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日常VR生活!  作者: 秋白眼
闘技交流会!
92/219

大番狂わせっ! 火フィールド②

「MPが無いってどういうことなの?」


出発してから直ぐの移動中。さっきのアリッサの言葉が気になって聞いてしまう。


「スキル《戦鬼》の効果がMPをHPに変換して、STRをLv×30プラスする効果なのよ。おかげでいつも通り前衛型よ。そろそろ脳筋キャラから脱したいんだけど・・・いつになったら魔法少女が出来るのかしらね」


だから、MPが無いんだね・・・じゃあ普通の魔法が使えないって事か。魔法少女は出来そうに無い、ね。


「アリッサは魔法少女って柄じゃないでしょー? 出来るのー? キュアキュアルーンブラスター」


「無理ね」


「諦め早っ!・・・そんなに魔法少女やりたいなら今度ファンタジー系のTRPGやる?」


「そうね・・・今度本気マジのオフ会でもやってみましょ? 割と個人情報話しまくってるから同い年っていうのはお互い分かってるでしょ?」


個人情報・・・といってもガッツリ住所とかを言ってる訳じゃない。雑談の中で駅の名前が出たり、近所にしかないお店の名前とかがポロポロ出たりする。その結果。割と知り合ってから間もなく、最低でも駅一つ分位の範囲に住んでる事が個人的に分かった。


「うん。しかもみんな意外と近いよね?」


「世界は狭いわよね〜・・・行くとして、何処がいいと思う?」


「んー・・・ガンテツが浮かない場所が良いよね。高校生に囲まれても浮かない場所」


「無くない? あの姿でこのゲームやってるって事は少なくとも体型はあれよ」


「ごっりごりの男って感じだったもんね。ガンテツが言うには若いって話だから・・・ゲームセンターとか?」


職業は何やってるのかは分からないけど、会社員・・・?


「あの姿の人いたら近寄りづらいわね・・・」


「まぁガンテツは良いとして・・・ノノも怪しいかな」


「中学生だっけ。・・・お姉さんが居る、みたいな話してたし、保護者代わりに着いてきてもらうとか?」


「近所なら中学生でも大丈夫だとは思うけどね。まぁノノが黙って来るなんてしないと思うし、判断は任せよ〜・・・とはいえ、そのオフ会が実現するのは来年度になるかな〜」


「あれ、次の水曜日はセッションやらないの?」


「その日はわたしとリョウ、ベルが修学旅行中なんだよー。二泊三日〜」


気付いたらもう旅行まで少ししか無い。隔週水曜日位で、たまに時間が合えば他の日も。って感じでセッションしてたけど次は残念ながら、と。


「そうなの!?」


「うん。だから今週は無しかな。次みんなでやるのは三月辺りかな」


「そっか、修学旅行か・・・? あ。あたしも修学旅行だった」


「そういうの忘れるもんなの?」


イベントって楽しみで忘れる事無いと思ってたよ。


「あまり乗り気じゃないのよね・・・北海道に行くって話だし・・・この時期めっちゃ寒いじゃない!」


おおぅ・・・。まぁ確かに。昨日調べた時はマイナスいってたね。ちゃんと防寒できる服にしないとね。


「仕方ないよね、北だもん。今暑いから冬が恋しい」


「まだ冬よ・・・」


「因みにわたし達も北海道だよ! 会えるといいね〜」


「会っても分からないと思うわよ?」


「それはどうかな。今のアリッサやハルに似てる人がいたらそうだな・・・ナンパしちゃおう」


「ふっ、じゃあナンパされるの期待しようかしらね」


「あー鼻で笑ったな〜? わたしの運と索敵能力を舐めちゃダメだよ?」


「はいはい。よし・・・もう山頂よ」


なん、だとぅ。

いつの間にか登りきっていたよ。うん。周りを見渡せば一面雲海で・・・火口の淵は切り立った崖のようになっている。そして火口の内側は広いフィールドの様になっていて中央には複数の人影が見える。煙が上がったり、色んな色の光がチラチラ見え、戦闘中の様に見える。


「あれ、戦闘中かしら?」


「多分ね・・・ここ、本当に火口なんだよね?」


「当たり前でしょ。この茹だるどころか居るだけで火傷しそうな場所が火口よ。風魔法でもあれば、ある程度熱気をコントロールできるのに・・・」


「わたしもうこれ以上近付けないよー・・・熱すぎてここに立つだけでもキツい・・・。リプカ、プラミアお願いするね」


《はいはーい!》

《心得た》


───《焔騎士 Ver.イグニス》


熱さに耐える為に《霊装》を使えば、イノセントの装備ごと変換される。これはちょっとした発見だね!


