属性キャラ
全ての攻略キャラのシナリオを終え、フルコンプしたはずなのに、スチルが一枚足りない?コンプリート率98%のまま、『はじめから』で再攻略しても分からなくて泣く泣く放置された乙女の皆様宜しくお願いします。
誤字修正しています
リーナが出現してから、リーナの寒~い台詞を聞きたくなくて、ついついリーナが近づいて来たらさりげなく場所を移動し…ポエムを聞かないようにしていたら、リーナが編入して来た最初の週末…
授業も終わり、さあ帰ろうか~と教室を出た所で肩を掴まれて、誰かに隣の空き教室に連れ込まれた。
肩を掴んだのはレイファだった。
「どうしたの?レイファ」
レイファは私の肩を掴むと壁ドンならぬ、ドアドンをしている。
「ミルマイアお前、最近何だよ。俺を避けて…」
「あ~レイファを避けてるわけじゃないのよ?」
寒いポエムを避けてるだけで…。
「ホントだな?俺を避けてるんじゃないんだな?じゃあ何で側にいない?」
側にいないって言われてもなぁ…。隙あらばリーナが近づいて来るしな〜。
「もしかして…お前誰か、嘘だろ…」
レイファが何かゴニョゴニョ言っているな、と思ったその時、廊下からリーナの声が聞こえてきた。
「レイファ〜?どこなの?放課後はクレープ屋さんに寄ってお互いのクレープ食べ合うイベ…食べあいっこしたいなあ〜!ねえ?どこ〜?」
なるほど、レイファと放課後イベント…恐らくスチル付きイベントを本日起こしたいのかな?レイファ登場時に最初のスチル『レイファと舞踏会(仮)』をゲット、そしてリーナが編入して来て『レイファと偶然の出会い(仮)』レイファスチル三枚目辺りで出てくるのが『レイファと放課後デート(仮)』が今日かな?
…っち!ああ〜無駄に恋愛シミュレーションゲーばっかりプレイしてるから、ついスチルが~とかそんなことばかり考えてしまう。
「あ~!ここね!」
と、リーナの声がドアドンのすぐ側の廊下から聞こえてきた。ヤバい!と思った時にはリーナがドアを開けていた。
しかしドアが開いたその瞬間、私とレイファの周りを魔力が包み込み…障壁が張られた。
「レイファみーつけ…アレ?」
私はレイファとレイファが張った高位魔術の障壁の中にいた。リーナは私達の居る方を見ているのに、見えていないみたいに首を捻りながら教室に入って来た。
「大丈夫だ、障壁で外からは俺達が認識出来ない」
レイファはそう説明しながら何故だか、私の方へ倒れ込んできた。慌ててレイファの体を支えた。
ふぁ〜!レイファってさ、舞踏会とかで体を寄せ合うこともあるから多少の肉付きとか気が付いてはいたけれど…結構、私好みのマッチョなのよ。しかし重い…。
「俺を避けてる理由って何だよ?」
「だからレイファを避けてる訳じゃないって~あのリーナって子が…苦手なの」
レイファは顔を上げた。結構な至近距離で美麗な顔がある。
「それだけか?」
「それだけよ?」
「んだよ、だったら、もう……待ってないで…」
何かブツブツと言いながらレイファは俯いた。
そしてリーナは暫く教室の中をウロウロしていたが、レイファの名前を呼びながら小走りに外へと出て行った。足音が徐々に遠ざかって行く…。
レイファと2人、遠ざかるまで息を詰めてしまう。それにしてもレイファの顔が……近い!
レイファは遠ざかった音を確認した後、自分のおでこを私の首筋にぐりぐりと押し付けると大きな溜め息をついた。
「もういないよな…てかこの魔法、魔力喰うんだわ…疲れた」
私達の周りの術を解術して、レイファは床に座り込んだ。
「大丈夫?」
「…キスしてくれたら治る」
「なぁ?!」
何故だかレイファは、そのままゆっくりと顔を近付けてきた!今ぁ私の顔は…た、多分ひょっとこみたいな顔になっていたと思うー!ひょっとこが何か分からない人はググレ!
