プロローグ・寵姫ユーネリアの現状
不定期更新です。
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ユーネリアはこの国の王のただ一人の側室だ。
広い後宮にはいくつもの棟が存在しているが、現在はユーネリアの住まう棟のみに主が居る。
それでもユーネリアが後宮に納められた時には、他に3人の側室が居たらしいが、なにやら王の不興を買ったらしく、相継いで後宮を辞して行ったと聞いている。
王妃もまだいない王の後宮では、ただ一人の側室であるユーネリアが後宮の主となる。
またただ一人の『王の妻』であるが故に、王はユーネリアの元に足繁く通う。
立場上抱ける女が限られるまだ26歳とまだ若い王が、唯一の妻に通い詰めるのは自然な事と思われた。
だがほぼ毎日の様にユーネリアの元に通う王の様子を見れば、寵愛しているしていると認識する者達が、少なからずいることは当然で、その為ユーネリアは『王の寵姫』と認識されていた。
ユーネリアの1日は大体同じパターンに固定されている。
朝は遅く起きるが、これは寵姫であれば無理からぬ事で、後宮に納められる前の彼女なら有り得ない事である。
とりあえず起きたら朝食を取ると、家庭教師による勉強の時間がやって来る。
王の『妃』として必要な知識や技術を身に付ける事も、大事な側室の仕事であると聞いている。
何でも外国からの賓客をもてなす時に、王妃の代理で側室が王の『妻』として侍る事が有るので、いざという時になって「出来ない!!」何て事は許されないらしい・・・。
幸いユーネリアは学ぶ事に飢えていたので、「タダで勉強出来る、ラッキー!」 と積極的に学び、師事していた教師達に教科を問わず質問責めにした。
午後は基本自由時間である。
日によって来客が有ることも有るが、穏やかに自分のしたい事をして過ごした。
趣味もこの時間帯にして、「公務」に響かせる事は決して無かった。
夜は言わずもがなである。
夕食を摂り湯浴みを済ませて、侍女の用意した夜着に身を包むと、寝所に有る立派な寝台で王を待つ。
大抵は昼間の通達通り王の渡りが有り、ユーネリアは王の寝所に侍る。
これが『寵姫ユーネリア』の1日であった。