「ふぅん・・・こうなるのか〜。アリッサはこの熱さ大丈夫?」


僕の方は大分マシになったけど、あの熱さはキツかった。素の状態で来てるアリッサを気にかければ・・・


「問題ないわ。───《ブラッドアーマー》」


服の下から赤黒い液体が流れ、見える部分、腕や足、首元などが覆われていく。


「これ、中々便利なのよ。暑かろうが寒かろうが快適でねー。雨にも濡れないで済むから重宝してるのよ」


「顔は熱くないの?」


「勿論顔も覆うわよ。だけど、アスカは少し心の準備が必要なんじゃないかしら」


「なんで?」


「だって・・・ホラー苦手でしょう?」


「え゛」


それは、どういういみなのどうなのこころのじゅんびのなんでえ? ちょ、落ち着いて・・・ふぅ・・・


・・・目の前で、どんどん覆われていくアリッサの顔。口、鼻、目、額・・・髪の一本一本まで細かく血で覆う。

お世辞にも綺麗に覆われているとは言えない。まるで塗りたくったペンキが固まったように覆われている顔面は言い知れぬ不安を感じさせる。というか、既に怖い。


ゴクリ・・・




「ふふ、まぁ特にホラー要素は無いんだけど、ね」


覆われた部分の色が徐々に抜けて・・・完全に透明になる。・・・・・・。


「・・・・・・行こ」


「・・・えっと。それはどういう感情?」


「笑えない冗談と割と怖かったからもう、忘れようと思って。」


「ご、ごめんね?」


「・・・ん。許す・・・けど、あまり脅かそうとしないでよね。僕はホラー嫌いだって明言してるのにみんなからかって・・・むぅ」


「あーあー、ごめんってばぁ! あたしが悪かったわよ!」


「むぅー・・・いいよ。もう、とりあえず近くにいこ? 火口内の戦闘をどうやってるのか気になる」


「はぁ・・・そうね。その姿で移動は出来るの?」


「んー。やった事ないけど出来ると思う」


「そ。じゃあ先に行ってるわよ?」


「あーい」


翼を再び広げて飛んでいくアリッサを見送り、斧の先端を地面につけて、しっかりと柄を握り魔力で斧の先端を円筒状に囲み、ちゃんと方向を指定して炎を出せるようにする。


「よいしょ・・・リプカ、プラミア。行くよ」

《おっけー》

《あぁ。準備は出来てる》


「・・・スリーツーワン。GO!」


火口に向かって、飛び降りて斧を斜め下に構え、炎を一気に噴出させる。重さでかなりの速度で落下してたから、一気に重力がかかり解放されたと同時にこれ以上無いほどの速度で中央上まで運ばれる。


「この姿じゃなかったら腕ちぎれてたかも・・・」


少し後悔しながらも、着地点を見据えて出力を操作して飛んでいく。


ツヴァイが使えればいいんだけど、この熱さを耐えるにはこの移動しか出来ない。というか・・・どうやってそこのPTは降りてきたんだろ・・・もしかして他にも道ある?


「何よそれ、アンタ本当に規格外ね・・・」


いつの間にか通り過ぎてたみたいで、後ろからアリッサが話し掛けてくる。


「ん。アリッサ〜中々スリル満点だよこの移動!」


「楽しそうでなにより。戦闘の邪魔しないように少し離れた場所で降りるわよ?」


「らじゃー。んじゃ、さっさと降りよっか」


魔力を止めて、自由落下に切り替える。

普段の服だったら、バッサバッサするだろうけど、今はビキニアーマー。バサバサする要素は皆無なのだ! 嘘です、外套バッサバサです。


どんどん地面が近付いてきて、着地の準備をする為に斧を構える。タイミングを合わせて魔力を流し、速度を落とそうとしたその瞬間。


───グルルァァ!!


細身だが凶悪な牙が並ぶその口を開き、僕を捕食せんとばかりに突撃してくる・・・竜。


突然、迫る牙を避けることは・・・


「《ハードスタンプ》」


爆ぜる音を聞いた。遅れて聞こえたその音は遥か上空からで、その軌跡は淡い黄色。目を見開き硬直していた僕の目の前に迫っていた筈の竜は視界から消え、代わりに吹き荒ぶ暴風に煽られ、体勢を崩す。


揺れる視界に砕け散る竜と一足先に着地してるアリッサの姿。


「体勢維持・・・っ!」


驚いてる場合じゃない。このまま落下死したら折角助かった意味が無い。


「リプカ、プラミア! お願い!」


《プラミア、行くよ》

《いつでも来い》


半ば爆発させるように斧を使い、体勢を、落下の勢いを整えていく。そして斧は、大剣と大盾へと変化する。


「《ヴァリアブルアーマー》を解除・・・!」


リプカ達の方で解除が出来るの!? でもこれなら両手で舵を取れる! 大剣と大盾を強く握りしめ・・・


《主様、続けて魔法を行使するぞ。《ブレイズフェザー》》


《僕も行くよ! 《ブレイズフェザー》》


───《バーストウィング》


小さい炎の鳥が二匹。胸に飛び込んできて、体内へと取り込まれる。

火傷しそうな程、体内で広がる熱い魔力が背中に集まり・・・解放される。


「っ!」


一気に解放されたそこにあった物は、翼。

ツヴァイじゃない・・・炎の翼。


《これなら飛べるよね!》

《《ブレイズフェザー》は我ら火属性精霊専用の魔法・・・これを二つリンクさせると《バーストウィング》になり空を飛べるようになるのだ。異界人には出来ないらしいぞ?》


「へぇ・・・」


専用魔法ね。いい響き! 異界人・・・プレイヤーには出来ないってことは、NPC専用って事か。何にせよありがたい。

翼を動かし、ゆっくり降りていく。


着地して、翼を消してもらってからアリッサの元へ向かう。


「アスカ、大丈夫?」


「うん、おかげさまで。今のは何だったの?」


竜なのはわかったんだけど、種類は分からなかった。当然この世界の竜なんか見たことないからね。一日目のあれは・・・ノーカン。


「火属性のワイバーンね。なんでこんな所にいるかは分からないけど・・・もう戦闘は終わったみたいね」


そう言われて戦闘をしてた場所を見れば、誰もいない。


「え。・・・あー、ホントだ。見たかったんだけどなー・・・フレンの勇姿!」


フレンはどこに行ったんだろ? んー・・・


「ブレないわね・・・。ほら、会いにいくわよ」


「りょー」


ゴポゴポと溶岩の音が聞こえる、この広場を歩いていく。目指すは目の前に見える一匹のワイバーン。

周りをみてフレンが見えないなら、ワイバーンに隠れてるとしか思えない。

今回も楽しんで頂ければ幸いっ!



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