チュートリアル①
連続投稿。
説明回がこの先幾つもあったりします。
無駄に長ったるいかも知れません。すみません。
「えっと・・・・・・これを付けてここを押すだけだよな?」
部屋に戻り、友紀に言われた通りに起動準備に入る。始めてVRゲームをやるので同封されていた説明書を手にLANを繋げていく。
スイッチに手を翳せば青い光が周りの線に沿って灯される。これが起動準備完了の合図。そう受け取り、装着してベッドで横になる。そのまま説明書に書いてあった起動キーを口に出す。
「【コネクト】」
部屋の電気で少しは明るかった目の前が暗くなり、徐々に感覚が失われていく。 声も出せない。目を開くことも出来ない、手足を動かす事もーーーーー
『ランダム生成を始めます』
『性別、決定』
『種族、決定』
『容姿・・・・・・決定』
『背景、決定』
『初期ステータス、決定』
『生成を終了。チュートリアルメモを投稿します』
水滴の落ちる音が響く。いつの間に寝ていたのかな。
軽く息を吸ってからゆっくりと目を開け、起き上がる。
「ここ、は・・・・・・」
周りを見渡してみれば、状況の把握を済ませて立ち上がる。洞窟・・・・・・煙が充満してるけど、大丈夫だよね?
「場所は、ランダムなのかな」
そう呟いてから視界の隅にチュートリアルと書いてあるウィンドウがある事に気付く。
それを触ると、説明文がPCのウィンドウの様に表示される。案内用NPCとかがいる訳じゃないんだ?
「えっと、まずは歩いて・・・ん?」
そこで読み上げながらやろうと思い声に出して気付く。
身に起こった異変に。
「あー、あー・・・あ? この声は・・・・・・?」
声が、高い? というよりも性別が違うんだけど!?
うわ、ある。・・・・・・ない。って、何やってるんだわたし!
そ、そういえば、説明書にはアバターはランダムだって書いてあったような・・・・・・? 脳波を測って最適なアバターを作り出すという話だったけど。
性別までランダムだなんて。
でも・・・この体が最適、ね。
わたしとしては構わないけど。それにしても口調は勿論、心で思う事まで変換が入るなんて、読心対策かな?・・・・・・いや、特に意味は無いんだろうなー。
「不思議と気にはならないから良いけどさ」
んん、ワンピースだからか、だいぶスースーする。
動くのには問題無さそうだけど、街に出たらズボン買おう。決意を新たにして、取り敢えずチュートリアル通りに動いて進めよう。
最初は歩いて・・・・・・うん。違和感は無いかな。
「いっちにーいっちにー。よし、軽く走るかなぁー」
準備体操を軽くしてから、無駄にクラウチングスタートして走ってみる。足元がジメジメして滑りやすいけど、問題無いね。
このまま壁までついたら引き返して、反対側の壁まで突っ走るぞー!
「よしよし、この調子で感覚を掴mっばぁぁ!?」
気合い入れて力強く地面を踏・・・・・・めなかった。
踏み出した足が空を切る、というより着水し、見事にバランスを崩し、顔面ダイブ!
10点! 9点! 3点! 合計で・・・・・・22点!
「ぶは!? けほっけほっ! うえぇ? あ、こんな所にお湯が......お湯?」
なんて、言ってる場合じゃないよっ! なんで温泉がこんな所に!? というか、ダイブしちゃったって事は?
「うわ、服がびしょびしょだよ・・・・・・というか、気付かなかったけど何で血塗れ!?」
ああ、もう次から次へと!? なに? わたしがなんかしましたか!?・・・・・・落ち着け、わたし。
さっきから気になってた煙はこの温泉の蒸気だったんだね。
「な、何か運営の意図があるのかな。死体を再利用、とか? いやいやいや、そんな事ある訳ないよね。これもランダム?・・・・・・取り敢えず洗おう。アンデッドと間違われたら困るしね。よいしょ・・・・・・」
服を脱いで・・・・・・下着無いんだ。う、うーん、あまりまじまじと見ないでおこう。さっさと洗って着なくちゃ。此処で不意に光が隠してくれるんだよね。
キラーンって。・・・・・・来ないです?
時間を掛けて、髪にこびり付いた血を洗い流してからワンピースも丁寧に洗い、真っ白なワンピースへと戻る。今更だけど温泉で洗い物して良かったのかな? もう取り返しつかないけど。
「うん、こんなものかな。乾かす物ないし、着ちゃおうか」
汚れが落ちたとはいえ、びしょびしょのまま。着たところで肌にくっついて裸も同然なんだよね。
ぴっちりと肌に張り付く不快感を感じる。
出来るだけ気にせずチュートリアルを進める事にしよう。次はステータスを開く、だね。
「ふあ・・・・・・すごーい」
そんなシンプルなチュートリアルをさっさとやってみればステータスが可視化する。
???
性別:女
種族:エスト (無属性精霊) Lv.1
職:??
ーーーーーー
HP:127
MP:281
ーーーーーー
STR【7】 7
VIT【10】 10
INT【35】 30+5
MIN【23】 23
AGI【28】 28
DEX【27】 22+5
ーーーーーー
アクティブ系スキル
【無属性魔法 1】
《ランス》
パッシブ系スキル
【トリックスター 1】
《DEX向上(極小)》
【無属性の心得 1】
《INT向上(極小)》
種族スキル
【属性精霊 1】
《精霊の理》
可視化された画面にはつらつらと情報が載っている。
戦闘ありきのゲームには必然的にあるHP。魔法を使う為に必要なMP。
筋力(STR)、体力(VIT)、知力(INT)、精神力(MIN)
敏捷性(AGI)、器用さ(DEX)の各数値。
自身が今習得しているスキル。
最後に自身の見た目が第三者視点で見える。
「おおっ。魔法使い向け・・・・・・いや斥候職向けかな? INTって魔法攻撃力とかだよね。AGIは敏捷・・・・・・いや、スキルも魔法って書いてあるから魔法職向けかな? というか、この娘可愛いなぁ。わたしなんかがアバターとして使っていいのかな?」
銀髪碧眼かー。まるで自画自賛のように見えるけど中身は男だからね。可愛いって思うのは仕方ない。
・・・取り敢えずこんなものかな。
ステータスを閉じて、チュートリアルを開けば外へ出るって・・・・・・外?
と周りを見渡せば1本の道が出現していた。
「この先・・・・・・しかないよね」
外への道へと1歩踏み出す。転ばないように、ね。
ステータスが本文に載ってる場合は此処に載せません。