近付いて来るレイファの顔に慌てて目を閉じた。ふにっ…柔らかい感触が唇に当たる。
リップ音が何度も聞こえる。
「っふぁ…っ」
「ミルマイア…ミルマイア、口開けて…」
「んぐっ…ふ…」
ふわぁぁぁ?舌?レイファの舌が私の口内にぃぃ?!唾液がっ…。
「…っ飲んで」
簡単に言うな!飲み込めず零れた唾液が頬を伝っているけど、レイファが舌で舐めている?!もうどうするんだ、これぇぇ。
「ミルマイア…もう…」
何だよ?何だよぉぉ?ちょっとっ胸触ってるのかぁ?ひいぃぃぃ?!
流石に学校だしヤバいと思って大きめの声でレイファの背中を叩きながら
「レイファ…っん…落ち着いてぇ…ここ学校…ちょっ、学校っ!」
そう叫んでいるとやっとレイファは胸を触る手を降ろした。まだ目はギラギラしているみたいだけど。
「落ち着いた?」
「うん……ごめん。でも、おれ本気だから!こういうことももっともっと沢山したい。ずっとずっとずっとずっとミルマイアに触れるのを我慢してきた。俺以外に触れた男は抹殺してきた。ミルマイアに初めて会った時から15年6ヵ月、俺にはミルマイアだけだ。他に何もいらない。もう遠慮はしないからミルマイアが逃げたって地の果てまで追いかけるし一生俺だけのものだ」
おおぃいいいい!それヤンデレ!縦から見ても横から見ても立派なヤンデレ様だから!思わず聞き逃しそうだったけれど、不穏なワードも叫んじゃってるから!
こりゃしまったぁ…レイファはヤンデレキャラだったのか?ああっ攻略本かキャラブックが見たい!レイファの性癖は?ヤンデレスイッチが入る言葉は何だ?このポエムクソゲーめっ!こんな状態の私をなおも苛立たせるのか?!
ヤンデレイファ様は、何故だかハァハァ言っている、興奮し過ぎて過呼吸か?レイファの背中をトントンと叩く。
「うん、分かったから取り敢えず帰ろうよ」
レイファは私にぴったりと体を押し付けながら立ち上がった。
「しかしあの女マジウザいよな…」
あの女…リーナのことだろうか。初対面のレイファを呼び捨てにするし、ストーカーするしやりたい放題だが…リーナと私達の周りを見ていて感じたことがある。
この世界は恋愛シミュレーションゲーム『リーナの寒いポエムを聞くゲーム(仮)』の中だが、主人公補正やゲームの強制力は存在しないのではないか?と思ったのだ。リーナが常識外れな行動をしていることを周りの皆は分かっているし、当然そんなリーナを見る目は冷ややかだ。リーナに同性の友達はいない。逆ハーになって男子に囲まれていることもない。
狙われた?レイファがリーナの存在を無視しているから周りも騒ぎ立てていないだけで、もしレイファがリーナを糾弾し始めたら、周りはそれに追随するはずだ。
レイファはそれだけこの学園で発言力と支配力がある存在だ。
「レイファ…手荒なことは駄目だよ」
私に体を密着させて歩くレイファの右肩を撫でた。レイファは大きく息を吐いた。
「分かってる。ミルマイアが権力振りかざしたりするのを嫌ってるって…」
是非そうしてくれぃ。抹殺とかされたら寝覚めが悪くて仕方ないよ…。
レイファは私の手を取ると、手を恋人繋ぎにしながら校舎の外に出た。ちょっと待てよ、夕日をバックに恋人繋ぎ…スチル名は『レイファと手繋ぎ下校(仮)』と名称がついて、ゲーム内アルバム(思い出)に保存されるシチュじゃないかな?スチルゲットだぜ!
