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異世界チートの無双旅  作者: ユミト
4/7

城下町戦(ミニ)

「ブゥン……」


「っと……。んーー……転移の時と感覚似てんなぁ……」


(これ……壁にめり込んでたらどーなるんやろかぁ……うわ、彫像とかになってもーたら洒落にならへんわ……)


 俺が転移したのは城下町の路地らしき場所だ。四方が建物で囲まれている。恐らく……いや、確実に民家だろう。そのほとんどが2階建てのようだ。2階の窓……か?から、壁に向かってロープが釣らされており、洗濯物が干してある。洗濯物と建物のせいで、日が当たっていない。


 とりあえず進むことにした俺は、しばらく進んだ。無言で。とてつもなく暇だった。王道な路地イベントも無し。空から女の子が降ってくるイベントも無し。路地の角でぶつかるイベントも無し。全く……


(どうなってんねんーー!!!暇や!!異世界やろここ!?もっとこう、イベントあってもええやん!!)


 と、叫びたい衝動を抑えつつ、進んでいった。この場所がどんな所か分からない以上、町民に聞くのが1番いいのだろうが、何せ、人気(ひとけ)がないのだ。それに、城下町というのに、全くと言っていいほど声が聞こえない。時折、ボソボソと声が聞こえるが、聞き取れない。と、その時……


「グギギッ!人間は弱いなぁ?アニキ!」


「そうだなぁ?最近勇者が召喚された!って10魔将の方々が仰られていたのに……期待外れだぜ」


「ガセだったんじゃないですかねぇ!」


「はっ。かもなぁ?」


(あぶねっ……咄嗟に時空魔法で空間歪めて正解だったわ……。このままバレてたら面白そうだったけどなぁ)


「さっさと女子供も食っちまいましょうよアニキ!グゲッ!」


「まだ早いだろ。10魔将の1人、グレゴリー様が来るまでは傷をつけるな、ということだ。傷ついてたら俺たちが殺されちまうぜ?」


「そりゃそうでしょ!ほら、オークのアニキ!少しガマンっす!」


「たりめーだっ!ケケッ!」


(ふーん……女の子、ねぇ……。ここから抜け出したいってのもあるし……。見つかってやるか……。これもまた一興ってやつやからなあ!)


「すいませーん!!!!」


「「「!?」」」


「あのー、道に迷ったん「まだ人間がいたかっ!!ケケッ!」えーそうですg「捕まえろ!」……えー……少しぐらい話wo「はやくこっちへこいっす!」……」


(人の話聞いてねー……。知能低いなぁ……。ま、目的達成したし、行ったるかぁ……)


 見られた瞬間に捕まった俺は、そのままグイグイっと連れられ、中央広場らしき場所へ連れてこられた。町人全員が捕まっているのだろう。かなりの人数だ。その中には女子供や、男、老人まで、皆捕まっていた。


「ほらよ!!」


「おっとと……あぶないなぁおい?」


「あん?黙って座っておけ!」


「っと、悪ぃなぁ」


 投げ出された俺は、ついムキになりかけた。殴りかかりそうだったし、危なかった。ここで動けば町人を犠牲にしてしまうところだ。ま、面白そうだから良いのだが。


 魔族の会話が聞こえる……。


「魔将様も何考えているのかよく分かりませんね?」


「そうだなぁ……。わざわざ勇者が召喚された城を攻めるなんて……。死んだらどうするんだ?」


「怖いですねえ……。いっそ私が魔将の座を狙ってみましょうか……」


「ばかやろう!滅多なこと言うんじゃねえ!死刑になるぞ!」


「おっと、これは失礼?」


(ほほぉ、この騒動はその魔将ってやつが元凶っぽいなぁ。いっそここで動くか?)


「おらっ!さっさと歩け!」


「キャッ!離して!」


「うるせえ!」


「アウッ!」


「おいおい、傷付けるなって言われただろ」


「仕方ねえだろ?つーか、魔将様にバレないようにこいつで遊ぼうぜ?」


「お、いいねえ……顔もよく整ってるし、結構持ってくれそうじゃん?」


「うわ、俺らすっげー悪役だなぁ!魔族だけど」


「い……いや……」


「ほら、こっちだ!!」


「いやぁぁぁああ!!」


(お、お、おおお!!イベントきたぁぁぁあ!)


「ちとまちぃ?」


「あん??」


「んだこいつ」


「嫌なぁ?悪魔3人で女1人をやるとか、鬼畜すぎやせんかあ?」


「人間が何言ってんだ?おい、こいつ殺せ」


「「あいよ!」」


 全く、甘く見られたものだ。外見だけで判断したのが仇だな。魔族共が俺に襲いかかってくる。本来はもっと早い攻撃に見えるのだろう。本来は(・・・)。


 俺は元より戦闘に入ってるつもりだった。だからこそ、よく見える。常人よりも、世界のだれよりも。さあ、ここからが俺の舞台だ。


 魔族の1人が嚙みつきで来ていたため、そこに落ちていた木の棒を広い、縦にして口の中に入れた。閉じたら刺さるように。この間、僅か"0.5秒"。


 そして、もう1人は魔法の詠唱を始めていたため、重力魔法で魔法の元を潰した。この間、同じく0.5秒。合わせて1秒で終わった。


 そして、戦闘をやめよう、と、意識すると、時は動き始めた。


「グサッ!!」


「バチン!!」


「「!?」」


 そりゃ驚くのも無理はないだろう。何せ、一瞬の出来事だったからな。


「ギャァァァァァア!!!」


「なっっ……魔法が……!?おい!しっかりしろ!!」


「ん……魔族っていってもこんなもんかあ〜。大したことなかったなぁ?」


「「何があった!!……!?あいつをころs「ゲームオーバーな?」


 新たに出てきた増援を時空魔法でワープさせた。いや、異空間に飛ばした、という方が正しいだろうか。


「え……え……?」


 目の前の女の子も目を見開いて驚いている。先ほど自分を掴んでいた魔族が一瞬で居なくなったのだ。驚くのも無理はない。


「はーぁ、つまんないなぁ……。こんなに歯ごたえないんかぁ……」


 俺は落胆していた。そして、感動していた。自分の強さを感じて。


「くっ、化け物か!?早く魔王城へ戻らねb「戻させへんからあ♪」なっ!?グシャ!……」


 逃げようとした魔族をワンパンで遠くの山の方まで飛ばしてその場は静寂に包まれた。何せ、魔族がたった1人、俺という存在によって壊滅させられたのだ。驚くだろう。


「あ、ありがとうございました!!あなた様のおかげで、魔族にやられずにすみました!!」


「おう♪親からもらったその身体、大事にせえや♪」


「はい!よければ、お名前を教えて頂きたいのですが……」


「ん、俺のか?」


「はい!」


「そうやなぁ……俺は結って言うんや。覚えとき♪」


「ありがとうございます!ユイ様!」


「様やこ付けへんでええから〜」


 こうして、異世界初の第1戦は終わった。元の世界では味わえない戦いは、とても楽しかった。元の世界になぞ、戻りたくもない、とも、思い始めていた……。

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