急展開はお約束
更新です。
キャラがいつもぶれているように感じてしまう今日この頃。
「まずはこれを見てくれ。サライラ頼む」
「分かりましたわ」
馬皇がそう言うとサライラが纏めたデータのファイルを開ける。真央たちは馬皇とサライラの後ろから覗き込むといつぞやの某大学で黒竜と悪魔が出てきたという情報だった。それを見て真央はすぐに自身たちの前世の姿だと理解する。
「これを見てどう思う」
「これはどう見ても私たちね。あの時の?」
「ああ。次はこれだ」
真央の言葉に馬皇は肯定する。そして、今度は高速道路での馬皇の暴走していた時の姿とそれに対して戦いを挑んでいる人間たちの画像が映し出される。ただ画像は荒く辛うじてそれが人間と黒い人型の何かと分かる程度である。
「これはもしかして……」
「ああ。資料を読んでみると由愛と俺が襲われた時の画像だ。薬の試作品があそこにあったらしくて襲撃した書いてあった。どうやらあの一連の出来事は全部WCAに繋がっていたらしい。しかもだ、どうやら不老不死の研究をしていたらしい」
「そうなの。それでケイスケとどう関係あるの?」
馬皇の言葉に真央は疑問に思っていることをぶつける。
「このこと自体にはケイスケとはそこまで関係はないんだ」
「それじゃあ意味ないじゃない‼」
馬皇がそう言うとガクッと真央と由愛はよろけるがすぐに姿勢を戻して馬皇に突っ込む。馬皇はその反応を予想していたのか落ち着いている。
「まぁ、落ち着け。この資料の最後の方が重要なんだ」
「えっと『イレギュラーな存在であったものの空想上の生き物が存在するという点においてこれらが異世界の存在を証明している。あの実験で呼び出された個体Kの異世界というものが存在している証明の補足になる。異世界にて今は存在しない素材を見つけられる可能性大』って。なるほどね。そういうこと」
「ああ。多分そうだろうな」
「え? え?」
馬皇と真央は2人してうなずきあい納得する。その傍らで未だに突拍子のない内容に由愛が困惑している。
「ようは、私たちのような存在。つまり現代で空想上の生物が何であっても現れたんだったら異世界が存在するか太古にはそれに近しい生物がいたかもしれないって言ってるのよ。さらに、実験で何かを過去に呼び出した。そのことから異世界だって存在していると言ってるの。異世界だったら不老不死になれる薬も存在している可能性が高いって言いたいのよ。あいつは」
「はぁ……」
真央の説明に由愛はうなずいたがあまりにもスケールの大きな話に発展しているために反応があいまいである。
「はっきりと理解する必要はないわ。簡単に言えばこの実験をしている組織が不老不死の薬の作り方がある。でも、素材はこの世界にはもう存在してない」
「それだったら分かります。つまり異世界にはあるかもしれないという事ですね」
「そう言うこと」
由愛は馬皇と真央が言いたいことを理解してその表情に真央は頭を縦に振った。由愛が理解できたのを見計らってか馬皇が補足する。
「これを裏付けるかのように異世界へと渡る方法の研究の過程で戦力を作るために異能者を作り出す研究も並行している資料も見つけたわ。その中で世界を渡る異能者を作りだすことに成功したと」
「なんとなく読めてきたわ。あの屋久島って男もその薬で異能者になってあのよく分からない生き物呼び出したのか作り出したのか呼び出した。それとあの薬で異能者にしたりトロルモドキみたいな存在を生み出したりして戦力を作り出してるってことね。って‼ 侵略同然じゃない‼」
「だろうな。大方呼び出された個体ってのがケイスケでここに来る途中にその召喚に巻き込まれた。その過程で真央がここにいることは分かっているんだろうから真央を見つけてから元の世界に戻れるってことで一時協力していたってのが妥当だろうな」
「あのバカ……」
馬皇の推測に真央も外れていないと思っているのか頭を抱えて呟く。しばらく、全員が無言になり、真央がいきなり声を上げた。
「あぁ‼ もう‼ これ以上は考えても仕方ないわ‼ それよりもインテリぶったあんたの方が違和感ありまくりよ‼」
「失礼な奴だな‼ そりゃ、考えるよりも先に体動かしたら大体解決するから必要ないだけだけで必要だったら考えもするし策略とかも戦いでは当たり前に必要だろうが‼」
「うっ‼ 確かに……」
真央にも心当たりがあるのか言葉を詰まらせる。真央も勇者との戦いでは一対多での戦闘も珍しくなかったし、物量で押すために数万数千という軍勢を召喚したこともある。そのことを考えていると馬皇がそれなりに賢くてもおかしくないと思い始める。
「だろ? だから脳筋じゃないぞ」
「でも、今までの事からすると馬皇さんは面倒になったらとりあえず全滅させるんですよね?」
「ああ。はっ‼ しまった‼」
馬皇は自信満々に答えるが由愛の質問にもうなずいてしまう。馬皇も由愛の質問に簡単にうなずいてしまったがすでに遅かった。
「何よ。結局根本的な部分は変わらないじゃない。それによく考えたら頭の良し悪しと脳筋だってことはあまり関係ないじゃない。焦って損したわ」
真央はほっとしたのか落ち着きを取り戻す。
「くっ‼ 由愛ぇ」
「すみません」
恨みがましい視線で由愛を見る馬皇であるが由愛の方は思ってしまったことをそのまま口にしてしまった事に手を合わせて小声で謝る。馬皇も申し訳なさそうな顔をして何度も上目使いしてくるものだからそれ以上の事は何もできない。
「それで実験が行われている場所は?」
「それはだな……」
現在も実験が行われている場所の箇所をメモしたファイルを開けると同時に世界は揺れた。
「うおっ‼」
「なっ‼」
「ふえっ‼」
「きゃっ‼」
馬皇、真央、由愛、サライラの順に声を上げるが馬皇は他の全員がケガをしないように揺れの中で体を使って物が当たらないように盾になる。突然の揺れはすぐに収まるがすぐ後に同時に遠くの方で何かの音が聞える。それ以上に馬皇と真央、サライラはすさまじい勢いで魔力がながれているのを感じ取ったのか慌てて駆け出して外に出た。
「まじかよ……」
「これは想定してませんわ」
「どうして……」
「天変地異ですよ」
そこには世界に突き刺すように現れた光の柱と空間そのものが歪んでいるが別の世界らしき地上に古びているがそれでも高くそびえていることが分かる特徴的な塔が見える。
「どうして私の塔が見えるのよ。ここから……」
真央は呟いた。そのに逃げた人間には聞こえない程度ではあるがはっきりと。真央は忘れるわけがなかった。あの世界に。あの場所に。真央の前世の世界リーングランデ。その世界で真央が真央の先祖が集めた知の結晶。そして、マオの住処だった場所。
泉の塔がこの世界から顔をのぞかせていた。
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