チュートリアル②
二行程度の風景描写(らしきもの)があります。
もっと伝わるように書きたいのですが.....精進します。
スキルなどについて説明があり、少し長いかも知れません。
少し歩いていくと風が吹いてびしょ濡れだった全身が乾いていく。
ここに麦わら帽子があれば、夏を題材に少女の一枚絵が完成するのにね。背景洞窟だけど。
なんて、変な事を思っている内に外へと出れたみたい。んん...眩しい。さっきまで薄暗かったからね。さてさて外はどんな......景色?
広がる草原と澄み渡る青い空が目に入る。
頬を風が撫で、草葉を揺れ音を鳴らす。
遠くには何頭か馬が掛けていく様子が見えて、空には大きい鳥が飛んでいるのが見える。
「凄い......」
思わず呟いてしまった。
日本にはまず無いと思わせるその景色だけでもこのゲームを始めた甲斐が有る。そう言ってもいい!
暫く景色を眺めていれば、視界の隅に陣取るチュートリアルの文字が点滅する。
中々に雰囲気ぶれいか~な文字だね? まぁいいんだけど。
今度は何をするのかなー
「戦闘してみよう?」
戦闘かー......遂に秘められし我が剣術が......いたた。
って剣なんか持ってないからね。そんな大層なものじゃないけど、護身術程度で大丈夫かな? それより何を相手に......?
「ぎぃ!」
突然、目の前に魔法陣のような物が出現し、瞬く間に緑色の肌をした小人さんが召喚される。これは、もしやゴブリンというやつでは!? 腰布一枚に棍棒振り回してるけど、敵認定確実ですね。
「ぎぃぎぎ!!」
やけに嬉々として走り寄って棍棒を振り下ろしてくるゴブリン。
「ぎっぎ!?」
敵に慈悲はない。棍棒を軽く避け、攻撃を外したことで勢いあまって体制を崩したゴブリンの足を払い、倒れたゴブリンの足を力いっぱい踏み抜く。肉と骨の潰れ砕ける感触が靴の裏から伝わってくる......うわぁ......
「感触がリアル......次回からは、やらない様にしよう」
新たにどうでもいい事を誓うわたしは、痛みで騒がしく暴れてるゴブリンの腕を蹴り砕き、棍棒を頂戴する。そしてそのまま棍棒を頭に振り下ろし止めを刺す。叩きつけた場所から赤いエフェクトが弾け、ゴブリンの頭上に表示されるHPバーが赤から黒に染まる。そしてゴブリンは青い砂嵐のようなエフェクトに包まれ砕け散る。
戦闘を済ませてから、少し後悔。
「戦闘のチュートリアルだけど、こんな感じでいいのかな? 何か可哀想な気もするし......」
......まぁいいや。チュートリアルの文字が点滅してるし、行動自体は間違ってないみたい。
「ええと、スキルを使ってみよう......か」
今使えるのはアクティブ系スキル【無属性魔法】
パッシブ系スキル【トリックスター】【無属性の心得】? あ、種族スキルもあったね。
【無属性魔法】は文字通り、魔法を扱う為のアクティブ系スキル。SLv.1で覚える魔法......AAは《ランス》。槍状の魔法を放つアーツで、形はある程度自由に変えられるみたい。説明では一定のレベルで新たな魔法を覚える......って書いてあるね。
ということは魔法を使って戦闘すれば新しい魔法を覚えられる......と。
それも大事だけど、無属性について説明が欲しいんだけど......書いてないんだよね。むむぅ......自分で調べろって事ね?
