戦いの展開はご想像にお任せします
バトル終了後を描写しています。
間には壮絶なバトルwがありましたが絵面を想像するといろいろと想像以上に気持ち悪くなったので結果だけが書いております。
馬皇たちがやったことは隙を作って相手を固定してそれぞれん必殺技を同時にブッパしたということだけイメージしてもらえたら分かりやすいと思います。ようは魔法少女ものの定番
『ミッションをクリアしました。これより製作者の言葉と報酬についての説明を開始します』
「……ひどい戦いだった」
馬皇が呟くとそれに勇次も同意する。
「そうっすよね。これは誰が得するんすかね?」
「「はぁ……」」
2人して同じタイミングで溜息をした。恰好はさっきまでと全く変わっていない。由愛たちも何も言わずに馬皇たちを見守っている。いや、苦笑いをしていると言うべきか。馬皇たちはなんとかクリアすることが出来たがあまりにもいろんなものを失ったと言うべき状態だった。
まず、未だに何もしゃべっていない真央は肉体的なダメージがデカかった。むしろ真っ白に燃え尽きていた。敵役として相対していたというのもあるが、強制的にテンションを上げさせられたのが大きかった。要は自身のしていたことを覚えているのである。そう。完全に覚えているのである。あの時あの瞬間はハイになっているため全く問題はなかった。しかし、冷静になって思い出すと顔から火が出るほどに恥ずかしい言動やらしくない不遜な魔王の動作をたくさんしたのである。知り合いの目の前で。さらに、やられた原因が笑いすぎによる窒息で動きが止まったというのだから何も言えなくなるのは当然だった。
悲惨だったのは真央が笑い死んだ原因となる馬皇と勇次である。突発的なミッションと共に真央を除く4人は魔法少女に変身したのである。服装だけを。由愛や真央、サライラたちはまだ良い。14歳とはいえ少女であるから。しかし、馬皇たちが男のまま魔法少女の恰好をしたらどうなるか。変態が完成するのである。程よく鍛え上げられた体にどう頑張っても誤魔化せない骨格、いつもの髪型をそのままにパッツンパッツンの魔法少女姿にされたのである。しかも言葉遣いの強制のおまけつきで。名誉のために服装については言及しない。強いて言うならば馬皇は可愛らしい恰好、勇次はきわどい恰好とだけ言っておく。
変身した瞬間の姿を見て真央は大爆笑。味方であるはずの由愛たちでさえ笑いをこらえるのに必死だった。さらに口を開けば女らしい口調ようはオネエである。バトルどころではないが、戦わないことには進まないとしてそのままで馬皇たちは戦った。本人たちは真剣に戦おうとするのだが見た目と出てくる技名を含めてのすさまじいギャップに真央の腹筋が耐えられなかったのである。そのまま致命的な隙に魔法少女らしい合体技を受けて勝負が決するという訳ではなくそれによる笑いすぎによって勝負が決したという何とも言えない結果に最早何も言えない。そんな陰鬱な空気を無視するかのようにパスタは立体映像を出現させた。
『諸君。魔法少女のゾーンはどうだったかい? 楽しんでくれたかね? このダンジョンは普通のミッションに加えて普通に異能のない子も疑似的に魔法少女にして楽しんでもらうダンジョンなんだ。とはいっても異能者だろうが男だろうが関係なく魔法少女にしてしまうという楽しいものになったのだが……。そう言えば自己紹介がまだだったね。私は創作と言う。特殊ルートからの攻略おめでとう。魔法少女のコスプレ姿が良く似合っているよ。……っぷ』
このダンジョンの名前から今までの最後の笑いで悪意が籠っていることだけは分かった。見ているのではと辺りを見渡すがそれらしいものは何もない。
『ちなみにこれは録画したものだ。残念だったな。リアルタイムで今の状況は見ているがな。いい光景だよ。フハハハハハハ‼』
馬皇たちは創作の画面の向こうからのリアクションの大きな笑い声を上げる。馬皇たちは殺意が芽生えるがそのやり場のない怒りをどこに向かって出せばいいのか分からず肩を震わせるのみである。
