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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 後編
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波乱の決勝戦 テロはこうして始まった

遅くなりましたが更新です。エタるつもりはありません。完結まで持って行きますが時間が空いたりすることがあります。生暖かい目で応援して下さると有りがたいです。

副題でネタバレです。決勝戦ですが大事件が乱入していきます。

生きていたあの男が復讐のためにやってくる。

 爆発。決勝のリングで爆弾が入り爆発するという事態を観客たちは最初理解できなかった。


 しかし、爆発と同時に黒服でフルフェイスのヘルメットをかぶった集団が一斉に複数の出入り口から侵入すると銃を突きつける。そして、狙いを澄ましたかのように無差別に人間だけを撃っていく。目の前で撃たれたのを目撃した者たちも連鎖的に悲鳴を上げていき目についた人が次々と撃たれて殺されていく。会場が3分の2ほどに減った辺りで次に撃たれるかもしれない事への恐怖心で観客席にいた者たちは動けなくなった。観客席が静かになって1分ほど経過するとリンたちが映っていたモニターには白いスーツを着た金髪の男がカメラの前でふんぞり返っている映像に切り替わる。


『互助会の皆様。初めまして。私はWorld Create Association略してWCAの代表役 皆月(みなづき) 風路(ふうろ)と申します。我々は異能を世界へと発信するために今回はこの場をジャックさせていただきました。ちなみに拒否権は有りませんし、これは全世界に向けて放送させてもらっています』


 画面に映し出された男は風路と名乗る。そこには爆発したリングと銃を突きつけられている光景が映し出される。


『みなさんは異能者と言う存在についてはご存知でしょうか? 異能者とは文字通り特異な能力を持つ者たちです。炎を出したり空を飛んだりなどのいわば超能力者の事です。彼らの存在は人知れず組織だって隠ぺいされていたのです。そう‼ この組織のように‼ 異能者を見つけたら即身内に引き入れて隠ぺいして独占しているのです‼ 不公平だとは思いませんか? 人ならざる力を持った存在がいるのに隠されていたことに‼ そして‼ そんな力が選ばれた者だけが自由に使えるということに‼』


 力のこもった声はまるで何かを誘導しているかのように見ているもの全てに訴えかける。力を込めすぎたことに気が付いたのか一度だけ咳き込むと元の調子で喋りなおす。


『コホン。少し力が入りすぎてしまいました。我々は長年の研究を基に異能を発現させる方法を作り出すことに成功しました。今回はそのデモンストレーションです。人工の異能者及び我々が開発した物が天然物を圧倒していく姿を見せることが出来れば我々の価値は飛躍的に上がる事でしょう。それでは大いなる実験を始めましょう。抵抗しなければ全員死にますから大いに私たちの役に立ってくださいね。互助会の皆様』


 風路の最後の言葉と共に画面は途切れ銃を持った男たちは次々に発砲し始めた。その中の所々で人工の異能者たちも一緒になって互助会の人間を殺していく。銃をいう恐怖に身を震わせる者。異能を使って撃退を始める者。協力者を逃がすために体を張る者。混乱して逃げ惑う者。様々な様相を醸し出す。


 そんな中で真央はサライラと共に由愛を守りながら安全な場所を探して移動していく。銃声や異能で創りだされた様々なものが飛び交う。要所要所で真央がバリアを張ってはじいているが時間が経つにつれて激しさは増すばかりである。真央たちは観客席から通路の方へ出るとイライラした様子で言った。


「あいつはいつまであの中にいるのよ‼ サライラ‼ 由愛‼ 少し面倒だけど馬皇の所へ行くわよ」


 真央がそう言うと由愛たちは同意した。未だ馬皇と鉄は煙に覆われて中の見えないリングに向かって走り出した。




 一方、非常事態によって緊急結界が発動し爆発の影響で中の様子が全く見えなくなっていたリングで馬皇と鉄は男と対峙していた。爆発を避けることはできなかったが小さなやけどのみで2人は無事だった。すぐさまにリングを出て救助に向かおうとしていたが、見覚えのある危険な存在が目の前に現れたために馬皇たちは動くことが出来なかったのである。


「よぉ‼ 久しぶりだなぁ‼ 馬皇君よぉ‼ あの時の借りを返しに来たぜぇぇぇ‼ ヒャアァァァハハハハ‼」

「馬皇。知り合いか?」

「あん時のクソ野郎‼ 生きていたのか‼」

「あぁん‼ 俺は屋久島だって言っただろうが‼ とりあえず死ね‼ 苦しんでから絶望して死ね‼」


 屋久島の手に持ったサブマシンガンが馬皇に向かって火を噴く。馬皇と鉄は左右に別れて狙いを定めさせないように高速で動いて避ける。馬皇はあの時の屋久島と比べて明らかにおかしくなっていることを疑問に思っていた。あの時は暴走をしていたが記憶がないわけではない。足を奪って深手を負わせたはずの屋久島が無傷で目の前に現れたのである。


 そして、何よりも性格が明らかに変化している。あの時の屋久島は最悪な性格ではあったがまだ理知的であった。だが、今はそのような様子は全くなく短絡的すぎる様子だった。サブマシンガンの弾が切れるとサブマシンガンを適当に放り投げてから屋久島は言った。