次に【トリックスター】はパッシブ系スキル。
ステータスアップや、剣技、魔法のように行動で起こす以外のアーツを覚える。
僅かながらAAも覚えるみたい。
【トリックスター】は主にAGIとDEXを中心にstアップ系のPAを覚える。近接系、それもAGI職に必要なタイプのスキル。AGIもDEXもわたしにとってはかなり有用な物だし有難い。けど精霊が持ってるのは何か違う気がする。
次もパッシブ系スキルの【無属性の心得】。
こっちはINT向上とMP増加が習得出来る。
最後に【属性精霊】は種族スキル。
覚えてるアーツは《精霊の理》
だいぶ大げさな言葉だけど、要は精霊なら持ってて当然でしょ? という意味。効果は魔法を放つ際の詠唱破棄。
PAで尚且つ、OFF設定も出来ないから強制的に発動するんだけど......消費MPが三倍になる。確か《ランス》は一回でMPを20消費する筈。ということは、消費MPが60になる。
それで......今のMPは281。
最大四回程度しか魔法が使えない。
中々燃費が悪い上に、これは前述の通り“強制的”に発動してるから、四回確定です。はい。思わずため息が出ちゃう。精霊って大変だ......。
とまぁ、各スキルについて理解を深めた所で早速魔法を使ってみる事に。えっと、何か的になるものは.....あった。しかも目の前に立つそれは......
「何処からどう見ても案山子だよね?」
案山子。畑に立つカラスよけ、その物。
地味にリアリティに作ってあるのが少し気になるけど、まぁいい。これなら遠慮なく放てる。
「ふむふむ......魔法を使う際にはイメージが大事。鮮明にイメージが作れれば、その分威力向上に繋がる......と。イメージ......イメージねぇ」
槍といえば? と言われても色んなものがある。
直槍、十文字槍、菊池槍というよく見るタイプの槍。
ゲイボルグ 、グングニル、ロンギヌスの槍等の神話で出てくる様な物も。
まぁ、普通はここら辺を選ぶんだと思うんだけど、わたし......複合武器が好きなんだよね! しかも、イメージの補完用なのか名称を槍系ならどんな名前にも変えて発動できるみたい。ならば、と早速変えて......発動!
ーーーー《ハルバード》!
手元に魔法陣が展開され、優に身の丈を超える無色透明、ガラスのような斧槍が生成されて、勢いよく投げる動作をする事で案山子に向かって射出される。
案山子の体ド真ん中に刺さり、勢いよく錐揉み回転して案山子が飛んでいく。刺さりはしたけどあの勢い、ただの人だったら貫いてても可笑しくないよね...?
斧が付いてるのに貫くとか即死ダメージでしょ。
威力に驚いたけど......よく見ればあの案山子、五体満足で全然壊れてない。ただの案山子かと思いきや…...硬すぎやしませんかね。
......どうやらこれでチュートリアルは終わりみたいでチュートリアルの文字が点滅して押すことを強いられてる。......点滅が激しい! 激しすぎて眩い光になってるよ!? 押せばいいんでしょ!
『チュートリアルの終了を確認』
『βテスター招待を確認。支度金に10000リアを追加します』
『無属性精霊初選出を確認。【長杖 アイン】を贈呈します!』
『チュートリアルクリア特典【ティッシュペーパー】を贈呈します!』
『始まりの街へ転送します 3......2......1......』
「うわ!? え? あ。アナウンス......って、転送?」
押したらいきなりのアナウンスにびくっ! と肩を震わせ周りを見回してしまうが、直ぐにアナウンスが一斉に来たんだと気付き......
更に気が付けば、道のど真ん中に立ち尽くしていた。
周りには色んな人が歩き、立ち尽くすわたし。
好奇な視線に晒されつつ、わたしはこれから始まるゲーム世界に胸が高鳴り、なんとなく輝いて見える世界に一歩踏み出す。
恥ずかしいからあんまり見ないで下さい!?
???
性別:女
種族:エスト (無属性精霊) Lv.1
職:??
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HP:127
MP:281
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STR【7】 7
VIT【10】 10
INT【35】 30+5
MIN【23】 23
AGI【28】 28
DEX【27】 22+5
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アクティブ系スキル
【無属性魔法 1】
《ハルバード》
パッシブ系スキル
【トリックスター 1】
《DEX向上(極小)》
【無属性の心得 1】
《INT向上(極小)》
種族スキル
【属性精霊 1】
《精霊の理》
所持金:11,000リア