しかしよく考えれば
いつの間にか私の方が、恋愛イベントっぽい『レイファと初キス(仮)』を経験し主人公を差し置いて順調にレイファを攻略している気がしてきた。
しかもレイファの場合は、このクソゲーの真骨頂の出会った瞬間から好感度MAX状態で10年以上私を思い続けてくれているらしい、重量級の重い愛を抱えている。
でもそれは普通は主人公に向けるんじゃないかな?レイファには言えないけど…。
夕日を浴びながらヤンデレイファと学園を出た。リーナに校門付近でも遭遇しなかったところをみると、もしかしたらクレープ屋の近くでレイファが現れるかも?と張り込みでもしているのかもしれない。
学園を出て歩きながら世間話をしているとレイファが聞いてきた。
「あ~なあ、今年の聖ワリアーナ祭も、もうすぐだよな?行くよな?」
聖ワリアーナ祭とは…精霊王の手によって引き離された、火の精霊と水の精霊の恋人同士が一年に一度、愛を確かめ合うことの出来る日、つまり祝日だ。
まんま七夕祭りの織姫と彦星じゃないかーー!…と子供の時から思ってたけど、これがゲームの中なら当然か。
おや待てよ。数々の乙女向け恋愛シミュレーションゲームをプレイしてきた私の経験則から…この聖ワリアーナ祭は恋愛イベントが第一段階から第二段階にUPする為に必要な重要な恋愛イベントではないか?
もっと言うならば、確か聖ワリアーナ祭の当日は国の各所で打ち上げ花火が上がるはず。
これアレだ、『レイファと花火(仮)』のイベントスチルを手に入れることが出来るのじゃないか?憶えてないけど経験則から察するにそうだと思われる。
「ミルマイア…一緒に行くだろ?聖ワリアーナ祭」
「あ、うん勿論!毎年一緒に行ってるじゃない」
幼馴染だし、毎年連れ立って聖ワリアーナ祭に出かけていたから私的には毎年恒例だけど、リーナはこの恋愛イベントを狙ってくるよねぇ?ああ、レイファじゃないけどウザいな…。
そのヤンデレイファの行動は素早かった。
次の日にお父様から
「レイファ=ヴィッツハンバー公爵子息から正式に婚姻の打診が届いたのだが…お前達今更こんなものが必要なのか?」
と怪訝な顔で聞かれてしまった。何て言い方だーお父様!おまけにそれを聞きつけた兄に
「お前ら今更だろう?どうせ学園を卒業したら夫婦なのに、どうしたの?」
と長兄のファセリガードにまたも怪訝な顔をされた。おまけに姉のエリアマイナに
「今更婚約だなんて…もしかして婚前交渉しちゃったの?!そんなふしだらなのは駄目よ!レイファを呼びなさい!」
と怒られる始末だった。姉様、レイファは無実です。キスや胸タッチくらいならふしだらにギリ入らない範囲だと思います。
しかしいつの間にレイファと私はすでに許嫁のような扱いだったのだ?母がコソッと教えてくれた。
「レイファ公子はうちに遊びに来る度にあなたにべったりだったじゃない。もちろん公爵閣下も大賛成だったし…今更婚約打診しなくても皆知っているのにねぇ?」
いや、その皆に私は含まれていませんよ…お母様。当事者置いてけぼりってどういうことなの?
その婚約打診から二日後
ヴィッツハンバー公爵家とシュトローエンテ侯爵家の茶会の席が設けられた。一応婚約の顔合わせだけど、皆は普通の茶会みたいな感じだった。
おまけにレイファのパパ(王弟殿下)が
「ミルちゃん、レイはねちっこい男だろう?苦労かけるけど末永く宜しくね」
と会うなり言ってきたのだ。パパさん息子がねちっこい性格なの知ってたんだ…。
おまけにエリアマイナ姉様が婚前交渉云々…と皆の前で言い出したので、無実のレイファが弄られていた。無実なのに、両家の親からは節度を持って…とニヤニヤしながら諭されていた。後で誤解だと分かってもらえたけれど、恥ずかしかった。ギリギリセーフな接触はしていたので…ね。
しかしまあ、今更レイファとの距離感とか会話とか劇的に変わる訳では無い。一応正式に婚約者になった訳だがいつもと一緒だ。人目の無い所ではねちっこいレイファにはなるけどね。
いつもの学園生活の中で『婚約者』と『恋人』という立場が加わったのだけれど、相変わらずの友達同士でつるんで遊ぶのもいつも通りだった。
一応シエナとリヴィエラには朝一、登校してすぐにレイファと正式に婚約したことを報告した。
「まあ!やっとなの?」
何その反応?リヴィエラさん?