「無茶苦茶腹立つな。これ……」
馬皇が辛うじて声を絞り出す。
『大方、私に対して滅茶苦茶腹を立てているのだろうが残念でした。まぁ、こちらは君たちがクリアした瞬間の疲れ切った顔を見るだけでご飯3杯いけるがな‼』
愉しそうにしゃべる創作に馬皇と真央は思わず同時に創作に殴りかかるがすり抜けていくだけである。
「報酬とかいいから無性にぶん殴りたい‼」
「奇遇ね。私もよ」
ここで馬皇と真央の意見が合うがそれすらも予想していたとばかりに続きを喋る。
『残念だったな。だから、立体映像だと言っただろう? 今更だが私を殴ろうとしても無駄だと言っておこう。報酬はについてはクリアしたものに強制的に手渡されるものだから受け取ってくれたまえ。それでは機会があればまた会おう‼ さらば』
そう言うといつの間にか馬皇たちは入口の前で全員立っていた。
「「良かった……。服は戻ってる」」
先程まであの恰好だったものが元の姿に戻っていることに馬皇と勇次は安堵する。
『それではこちらが報酬になります』
パスタがそう言うとそれぞれにデザインの違うアクセサリーがいつ間にか握っていた。
『これは特殊な効果を持つアクセサリーです。効果は人それぞれ違いますが共通して相性の良い武器を選出させていただきました』
「へぇ。結構まともじゃない」
いつの間にか立ち直った真央はこのアクセサリーの能力をすぐさま理解する。意外とまともな効果であり感心しているようだった。
『それと、由愛様と真央様のアクセサリーには馬皇様限定で条件を満たすことで好きに少女姿に出来るようにしています。もちろん魔法少女姿もですよ』
「げ‼」
『条件にいたしましては毎回ランダムで毎日変わります。条件は由愛様と真央様限定でお教えします。条件を満たした後にその条件を馬皇様に告げるとあの時の姿に変身します。後は関係者以外がいる場合は変身しないのでご安心を。また、変身中は気絶していても日にちが変わっても元に戻ることはありません。そして、由愛様か真央様がいない場合は自身の意思で変身を解除できますが半径300mにどちらかがいる場合は相手が解除を口にしないと戻れないのでご注意を』
その条件に馬皇は苦虫を噛み潰した顔をする。何がトリガーになるか分からないというのはある意味怖いが、条件を聞いている限りはどうしようもない。
「お父様‼ 大丈夫です‼ どんな姿であっても私はお父様を愛して見せますわ‼」
「サライラの言葉はうれしいんだが……。何と言うかそれ言っちゃうと直ぐに条件満たしてそうで怖いんだが……」
馬皇はサライラの決意の籠った言葉にどう反応すればいいのか分からなくなる。馬皇はもうなることはないと高をくくるが嫌な予感がした。
「馬皇さん、馬皇さん」
「ん? 何だ? 由愛?」
馬皇が振り向くと馬皇の頬が由愛の指を押す。
「引っかかりましたね。いたずら成功です」
由愛がニコリと笑って馬皇はいきなり煙を上げて小さな爆発を起こした。
「……まじかよ。抵抗すらできないのかよ」
あっさりと条件を満たしている煙の中から可愛らしい声で変身してしまった体に呆然とする。この呪いみたいなモノとこれから付き合って行かなければならないという事実に馬皇は打ちのめされる。
「あ~ん‼ やっぱりかわいいです‼ 」
由愛は馬皇を変身させるとすぐさま抱き着いたその様子を見て真央も恐る恐ると言った感じで馬皇の頭に手を伸ばそうとする。
「私も一緒にしてもいいかしら?」
「もちろんですよ‼ 馬皇ちゃんは共有です‼」
真央がたずねると由愛は快諾する。そして、馬皇の頭をなでる。
「……もうどうにでもしてくれ」
楽しそうに馬皇をモフモフする由愛とこれから一緒に楽しめるとワクワクしながら頭を撫で続ける真央。あきらめの境地に立った馬皇は由愛に抱かれて旅館へと連れて行かれるのだった。
次回から準決勝を飛ばして決勝戦に入ります。
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