「っち‼ そんなに簡単には死なないかぁ‼ まあ、そうじゃなかったら復讐し足りないからこっちは好都合なんだけどな‼ あぁ‼ いい気味だ‼」


 テンションのおかしい屋久島が思い出したかのように喋りはじめた。


「そう言えばぁぁぁ、お前には感謝の言葉を贈ろうと思ってきたんだ。ありがとよ‼ お前のおかげでこぉぉんな素晴らしい力が手に入ったんだ‼」

「なっ‼」

「これは……」


 2人が声を上げるのも無理はなかった。屋久島が虚空に手を掲げると斜め後ろから空間が割れた。その裂け目から出てきたのは魔物ともいえない怪物であった。その姿はあまりにも混沌としていた。体は巨大な獅子。手足は人間のそれで肉が肥大化しているせいか動くたびに醜くうごめいている。背中には蝙蝠を彷彿させるような巨大な羽が折りたたまれている。


 しかし、何よりも意識するのは頭の部分であった。頭は体よりもはるかに小さくアンバランス。人間を模した一際大きな女性だと分かる頭とそれを中心として首の周りに8つも着いているのである。小さな頭はマネキンのような頭であるが年齢も性別も完全にばらばらである。


『ああぁぁぁaaaァアアアァぁあ‼』


 一斉に。そして、バラバラに雄たけびを上げている様にも助けを求めているような叫び声を上げている様にもとれる轟音。何を言っているのか分からないが馬皇たちが理解できるのは一様に苦悶の表情を浮かべているのだけだった。


「どう? すごいでしょ‼ これ作るのに苦労したんですよ‼ まぁ、喋れないんですけどね」

「つく……った?」 


 子供のような無邪気な口調で作ったと言った屋久島に馬皇と鉄は唖然とした表情で目の前の怪物を注視する。


「そう‼ 材料を集めるのには苦労しましたよ。まず、裏切者やむかつく奴を捕まえていろんな生物と合成させたんですよ。つなぎで人面犬とか作るとなまじ人間だったころの記憶がある分絶望した顔が見れて最高でしたね。そして、ある人物の提供でまさかのファンタジー的な生き物の死骸を入手できましてね。それを全て合成してできたのがこのキメラってわけです。ちなみに記憶に関しては頭の物に依存しますが命令だけは作りだした私に忠実なんですよ。再生力も混ぜた生物たちに依存しますしね。本当に素晴らしい能力ですよねぇ」

「私があの屋久島と言う男を抑える。その間にキメラと相手にしてくれ」


まるで買って貰いたてのおもちゃを自慢するように屋久島がそう言うと鉄が言った。それに対して馬皇は拒否した。


「いやだね。あの屋久島って男には因縁があるんだ。俺にやらせてくれ」

「駄目だ。あの男は何をしでかすか分からん。あの手の人間は生き残る事に関しては一級品だ。俺でも防御や回避に徹されると決着がつかんのだ。それにキメラといったか。あれを放っておくことはできない。倒すことはできるだろうが俺ではいささか時間が掛かりすぎる。お前ならすぐ倒すことが出来るだろう?」

「はぁ。そんなことも分かるのかよ。先生は」

「お前らの先生だからな。それに拳を交えれば大体分かる。だから、これが最善であると考えている。頼めるか?」


 鉄の言葉に馬皇は不承不承に頷いた。


「分かった。先生も気をつけろよ。何があったのかは知らないけど最初会った時とどうにも違う気がする。すぐに終わらせてくるからやられるなよ?」


 ここで馬皇たちは言葉を切り各々の目標へ向かって走り出した。


「何を言っているのかは分からねぇが、あなた達も私の実験体(おもちゃ)として使い潰してあげますからね。キメラやりなさい」

「「うおおおぉぉぉ‼」」


 鉄は屋久島へと馬皇はキメラへと向かい引き離すために攻め立てる。屋久島は鉄の拳をかわすがキメラの方は馬皇の拳を受けて離れた場所まで飛ばされる。


「分断ですか? まあ、いいでしょう。あなたと遊んでいる間にキメラが馬皇君を殺してくれるでしょう」

「ふっ」


 鉄は屋久島の言い分を鼻で笑った。


「何がおかしい?」

「あまりうちの生徒を舐めるなよ?」

「舐めてませんよ。そのために他の子も送りましたし」

「何?」


 屋久島の言葉に鉄は一瞬馬皇たちの方に気を取られる。その一瞬を突いてか屋久島は懐から銃を出して発砲する。鉄は一発だけ頬をかすめるが躱すことに成功する。


「隙ありですね。その甘さが命取りになることを教えてあげましょう」

「ちっ‼ 負けるなよ‼ 馬皇‼」


 油断しているつもりはなかったが先制される。鉄は屋久島の事を油断できない相手と判断し屋久島の動きを見逃さないように集中する。鉄と屋久島の戦いがこう着した状態から始まった。

馬皇たちとキメラの戦い。厄介な再生力と巨体を生かした攻撃。倒せはするだろうけど時間のかかりそうな相手だ。時間との勝負で焦る俺。

弱音はいってられねぇ‼ 鉄先生が待ってるんだ‼ さっさと決めて戻らねぇと‼

次回「速攻でケリをつけてやる‼」

お楽しみに


いつも読んで下さりありがとうございます。

感想、批評、指摘、ブックマークしてくれるとうれしいです。

これからもよろしくお願いします。

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