「か~っレイファの長ーーい片思いがやっと実ったね」
何で知っているの?シエナ?
やっぱり知らなかったのは私だけだったようだ。どうやら私は相当鈍いようだ…。
担任の先生が入ってきて朝のホームルームが始まった時に林間学校の説明があった。林間学校かあ〜トレッキングや野営体験などもあって、あ………林間学校の案内を見ていて気が付いた。
夜に肝試し大会があるよ。すげー西洋っぽい学園なのに、THE肝試し。シナリオに和のテイストを感じるね。
あれ?じゃあもしかしたら『レイファと肝試し(仮)』のスチルイベントもあるのかな?今はリヴィエラ達が「一緒の班になろうね~!」とか言ってるから、班別けでリーナが割り込んでくることはなさそうだけど…。
しかし果てしなく嫌な予感がする。
ホームルームが終わり、一時限目担当の先生が来る前にリーナが凄い勢いでレイファの前に走り込んで来た。
やっぱり!来た来たきたー!
「レイファァァ!私も同じ班に入っ…」
「俺達の班は定員になっている。他を当たれ」
確か班は6人編成だ。私、レイファ、リヴィエラ、シエラ、サエバート…後は誰?
「カッフェベルガ殿下だ」
カッフェベルガ王太子殿下…この国の王位継承権第一位の正真正銘の王子様だ。あれ?そう言えば…
「4月からあまり学園でお姿を拝見してなかったよね?」
「ああ、ご公務が忙しかったそうだ。元々殿下方は学園に在籍はされているが、自動的に進級して卒業出来る待遇だからな。少し空き時間が出来たので、林間学校に参加されるそうだ。だから俺達の班に決定」
レイファの言葉に皆が納得して頷いたが、某リーナだけが納得いかないようだ。
「そ…そんなことおかしいわよ?!林間学校で肝試しでスチルが…!」
やっぱり…スチル付イベントが発生か。だがしかし、常識を見よリーナよ。ここは確かにあなたや私がプレイしたゲームの中かもしれない、でも私達はここで生きている。
ゲームの中では数秒で過ぎる時間が24時間分存在して過ぎて行くのだ。レイファと仲良くなりたいなら本当の友人関係から始めなくちゃいけない。出会ってすぐ恋人になるなんて、あのクソゲーのようなバグのような恋愛はありはしないのだ。
「他を当たれ。」
レイファは素っ気無くリーナに言い放った。そして
「もうすぐカッフェ殿下来るはずなんだけど…」
とサエバートに話しかけている。これはリーナの存在を徹底的に無視するつもりだね。リーナは物凄い形相で私を見た。
「あんたがこの班を出なさいよ!ライバルのくせに邪魔よっ!」
と言ってしまった…。あ~あリーナなら言うんじゃないかな?というのは想定内だけど、言っちゃったか。
教室内がリーナの発言にざわついた。リーナ、いい加減気が付いてよ?今の発言でクラスはあなたを頭のおかしい不敬で常識の無い女子だと認識しちゃったと思うよ?
その後すぐ、教科担当の先生が来たのでリーナは自分の席に戻って行ったが、クラスメイトのリーナを見る目が嘲笑の眼差しに溢れている。コソコソ陰口っぽいものを囁かれている。
面倒くさいなぁ、林間学校が色んな意味で心配だなぁ…。
浦は俺様キャラと眼鏡キャラが好きです。要らない情報ですね(^^;すみません…。