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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第四章 裏切りと忠誠と俺たちの夏休み
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よわっ‼

更新しました。

今回は目立った戦闘は有りません。

「ふん」

「おりゃ」


 襲い掛かるトロルに対して馬皇たちは同時に声を出して動き出した。馬皇は跳びあがって顔面に殴りかかり真央はさっきの慌てようが嘘のように矢の駆ける速さで勢いよく股間めがけてとび蹴りをかます。


 同時に入った攻撃はトロルを吹き飛ばしあっさりと倒れる。巨体の倒れる時には鈍い地響きが公園内だけでなく辺りを軽く揺らす。倒れた姿勢のまましばらく馬皇たちは様子を見ると起き上がってこないトロルに警戒を解かずに近く。


 そして、トロルの顔を見ると口から泡を吐いていて正直見ていられない状態であった。


「「よわっ‼」」


 馬皇と真央はトロルがしっかりと気絶しているのを確認すると同時にあまりの弱さに叫んでしまう。


「いくらなんでもこれは弱すぎだろ……」


 馬皇は気まずそうな顔をして言う。本来のトロルであればここまで弱くはない。先ほどの攻撃では同じように吹き飛ばされるもののなにごともなく起き上がる程度のはずである。


 馬皇の前世で相対したモノはさすがにトロルと言う種の中では1,2を争う者であったが、馬皇が放った全力の一撃でも耐えきっていたと言えばその耐久力はうかがい知れるだろう。そんな耐久力と魔法に対する耐性、そして見た目に違わぬ怪力がずば抜けているはずの存在なのにここまであっさりとやられてしまうと見た目だけでトロルと判別した馬皇たちはこれをどういう風に呼べばいいのか困るのも無理はない。


 真央も馬皇と同じように気まずそうにしているがその後には頭を抱える。


「……なんで私はこんなのに苦戦してたんだろ? さすがにこの弱さはないでしょ。普通に考えて。そうでしょ?」


 馬皇の方を向いて真央が聞くと馬皇は気のない返事をする。


「俺が知るかよ。それよりもどうするんだこいつ?」

「そうよね。私が苦戦したなんて証拠はない方が良いわよね。跡形も残さず燃やすか」


 真央は塗りつぶされた様な単色の目でトロル(仮)を見て物騒なことをつぶやく。


「その前にどうしてこうなってんのか聞くのが先だろ」

「正直、こんなのに苦戦してたって思うとあんただって燃やしたくなるわよね? ね?」


 馬皇は提案するが話を聞いていない真央の支離滅裂な同意を求める声に馬皇は渋そうな顔をして言葉を返す。


「いや……話聞けよ。そう思うのは確かに同意したくなるけどさ、その前に情報集めるのが先だろ? ってか、正気に戻れ」


 馬皇は躊躇なく真央の眉間にチョップを加える。


「みぎゃっ‼ 何すんのよ‼ このバカ‼ 私は昔の電化製品かっ‼」


 その一撃で真央は正気に戻ったのか馬皇を口わるく罵る。


「お? 戻った。戻った」


 元に戻った真央を見て馬皇は嬉しそうにする。そんな馬皇を見て真央は気持ち悪そうに顔をしかめた。


「は? 何言ってんのよ? とうとう暑さでおかしくなった?」

「お前にだけは言われたくねぇよ。それよりもこれから情報だけ取り出さないと」


 馬皇がトロル(仮)を指さすと真央は思いだしたという風にトロル(仮)を見つめる。トロル(仮)は完全に意識を失ったままになっているがいつ目覚めるか分からないため真央はある提案をする。


「そうね。あんたと同意見なのは(しゃく)に障るけど先にこっちよね。鉄先生に連絡入れる?」


 真央の余計なひと言に馬皇は腹を立てるが、それを飲み込んで話を進める。


「ああ、頼む。さすがにさっきの地響きはある意味目立つ。これは目立つから近くにあって何が有っても問題なさそうな学校までさっさと運んじまおう」

「分かったわ。これが見えないように認識阻害の魔法をかけるから移動と一緒に連絡するわ。そう言えば由愛は?」


 さっきから見当たらない由愛を探して辺りを見回すとトロル(仮)が倒されたことに安心してへなへなと座り込む由愛を見つける。真央は安堵の息を漏らた。


「はぁ。良かった。無事みたいね」

「は、はいぃ」


 巻き込まれなさそうな場所まで移動していた由愛を見てこれだったら一緒に行っても大丈夫かと考える。戦う可能性も大いにあるのだ。その時にいつでも守れるとは限らないし人質にされると目も当てられない。


「この様子だったらたぶん大丈夫よね……」


 考えていたことを口に出すと馬皇が呆れた様な顔をして言った。


「まだ心配してたのかよ……」

「そうよ。悪い?」

「いいや」

「なら、いいじゃない」


 馬皇と真央は見つめ合ってお互いに軽く笑う。真央がトロル(仮)を他の人の目に映らないようにして普段よりも強めに魔力を注いで魔力の糸を創りだして縛る。さらに、気絶している上から時間をかけて昏睡の魔法を重ねる。普通に戦う分では魔法が効き辛い存在であるが時間をかければ耐性が強かろうと関係なく耐性を超えることが出来るのだ。ただし、大体そんな時間があればトロルが相手を全滅させているのであまり意味はないが。


「終わったな。それなら運ぶぞ。……よっと」


 完全に眠らされてガチガチに縛られたトロル(仮)を馬皇は難なく持ち上げてふと由愛の事を思い出して由愛のいる方へ振り返って言った。


「ちょっと‼ 危ないわね」


 馬皇がいきなり振り返りトロル(仮)が真央に当たりそうになる。真央はとっさにしゃがんで躱し馬皇に抗議する。


「わりぃわりぃ。由愛もそろそろ立てるか?」


 馬皇は真央に軽く謝罪すると「全く。気をつけなさいよ」と真央が呟く。由愛もある程度回復したのか立ち上がって馬皇に言った。


「はい。何とか……」


 まだ万全とは言い難い状態なのかよろよろと由愛が歩くのを見て馬皇は言った。


「なら悪いが学校まで歩くぞ。さすがにそろそろ警察とか人が来てもおかしくないからな」


 馬皇の言葉に真央も由愛も意見が一致しているのか大きく頷き気絶しているトロル(仮)から話を聞くために中学校の校舎裏へと歩き出した。

次回はオハナシ回。ここからちょっとずつ話が繋がっていくかもしれないしつながらないかもしれない


いつも読んで下さりありがとうございます。

感想、批評、指摘、ブックマークしてくれるとうれしいです。

これからもよろしくお願いします。

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