爵が近衛のお兄様達に連行されて行った。そしてマリン=ステージアも連れて行かれようとしたが、何故かキョロキョロし出して、私と目が合った途端
「ミルマイアァ!レイファ!私を助けてぇ!」
と叫んだ。叫びやがりました。何故ここで私達を名指しするのかな?何でほぼ初対面の私達があんたを助けなきゃならんのよ?
「何だと…っ!」
私の横でレイファがメラッと魔力を上げた。そりゃイライラするよ。カッフェ殿下がレイファと私達の前に立った。おお……魔力が、殿下の魔力も怒っておられるようだ。
「公子と公女に何たる不敬な者だ!癒しの術師の資格を有する者でも看過できない。極刑も覚悟をしろ」
カッフェ殿下は相当お怒りのようだ。晴れの舞台リヴィエラとの婚約発表の場を邪魔されて滅茶苦茶にされて…怒って当然だし、極刑も当然だ。
ゲームじゃあるまいし、この世界では当たり前だよ?
ここに来てシナリオ通りには進んでいないことを主人公達はやっと気が付いたに違いない。
マリン=ステージアは近衛のお兄様に槍で肩を打たれて悲鳴を上げた。その目は涙が溢れているが可哀相だとは思わない。だってね、マリンだってこの世界で16年生きてきたはずだ。この世界がゲームの中ではあるけれど独立したパラレルワールドだと、絶対気が付いているはずだ。分かっているはずだ。
だって16年毎日毎日時間が過ぎるもんね。数秒で一日は終わらない。ゲームのキャラはゲームの中で血肉を得て生きているのだから…。
○○発売します!→楽しみだ→キャラデザ素敵→一年経過→まだ発売しないのかな?→2年経過→………。
今はアプリのゲームが主流ですよね^^昔はパソゲやプ〇〇〇さんや〇〇堂さんでもソフト出ていたのですが、今どうなんでしょうね。調べたいけどクソゲーハンターの血が騒ぐので自重しています。